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技術導入によって得られたアドバンテージを用いて価値提供の仕組みを変え、ビジネス構造を変えることで、新しい競争基準の中で優位性を得るという、一連の変革ストーリーこそがDXなのです。
DXを考える上で重要なのは、DX以前と以後で、価値提供の仕組みは変わったのか、その価値は不可逆的なものとして消費者に認められているか、ということです。

■掲載事例
< Part 1 世界のDX事例と価値交換の仕組み>
DX Case 1 Netflix「4度のDXで絶対王者に君臨」
DX Case 2 Walmart「Amazonショックに立ち向かうリテール王」
DX Case 3 Sephora「化粧品販売の革命児」
DX Case 4 Macy's「アメリカ百貨店の象徴が見せるリテールDXの方向性」
DX Case 5 Freshippo(盒馬鮮生)「Alibabaが目指すニューリテール」
DX Case 6 NIKE「稀代のマーケティング巧者が目論む、超高速の価値提供サイクル」
DX Case 7 Tesla「自動車業界のDXをリードする新しい巨人」
DX Case 8 Uber「タクシー業界を破壊し、ギグエコノミーを生み出した元祖ライドシェア」
DX Case 9 Starbucks「『ひとときのコーヒー体験』のための徹底的なペイン除去」

< Part 2 業界別に観るDX事例>
・Category 1 小売
ワークマン「作業服という実用性の復権と脱ECモールの旗手」
GOAT「スニーカー二次流通を正当なビジネスにするDX」
b8ta「次世代ショールームは『買えるミュージアム』」
Casper「『箱に入るベッド』という新しい市場の開拓者」
Bonobos「メンズアパレルDtoCを切り開いたフロンティア」
Glossier「コミュニティのハピネスの上に成り立つコスメの新星」
Alton Lane「ビスポークに革命を起こすアパレルDtoC」

・Category 2 飲食
HEYTEA(喜茶)「『チーズティー』ブームが生んだ飲食のロッカー販売」
Darden Restaurants「Fortune500に名を連ねる名門レストランチェーンのDX」

・Category 3 輸送・物流
Grab「マレーシア発、タクシー配車から始まったスーパーアプリ」
Gojek「バイクタクシーから始まったASEAN最大のデカコーン企業」
Optoro「リバースロジスティクスを切り開くユニコーン」

・Category 4 金融
GoBank「モバイルそのものを銀行へ」
Monzo「チャレンジャーバンクという次世代銀行の注目株」
Venmo「デジタル割り勘が導く『生きたデジタル通貨』」
Zelle 「キャッシュレスを支える高速送金インフラ」

・Category 5 医療・教育
WeDoctor(微医)「コロナが加速させた遠隔医療の革新」
Tyto Care「医療診断デバイスがつくる新たな未来」
Catalia Health「ロボットが在宅ケアを行う医療
Yuanfudao(猿輔導)「中国が推進するK-12教育の風雲児」

・Category 6 BtoB
クボタ「農業にDXをもたらすAgriTechの雄」
ブリヂストン「タイヤ消費を変えるサブスクリプション」
PlanGrid「ConTechの躍進を支える直感的BIM」

■大友的編集後記
本書は、DXを通じて、ペイン(苦痛)の除去とゲイン(利得)の視点で事例がまとめられているので、この変革により何が変わったのかユーザー視点で非常に理解しやすい内容になっている。

私のまとめが非常に簡素(ほぼ引用w)かもしれないが本書の構成が事例中心にまとめられており、セミナーやネット記事よりも圧倒的にわかりやすく、詳細に書かれているため是非手に取っていただきたい。

昨今はDXにこぎつけたデジマHOWをよく目にするが、本書の事例のように企業価値やポジショニングまで変える提案ができているだろうか?

そもそもDX以前の問題で”インフラが整っていない”、”データが不透明”などの問題(技術導入)が大きいように感じる為、「DXしましょう!」ではなく、「DXの準備しましょう」が正確なのだろう。

販促の話だけではなく、一連の変革ストーリーが描けていないのが課題なので、支援側は描く手伝いをするのも重要だし、事業主側は”企業をどうしていきたいか”、”価値をどのように広めていくか”をある程度定めたうえで動いていく必要があるように思う。

その際に、お互い寄り添うことも必要で、出入り業者扱いしないことや素人にはわからないと匙を投げないようにより強固なパートナーシップが求められる。もちろん費用対効果も見るのは必要だろうが、DXできた(思い込み)からすぐ利益が上がるわけではない。なんなら長期的視点が必要になるので、PL脳ではまず成し遂げること自体難しいだろう。(効果なかった。失敗だ。元に戻そうと考えがち)

顧客にどのような価値を感じてもらいLTVを上げるのか。満足して次の顧客を紹介してもらうのか。まず損得ではなく、理念的な考え方が根底にないと厳しい。

社内のデータベースなり、エクセルにまとまっている顧客データをツールで可視化し、RFM分析なりで顧客セグメント区切って、MAなりでメッセージ送る。そこでPDCA回す。この辺りは王道のデジマ施策でしかなく、そのデータを利活用して、どのように体験を変えていくのか(OMOなど)、ペインがどこにあり、ゲインをどのように与えるかを考えると確実に小手先のHOWはDXとは言えない。(気合でサイロ化したデータを毎回まとめるのも無理はあるのでデータ基盤は整えていた方が良いけど)

やはり企業がどのようか価値を提供したくて、どの顧客にどのような体験を通じて優位性を感じてもらうか、満足してもらうのか愚直に考える企業スタンスはマーケティングもDXにも必要。
除きたいペイン、与えたいゲインがあり、それを解決するHOWの手伝いはすぐにできる(はず)ので、支援側はやっぱりベンダー感がぬぐえないなと感じた。コンサルが入って新しい価値をつくることはあるだろうが、やっぱり他人が作る価値はあまり高くないなと思ったので事業会社に行きたいと感じた今日この頃。


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