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世界標準の経営理論 2

企業行動理論(BTF)
パフォーマンス・フィードバック:「企業のこれまでのパフォーマンス・業績が、心理的なメカニズムを通じて、その後の企業行動に影響する」という命題。

①アスピレーションと現実のギャップ
企業にとって重要なのはアスピレーション(将来に向けた目線の高さ)だけでなく、足元の業績とのギャップである。
②問題解決型サーチ
自社業績がアスピレーション水準に達しないほど、企業は積極的にサーチ活動を行う
③企業の余裕スラック
業績が好調な企業は、資金など経営資源に余裕が出てくるので、サーチ行動を積極的に行うようになる。
④リスク行動
足元の業績がアスピレーション水準に到達しない企業ほど、心理的な焦りから、リスクの高い行動を取りがちになる。

知の探索、深化
サーチ≒知の探索:認知の範囲の外に出ること。新しい知の追求。
知の深化:今持っている知をそのまま活用すこと。

人の認知に限界があるので、少しでも自分の認知の範囲を出ることが重要。

シュンペーター「新しい知とは常に、”既存の知”と別の”既存の知”の”新しい組み合わせ”で生まれるのである」

自分の現在の認知の範囲外にある知を探索し、それをいま自分の持っている知と新しく組み合わせる。(目の前の知だけではすでにやり尽くされている)
一方、商売の種になりそうであれば、徹底的に深堀りし、何度も活用して磨き、収益化する必要がある。(知の深化)
→両利きの経営(知の探索と深化のバランス)

実際には、知の探索には経済的、不確実性などにより継続が厳しい。
→コンピテンシートラップ:企業、組織は知の深化に傾斜する傾向にある。

知の探索をなおざりにするので、やがてイノベーションが枯渇する。

知の探索を促し、両利きのバランスを取り戻すことが日本企業には求められている。
ex:オープンイノベーション戦略(共同開発)、CVC投資(既存の事業会社が新興のスタートアップ企業に投資をしながら時に連携を図る)

組織レベルの知の探索には「人材の多様化(ダイバーシティ)」も重要。
イントラパーソナル・ダイバーシティ…一人の人間が多様な、幅広い知見や経験を持っている状態。
※一人でもできる

組織の記憶の理論
知の保存:個人の脳内、モノ・ツールに保存、決まり事を組織に埋め込む
知の引き出し:シェアードメンタルモデル、トランザクティブメモリーシステム
※シェアードメンタルモデル:様々な情報・知見が頭の中でどう整理されていて、どう描かれているかの認知の体系のこと≒基本認知の共有
※トランザクティブメモリーシステム:誰が何を知っているかを把握する≒組織内の知の分布

組織の知識創造理論(SECIモデル)
SECIモデルの根幹:暗黙知と形式知のダイナミックな相互作用

①共同化:暗黙知→暗黙知
個人が他者との直接対面による共感や環境との相互作用を通じて暗黙知を獲得する

②表出化:暗黙知→形式知
個人間の暗黙知を対話・思索・メタファー(比喩)などを通じて、概念や図像、仮説などをつくり、集団の形式知に変換する

③連結化:形式知→形式知
集団レベルの形式知を組み合わせて、物語や理論に体系化する

④内面化:形式知→暗黙知
組織レベルの形式知を実践し、成果として新たな価値を生み出すとともに、新たな暗黙知として個人・集団・組織レベルのノウハウとして「体得」する

認知心理学ベースの進化理論
ルーティン:繰り返し行われ、状況により変化することもある行動パターン

ルーティンが組織にもたらす効果
①安定化-繰り返される業務・行動プロセスは平準化される
②記憶-組織に知を埋め込むメカニズム
③進化-余裕が生まれるので、知の探索が進められる。

ルーティーンは足かせにもなる
①漸進的な変化:ルーティンが多様で広範な知を受け入れられる
②経路依存性:ルーティンが出来上がった経緯により、方向性が制約を受ける
③硬直化:外から得た知を受け入れなくなる

ダイナミック・ケイパビリティ理論
ハイパーコンペティション:変化スピードが早く、将来予見が十分にできない環境

ダイナミックケイパビリティ:急速に変化するビジネス環境の中で、変化に対応するために内外の様々なリソースを組み合わせ直し続ける、企業固有の能力・ルーティンの総称

・ダイナミックケイパビリティを高めるために
①センシング:なるべく遠くの事業機会・脅威までをサーチすること
②サイジング:感知した事業機会を実際に捉えること

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