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投資の原則

15th Rock Venturesが発行するNews letterから一部抜粋しています。
今回は、さわかみ投信にて上場株ファンドマネージャー→ニッセイキャピタルにてIT分野を中心としたVC投資を経験してきた弊社GPの源が書いております。
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 私は27歳で投資の世界に入りました。それ以来10数年、未だに完全には確信に至れないものがあります。それが投資の原則です。投資家は一体どういったタイミングで、どういった会社に、いくらの株価で投資をすべきなのか、また同様にどのように売却すれば良いのかということです。最初は上場株を扱う投資ファンドで株式アナリスト、後にはファンドマネージャーをやっていて、そのようなことばかりうんうんと考えていました。レイ・ダリオしかり、バフェットしかり、成功した投資家には必ず確固たる投資の原則があるからです。ベンチャー・キャピタリストに転身して、独立してもその探究はまだ続いています。現時点で信じる原則を下記したいと思います。

・万人に当てはまる投資の原則は存在しない。


 例えばバフェットの投資の原則は厳密にはバフェットにしか適合できません。理由は色々ありますが、投資行動は各人の恐怖と欲望の度合いに大きく左右されます。だから、その度合いに合わせて投資の原則はテーラーメイドする必要があります。

・捨てることを決める


 やらないことを決めると言い換えても良いかもしれません。投資は無限に近い選択の連続と言えますが、一方で人間の能力には限界があります。得意な分野もしくは好きな分野に絞ることによって、できるだけ選択の回数を減らし精度を上げることが重要だと考えています。例えば先のレターに書いた通り、当ファンドはシードおよび、レイターステージにしか投資をしません。

・将来の納得を現在の不納得で投資する


 投資委員会等で皆が賛成するような案件、投資アイデアは将来的に投資妙味を生むことが少ないと考えています。皆が賛成するということは不確実性が低い代わりに、期待リターンも低いと言えるからです。例えば当ファンドの投資テーマである「Human Augmentation」もお話をすると大半の方に首を傾げられるのですが(荒唐無稽と言われたこともあります。)、その度に私は正しいテーマを選定したなとほくそ笑んでいます。

・チームに投資をする


 何よりも経営チームを重要視していて、そのチームが人間的に好きかどうかは投資判断においてとても重要な要素だと考えています。特にシード期には企業価値の大半は経営チームだからです。ただ、それ以上に投資家にとって投資のリズムを保つために重要だと考えています。投資に絶対はありえません。特にスタートアップ投資はうまくいかないことの方が多いです。その際、「流行りだから」とか「儲かりそうだから」が先に来て投資をし、失敗すると(私の場合は)すごく後悔します。後悔は投資のリズムを狂わせて、焦りを生み、冷静な投資判断が出来なくなるような負のサイクルを作ってしまいます。それを防ぐために、失敗した時のことを想像して「この人がこれだけ一生懸命やってもうまくいかないのだったら仕方がない。一緒に次のビジネスを考えよう」と思える人に投資をしています。

・モメンタムに投資をする


 出会い頭で投資をすることはほとんどありません。その前にチームのメンバーと定期的にお会いして、なんらかのポジティブな変化(モメンタム)がある会社に投資をしています。定量的に測れる売上やKPIはもちろんのこと、「どの人に会ったとか」「こういうアクションをしている」といった定性的なことでも良いと考えています。これが直接的に企業価値向上に資することは言わずもがなですが、チームメンバーの士気にも大きく影響すると考えています。スタートアップはチームメンバーに金銭的には多く還元できないことが多いからです。そのかわりに、自分も会社も成長・向上しているという実感を提供することが重要だと考えています。

Takeshi Minamoto

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