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小説 京都 リ・バース 東の都編 『都市迷宮』シリーズ

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成田空港に降り立った金髪の青年は、十二年前に打ち込まれた消せない傷を胸に抱えていた。雪村修造という、巨大な傘を失ったただ一人の後継者雪村紫月。雪村舞は、兄紫月が何かを決断しようと… もっと読む
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小説「京都 リ・バース」 3 タクシー・ドライバー(3) 東の都編

「ラジオを付けてくれないか」  後部座席の金髪の外国人は、一語ずつ英単語を選ぶように、口…

サトコ
3年前
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小説「京都 リ・バース」 3 タクシー・ドライバー(2) 東の都編

 紫月の前に立ち案内するのは、頭髪の大部分を白くした壮年の男。肉の薄い背中で、濃い色のス…

サトコ
3年前
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小説「京都 リ・バース」 3 タクシー・ドライバー(1) 東の都編

 困ったことだ。  胸の前に掲げたウェルカム・ボードの端をポンと叩いてみる。  彼の客が乗…

サトコ
3年前
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小説「京都 リ・バース」 2 城塞の姫君(3) 東の都編

  ◇◇◇  日本。  この世界での時間経過で、十二年。  十二年前にも、『彼』はこの国に…

サトコ
3年前
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小説「京都 リ・バース」2 城塞の姫君(2) 東の都編

 ◇◇  大正時代に建てられた重厚な造りの邸宅は、高い天井と冷たい石造り。長い廊下には、…

サトコ
3年前
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小説「京都 リ・バース」2 城塞の姫君 東の都編

 神奈川県相模原市緑区。旧相模湖町は、相模原市に編入されるまでほぼ一万人の人口を擁してい…

サトコ
3年前
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小説「京都リ・バース」1 ドクター・クラン 東の都編

 この国の大気は、湿り気を帯びていて、女の肌を思い出させた。  彼が、自分のものにするつもりだった女。  なめらかな皮膚。手の内に包んだ乳白色の乳房の感触。 『……でも彼女は、あなたのものにはならなかった』 「過ぎたことを」 『十二年です。あれから』  暖かい微笑みの客室乗務員に送られ、他の搭乗客と共にボーディング・ブリッジを歩く。  大きく開けた窓に、空港の景色が広がる。  整然と居並ぶ旅客機の群。とどまることなく機能し続け、旅客機を送り出し受け入れる。  成田国際空港。

小説「京都リ・バース」 前書き

小説「京都リ・バース」 東の都編 始めました。 最後まで走れるかわかりませんが。あは。 …

サトコ
3年前
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小説「京都リ・バース」0 迷宮の鍵 東の都編

 私は、どこにでも行けるの。  ポスト・カードが一枚あれば。世界中のどんな街にも、どんな…

サトコ
3年前
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