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DXの思考法 日本経済復活への最強戦略

デジタル時代の歩き方
「企業のITシステムのあり方や技術の話だけに着目して、経営そのものの改革に踏み込まないのは真のDXとはいえない」という主張は正しい。同時に、人工知能を含むデジタル技術の発展やシステムの変化のエッセンスを理解せずに、経営論や日本の組織風土論だけを語っていても意味がない。この双方向性、そしてその二つをどう統合するのかというところにDXの本質がある。

抽象化の破壊力‐上がってから下がる
デジタル化のロジックとは「具体ではなく抽象」だということであり、「この手を打てば今目の前にある具体的なもの以外のものも含めて、なんでも解決できてしまうのではないか」という発想である。
デジタル化の時代に不可欠なことは「まず抽象化してみて、それから具体化する」「まずは抽象化してみて何でも一気に片付けられないか考えてみる、そのあとで具体化する」という発想。

デジタル化の白地図を描く
ゼロイチで表現できるコンピュータの基本的な機能と人間の実課題を埋めるためのもので、サービスを提供する側、サプライサイドから見た軸とそれに人がどう関わるのかという軸からなるレイヤー構造がデジタル化の白地図。

本屋にない本を探す
自分の会社のDXを考えるときに、IT部門の人間を呼んで自社の持っているシステム構成や自社が保有しているデータについて質問するのではなく、むしろ先に、外部環境の方を棚卸ししてみよう。

デジタル化が進む世界では、業種の垣根に関係なく、多様な企業がデジタルの力を使って新分野に参入する。共通に注目しているモノを見ることで、自然にベンチマークできる。これらを見渡した上で、既にあるものは他社に頼り、そこにないモノを探して、その実現に資源に集中をする。

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プロダクトになっているものをいちいちカスタマイズするのは愚かだという主張をしている。

引用元:https://toyokeizai.net/articles/-/422912?page=4

オンライン会議など目の前のできることから順番に発想すること、社内プロセスの最適化から考えるのは、一つ前の時代の古いやり方。今は産業そのものがネットワークとして再構築されている。

アーキテクチャを武器にする
ややこしいことを目の前にしたときに、まずは「課題から考える」。「課題から考える」というのは「抽象化」でもある。カレーがないときにでも、その欲求を「辛いもの」が食べたいと置き換えられるのなら、担々麺が見つかるという、話。

自分たちのサービスや製品にどう顧客を惹きつけるかが本来的な課題だ、ということに気づきさえすれば、顧客接点がオンラインかオフラインかに関係なく並列に一つの経験、ジャーニーとして考えることができる。(DXなのだからデジタルを使うのが課題とより具体の側で発想してしまうと、おかしくなる)

あなたが夜食に食べるためのラーメンを作ったとする。その時のあなたの役割がソフトウェアに当たる。大概のラーメンの袋の裏にはこんな風に書いてあるはずだ。「鍋にお湯を沸騰させ、麺袋から麺を取り出してお湯に入れて、3分間お好みの硬さになるまで茹(ゆ)でてください」みたいな感じだ。フィールディングが否定しているのは、ここであなたがやっていることを、ある意味で厳密そうに見える「100℃のお湯で3分間茹でる」という言い方で表現することだ。そうではなくて、あなたがやっていることは「袋の中の麺を熱湯で茹でて好みの硬さにすること」だと表現すべきだ、とフィールディングは言っているのだ。つまり、「具体的な解決策」ではなく「抽象的な課題」で表現しろ、と言っている。(あなたにとっての課題は、3分間茹でることではなく、好みの硬さにして食べることのはずだ。)

引用元:https://bunshun.jp/articles/-/44315?page=4

■IX(インダスリアル・トランスフォーメーション)時代の歩き方
○ 課題から考える × 手元にある解決策から考える
(課題が与えられたときに、それは本来的に何を解決することを指しているのかを考えること)
○ パターンを探る × 既存のカテゴリー、ルールを当てはめる
(役立つパターンをいくつ持ってるかという経験知)
○ アジャイルにこなす × 要件定義をしっかり書く
○ 抽象化する × 目の前の具体に囚われ、さらに細分化する
(いきなり具体の方向に行かず、まず抽象化すべき)

大友的編集後記
今まで読んできたDX本と比較しても一部難しい内容(IT周辺の話)は合ったものの、一貫して思考法について深堀されている本書。思考に関しては以下のようにラーメンを作ることに例えていたりして、抽象化するのを解説するにはやはり食べ物が分かりやすい。

「美味しいラーメン」とは何かという追求があり、その下に「美味しい麺」「美味しいスープ」「美味しいチャーシュー」の追求があり、各々が新たなパターンをうみ、それが全体として実践的かつ多様に「美味しいラーメンを食べる」という経験を生み出すことにつながっている。

このように書いていれば腹落ちする、抽象化は簡単と思いがちだが、仕事になると具体を求められてきた経験も長く、やってしまいがち。
以前読んだ以下の本は抽象化トレーニングには読みやすいかと。

「課題から考える」「パターンを探る」「アジャイルにこなす」「抽象化する」これらはビジネスの現場でも必須の思考になると思うので実践することで身につけなければならない。
とはいえ、支援会社側でも事業会社のマーケティングの現場でも、すでに決められた具体的な依頼をこなすことが多いなと感じる。ただ、その辺まで話膨らませるとスピード感なくなったり、なんだこいつと見られがちだが成熟しきった市場で必死に椅子取りゲームをしても資源の無駄使いなので最低限、個人の思考はトランスフォーメーションして、内外に対してアプローチすることはできるはず。

とわいえ、本棚を見て、まだない本を見つける仕事がしたいな。経営者じゃなくても事業動かす側ならある程度見えるんじゃないかと思うので、DX(IX)もマーケティングもクリエイティブも経営事だなと思う。本書にもあるが技術導入や業務改善だけではなく、経営へのインパクト、勝ち続けるためにどんな戦略を立てるのか、そこまで考えられてDXの思考法なのだろう。


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