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経営の技法 #38

4-11 標準化
 内部統制(下の正三角形)上、多様な業務処理のフォーマットやプロセスを整理して一本化することを「標準化」という。「標準化」は、ビジネス上もリスク管理上も、メリットが大きい。

2つの会社組織論の図

<解説>
1.概要
 ここでは、以下のような解説がされています。
 第1に、標準化の意味を確認しています。すなわち、製造業ではJIS規格などの規格化を意味する場合もありますが、ここでは、多様な業務プロセスを減らしていくこと、と定義づけています。
 第2に、「中日本高速道路の笹子トンネル事故」の事故原因の一つに、トンネルの工事仕様が標準化されていなかったことを引用しつつ、標準化には、業務がある程度硬直化するというデメリットを上回りメリットがある、と説明しています。
 第3に、このことは物理的な標準化だけでなく、プロセスの標準化にも当てはまるとして、「東京ドーム遊戯施設『舞姫』の死亡事故」「高速増殖炉『もんじゅ』のナトリウム漏れ事故」「上尾保育所における児童死亡事故」を分析しています。
第4に、標準化には営業面でのメリットもあることを指摘しています。

2.人はミスをする
 本書では、念のため標準化の重要性を説明していますが、標準化が業務上重要であることは、多くの場面で常識であり、何をいまさら、と感じた読者も多いでしょう。
 それは、人が行う作業には、頻度はともかく、必ずミスが生じるからです。
 これを機械化すれば、導入当初は「バグ」が出ますが、「バグ」を修正する度に精度が上がっていき、人間のミス率よりもいずれ下回るのが通常なのです。

3.おわりに
 標準化(さらにマニュアル化も)は、特に製造業の場合、必須のプロセスです。
 技術者が納得できるまで実験を繰り返し、標準化してもビジネスに耐えることが検証されなければ、業務は開始されないなど、製造過程でのミスが会社の事業を破壊してしまう危険を熟知しているからです。
 この意味で、標準化やマニュアル化は、製造業者では当然のことです。
 うちの会社のビジネスの場合には、個人の柔軟な判断が大切だ、特にこの業務は、標準化できっこない、等と頭から決めてかかるのではなく、標準化のメリットも理解し、できるところから導入してみてはどうでしょうか。

※ 『経営の技法』に関し、書籍に書かれていないことを中心に、お話していきます。
経営の技法:久保利英明・野村修也・芦原一郎/中央経済社/2019年1月



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