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エル・ウッズみたいな女のコ①

その子はひよこの友達で、アカデミーの同級生でエルンストさんのゼミで一緒でひよこの親友位しか知らなかった。直接話したこともないし、派手な外見とやたら明るい性格でモテる女のコ。僕には全然ご縁がなさそうなタイプだった。

バカンスに招待してもらい、ひよことアルベルトさんの南仏の家とイギリスのフレッドさんの生家に遊びにいった。
植物の観察したいならキュー・ガーデンに行こう。と前から誘ってくれていたから即答でいきます!と返事した。
他にもひよこの友達が来るけどお前構わないよな?とフレッドさんに聞かれたけど
ひよこの友達といえば僕のズッ友なテオくんも来るし、他のメンズは顔見知りだし、女のコは話す機会がないからアレだけどまあ、誰が来ても別に困らない。

その時僕はフレッドさんの広大な庭のイングリッシュガーデンで薔薇をスケッチしていた。

…えっとハル君だっけ?

と背後から女のコの声が聞こえた

クルッと振り向くと僕がちきゅーの映画でみた
エル・ウッズみたいな女のコがそこに立ってた。

はい。僕はハルです。あなたは?

ミシェルよ!よろしくね!

…ひよこのお友達のミシェルさんですね?

なにしてるの?

ビミョーに会話が噛み合わないけどまあ、女のコはひよこ位しか話をしないからよくわからない。

薔薇をスケッチしていました。とても美しいので。あと、僕が住んでいたコミューンにはこういうのないから。

まあ、そうなの?

はい。植物はあるのですが

ねえ、見せて?

ガーデンですか?

いいえ、あなたが書いたスケッチ。

見せたくないです

えっ?!…
そうだ、わたしあなたを呼んできてって頼まれてたの。いきましょ?お茶の時間だそうよ。
わたしはじめてなの。こういう場所。ひよこやるわね。

何故、ひよこやるわね?なんですか?

だって…ねえ?


スミマセン、僕あんまり女のコと話す機会がなくて会話にならなくて。

なにそれ?

じゃ、わたしとまずは友達になりましょ?
会話に慣れればいいんでしょ?

いいんですか?

もちろんよ。

ありがとうございます。

ま、それは置いといていくわよっ!

と、ぐいっと腕を掴まれて初対面に近い女のコに半ば引きずられるようにしてローズガーデンを後にした。

とまあ、イギリス滞在中は話はするが双方噛み合わない会話を繰り広げていた

ひよこは ハル、ミシェルの印象は?と聞かれたけど、うん目がチカチカする女のコだね。

ひよこはため息をついた。

そーじゃなくて!

ああ。親切な人だよね。

うん。そうなの。ミシェルはとても優しくて気が利くコなの。

ミシェルさんはというかひよこの女のコの友達は揃って優しく居心地がよかった。さすがひよこの友達だけある。

話が噛み合わないのに飽きもせず果敢に滞在中ずーっと話かけてきてくれるミシェルさん。テオはおおー?!て面白そうに見てた。

バカンスが終わりそれぞれが日常に戻り、そうそう会うこともないだろうとおもっていたら
ある日の残業中のボクの部署にミシェルさんがやってきた。


キラキラチカチカする女のコが来たもんだから部署は騒然とした。

あ!ハルくん!これ!

どうしたんですかミシェルさん。

あのね、たくさん買い過ぎちゃって…で、あげる!

箱を開けると美味しそうなドーナツがいっぱい入ってる

わ…いいんですか?ボクはもちろん喜んでいただきますけども。

よかった!

じゃ!

キラキラチカチカする女のコはさっさと帰っていった

あの人…法務部のミシェルさんですよね?

しってるの?

知らない人いませんよ?

へえ…そうなんだ?

それからミシェルさんは何かにつけて僕の部署を訪ねて来てくれ忙しそうだからがんばって!と、みんなに差し入れをくれた。なんて親切なひとなんだろう。


ツヤツヤのブロンドの髪をカールさせ、流行りの服にメイクで美人でファンが多く、法務部で働くミシェルさんはめちゃくちゃ目立つ金星の女のコ。

上から下までチカチカするような派手な身なりの女のコ。でもなんかみんながウワサしてるような感じの女のコとはちょっと違うような気もする。



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