ミラー効果

「せやで」とか「あかんで」とか、彼が私の関西弁を真似してくるようになった。東北出身の彼が言うからどうしても「エセ関西弁」感が拭えなくっておもわず笑ってしまう。
「ちゃんと使えてへんわ〜」と少し怒りつつも内心ではそんな彼が可愛くって仕方ない、と私は思う。

中学の時に買った心理学の本に「ミラー効果」というものがあった。たしか相手の行動や口調を真似することで相手は安心感を抱き心を開く…だとかそのようなことだったと思う。そんな簡単なことで相手の心を開くことが出来るか、と当時は辟易していた。だけれども今、たしかに私はそんな彼に心を開いていることを再確認させられ苦笑する。

477km離れているというのに、毎晩の電話のせいで、今朝の電話のせいで、すぐそばにいるかのように錯覚させる彼は少しだけ残酷だ。
だけど、私は今日も明日も、当分の間は電話越しに聞こえるキーボードのカチャカチャという音に安心しながら、作業をする彼を置いて477km離れた大阪で眠りにつくのだろう。

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