アメリカン・デス・トリップ 川柳27句
とらわれの王子同士の蟹ばさみ
ココリコをペルーの季語に採りなおす
いまスエズ運河を通過したごぼう
袋とじ仮想通貨の想書かれ
源義家すべてハンバーグ
隻眼のニャロメ集団幻視して
暗槓を語りつづける角川家
空港に人見絹枝のアフロヘア
南仏の釈迦をアベマで観たはずだ
県道に飛び出しているヘロデ王
輪唱の累ヶ淵をやめる人
初雪や俳句のなかの石油王
有栖川家のめずらしいのどちんこ
ゴダールの忌に人類が立ち泳ぎ
母という土手にひとしい抽象後
概要に紅茶きのこを溜める町
五寸釘ささる大脳立体図
雨がふるだろう精子をもつわれに
天上の長瀬智也の髪を切る
麻酔切れ切れ字のつづき夢想する
教科書のファンキー・ジャズを切り抜けば
落雁のようにペストを落書する
ペプシマンすべてが消える映画版
財団が好む丑三つ刻の牛
地球みて鏡像理論崩壊す
ソビエトのむかごに時の流れるか
理論上遊学しない鬼なまこ
もしお気に召しましたら、サポートいただけるとありがたいです。でも、読んでいただけただけで幸せだとも思います。嘘はありません、