★《続・読書余論》プラトン著、藤沢令夫tr.『国家』1979年刊

こんかいの《続・読書余論》は、プラトンの主著中の主著とされる1冊(文庫版で上下2冊)です。

30万人くらいの規模の都市国家が「ポリス」でした。古代ギリシャ人はエーゲ海だけでなく黒海の沿岸にまで植民都市を築いたので、セバストーポリだとかマリウポリだとか、「ポリス」に語源のありそうな地名が今も残っていますよね。

もう十数年も前ですが、京大の哲学科出身の方にギリシャ語の読み方を習ったついでにこの古典についての講義も聞かせていただいたものです。そのとき余白に書き込んだことどもも活かしました。

カール・ポパーによるとヘーゲルの政治志向の淵源はプラトンにある。つまり現代ソ連の出発点は古代のプラトンにあるらしいので、とうてい歯が立たぬのは承知で、その片鱗の咀嚼に挑みましょう。

プラトンは、勇気の無い者、敵に降伏すればいいと考える者にはポリスの政治指導者となる資格はなく、統治階級から指図を受ける羊でいるのがふさわしいと、紀元前375年に教えていました。また、いかにして僭主(独裁者)は、最下層民からとりまきを集めて身を守り、常に国家を戦争させることで狼に変身するかも、鋭く指摘しています。今日の世相が、2400年前に予言されているのです。

例によって《旧・読書余論》からは、プラトン関係、国家関係の摘録をあつめてみました。
 コンテンツには、『銀行国営論』『理性』『四聖の教育的感化』『戦争哲学』『自由主義の擁護』『東アジア史における国家と農民』『政治地理学』『支那事変に関する政府声明 及 総理大臣演説集』『中国の奴隷制と封建制』『古典期アテネの政治と社会』『インフレーションの常識』『折口信夫全集 第卅一巻』『宋名臣言行録』……などが、含まれています。

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