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松下幸之助と『経営の技法』#288

11/29 諸行無常と生成発展

~諸行無常と万物流転。それはすなわち、生成発展、進歩発展と考えたい。~

 諸行無常という教えがある。今日、一般には”世ははかないものだ”という意に解釈されているようだ。しかし、これを”諸行”とは”万物”、”無常”とは”流転”、つまり万物は常に変わってゆくものであり、そのことはすなわち進歩発展なのだという意味には考えられないだろうか。
 人間の考え方も変われば社会も変わる。政治も国も変わってゆく。これ皆、進歩。
 つまり、諸行無常とは万物流転、生成発展、言い換えると日に新たであれという教えだと解釈したいと思う。

(出展:『運命を生かす』~[改訂新版]松下幸之助 成功の金言365~/松下幸之助[著]/PHP研究所[編刊]/2018年9月)

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 まず、社長が率いる会社の内部の問題から考えましょう。
 一昨日(11/27の#287)と昨日(11/28の#288)で、「生と死」という観点から、会社経営に関わる新陳代謝、特にその中でも、「死」に対応する「退出」の面にフォーカスして検討しました。新しくなるということは、古いものを捨てることを意味します。その辛さを受け止め、乗り越えることが、新陳代謝の前提です。
 そのうえで、ここではいよいよ、「死」に対する部分でなく、「生と死」の両方の関係を確認します。
 と言っても、繰り返し説明してきたように、「死」があるから、「生」の余地ができます。逆に言うと、「死」によって「退出」してくれないと、新陳代謝が起こりません。組織は活性化されず、組織自体が老化してしまいます。適切な代謝を組織に促すためにも、適切に退出を促す必要があることは、ここまでの2日の検討で理解できたはずです。
 しかも、単に変化についていくだけでなく、時には、積極的に変化を促すために、「退出」を決断することも必要です。特に、会社組織として、「人」「事業」それぞれについて、変化を受け止めなければないのです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 次に、ガバナンス上の問題を検討しましょう。
 上記のように、社内組織を新陳代謝させていくのは、組織の維持のためにも重要ですが、それだけでなく社会の変化に組織を合わせていくためにも重要です。昨日と一昨日には、「人」の「退出」として経営者の交代と、「事業」の「退出」として会社自体の清算を検討しました。
 このようなプロセスを経ることで、企業も市場も活性化されるのです。

3.おわりに
 会社経営と「死生観」は、どこかに、死を悟って死ぬ気で頑張れ、という根性経営につながる匂いがしますが、松下幸之助氏のイメージはそこまで煮詰まったものではありません。新陳代謝を当然のこととして受け止め、上手な新陳代謝を考える、という自然体の自分自身が問題になるのです。
 どう思いますか?

※ 『経営の技法』の観点から、一日一言、日めくりカレンダーのように松下幸之助氏の言葉を読み解きながら、『法と経営学』を学びます。
 冒頭の松下幸之助氏の言葉の引用は、①『運命を生かす』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に了解いただきました。

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