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整形して逆襲した話

こんばんは花香ユイです。
この間、他部門の先輩と一緒に出張したんですが。その先輩が「おまえの部門の人が俺の悪口を広めてる」って言ってきたんです。
全く身に覚えがないんですが、まあ勘違いされる原因として、私の部門のパートさんはとにかくおしゃべりなんですよね。
一つ、「Aさんが足を引きずっているところを見た」その情報をあの人たちに与えれば、ものの10分で、「Aさんが転んで怪我して早退して病院に行って労災になった」みたいな「噂」が出来上がります。
そういう噂って、人によっていろんな感じ方がされるから、伝達していくにつれてもはや事実と異なる話になってたり。先輩はおそらくその最終地点の、噂の本人に伝わるところまで行っていたから、相当歪んだ噂になったんだと思うんです。こわいですねー。人の噂って。
で、まあ、私そういう噂に昔から苦手意識があって、小学生のくだらない妄想噂話にもついていけなくて、ひねくれて、なんかいつの間にか無視されてるということがよくあったんです。
でもね、こういう文章書いてると思うんです、私も私の感じ方でしかものをかけないじゃないか、と。当たり前ですけど、でも例えば私が被害にあったからと書いても、加害者と思われる人はそんなつもり無いかもしれないじゃないですか。でも事実だけ書いても面白くはならない。大概どっちかの勘違いでしょうし。
そこで、もうここは割り切って「私の感じたこと」として書いていこうかなと思います。
私が感じた、ということは事実ですから。

では本題に移ります。
先に書いたように、私は昔からいじめられる無視されることが、人より多かったように思います。性格が原因だとも思っていますが、小学生高学年くらいになって「容姿」をいじられることが多くなりました。主に、顔について。
ある日、何気ない「ブス」という言葉に傷ついて、クラスの可愛い子に相談したことがあります。「どこがブスなのかなあ」というと、その子は私の顔をじっと見て「眉毛が太いんじゃないかな」と言ってきました。
いやいや、否定してくれよ、と思いつつ、可愛い子の言うことだから間違いないんだろうな、と思った私は、家に帰ってすぐ鏡を見ました。そこで、めちゃモテ委員長(当時ちゃおで連載されてた漫画)で眉毛を整える方法を教えてくれたのを思い出した私は、母のカミソリで勢いよく!眉毛をそったのです。もう予想通りだとは思いますが、おかげで眉毛が半分消えました。なんでもキモいかブスで表現したがるあのときの小学生たちにとって格好の標的と化した私は、更に多くの「ブス」を浴びたのでした。
そんな思い出もあり、中学生くらいになる頃には「自分はブス」と強く思い込んでいました。実際はどうかわからないですが、私は今でもあのときの自分はブスだったと信じています。
親の言う「ユイちゃんはかわいいよ〜」が全く信じられなくて拒否してから、親すらも、もう誰からも「かわいい」なんて言われない日々が続きました。すれ違う誰もがコソコソ私のことをブスだと言っている気さえしました。
そんな私でも、気になる男の子はいて。中学1年生の頃、先程話したクラスの可愛い子(aちゃんとします)と、他の小学校から上がってきた二人の男の子、そして私の4人でおしゃべりをする習慣がありました。そのうちの一人(yくんとします)になんとなく好意を寄せるようになりました。なんでそうなったか、あんまり覚えてませんが、私はそれがとても楽しかったのを覚えています。
しかし、少女漫画脳の私はすぐ気づきました。
yくんはaちゃんが好きだ と…
それに気がついてからはyくんが自分をさげすんでいるように見えて。あまり話さなくなりました。だって虚しいから。男の子は可愛い子が好きなんだもん。ブスの私と喋ってくれてたのはaちゃんが隣りにいるからだったんだよ…。
他にも、話せば長くなるブスエピソードはたくさんあって。そのおかげで自分の性格がどんどんネジ曲がり、容姿どころか性格的に好かれなくなり、どんどん友達がいなくなりました。
今でも中学時代の友達と呼べるのは、2人ぐらいなもんです。でも連絡すらとってない。
そして高校に上がった私は、ようやく人並みに容姿に気をつけるようになりました。周りがみんな可愛すぎて、焦りがあったんでしょうね。
メガネをコンタクトに変えたり、伸ばしっぱなしだった髪をバッサリショートヘアにしたり。文化祭で化粧してみたり、制服を崩して着てみたり。人並みに、なるのにさえ苦労しました。
それまではいくら努力したところでブスはブス、と足踏みしてただけでしたから。
今思えばダサい服装ダサい髪型ひどい顔、なんですが、当時はブスから開放された喜びが大きかった。
で、当時SNOWという顔加工アプリが流行り始めて、私もその流行りに乗っかり始めました。あのアプリ、使ったことがある人はわかるとは思いますが、どんな人でも超超超可愛くなるんですよ。ブスと言われ続けてきたこの私でも、人様の目の前に出しても恥ずかしくないくらい可愛くなるんですよ。盛れたってやつです。
それがもう嬉しくって嬉しくって。毎日のように自撮りしてました。
しかしながら、いくらはしゃいでも家に帰っていつものように鏡を見ればそこには中学時代から何一つ変わらないあの「ブス」がいます。どう頑張ってもスマホの画面にいた自分はいません。昼間撮った写真と自分の鏡に写った顔を毎日毎日見比べて、「盛れた!」と「ブス!」を繰り返しているうちに、写真の中まで醜い顔に見えてきました。
「ブス」はいつの間にか「どうあがいても、ブス」に変わっていました。
彼氏ができても気持ちは全く変わらなかった。なんでこんなブスと付き合えるの?なんでこんなブスに優しくできるの?なんでこんなブスにキスできるの?その繰り返しで、愛なんてありませんでした。
あるとき、ネットで仲良くなった男性がいて。彼は私の盛れた写真を見て可愛いと言ってくれ、毎日のように連絡してくれました。誰よりも私の内面を見てくれました。
いつの間にか好きになっていて、その男性といつか会いたいと思いました。
しかし、それは彼に「ブス」をバラすことでもありました。嫌われたくない、そんな気持ちがつのりました。その頃。化粧、アイプチをしすぎて伸び切ったまぶたの皮は、もう分厚い一重を二重に繋ぎ止められない、限界に来ていました。毎日アイプチが取れるたびにうつるブスを殴りたくて鏡を睨みつけていました。もう騙したくない。でも嫌われない方法。そうだ。可愛くなるしかない。
そこで、私は二重整形を決意しました。
たまたま、3日連休がとれたある日。昨年の10月だったと思います。東京の某整形外科で二重埋没法の手術を受けました。
親にも彼にも伝えずに。まあ帰宅して腫れ上がったまぶたを見た親にはすぐバレましたが。笑(無断でやったことは怒られましたが、二重整形に関しては認めてくれました。いい親を持った…)彼にも伝えたのですが、ものすごく怒られたのを覚えています。笑 、その後はなんやかんやあって、彼とはお別れしたのですが。まぶたの腫れが引くまで2ヶ月ちょっとかかりました。たぶん会社にもバレてます。笑
とまあ、整形を果たした花香ユイですが。ただまぶたに糸を入れただけですが。私自身が一気に変わりました。友達にも言われるくらい、性格まで変わったみたいです。世界が明るくなりました。自信がつきました。誰かに可愛いと言われて喜べるようになりました。当時、整形をしたという負い目はありましたが、今となっては二重整形をして、心から良かったと思っています。
自分に自信がついてからはおしゃれや化粧を楽しめて、毎日自分の顔に落ち込むことも全くなくなりました。そんな余裕が出てきた私はあることを思い出しました。
中学時代のあの真っ黒な毎日です。
もし、今の気持ちのままあの時代を過ごせていたら。誰かをちゃんと愛せたかもしれない。今よりずっとおしゃれを楽しんでいたかもしれない。もっと自信がついてやりたいことがたくさんできたかもしれない。ねじ曲がった性格なんてなかったかもしれない。整形しなくてもよかったかもしれない。整形したことに負い目を感じなかったのかもしれない。考え出すと止まらない。泣きたくなるくらい悔しい思いでいっぱいになりました。もう一度、中学時代をやり直したい。
そんなとき。あるハガキを思い出しました。
「成人式のご案内」そう書かれた文字を改めて見た瞬間、複雑な思いがどっと沸き上がりました。怖い。でも、今の自分なら。友達はいないし。緊張するけど。整形したことを言われたらどうしよう。またブスだと思われたらどうしよう。また逃げるんだろうか。挑戦してみてもいいんじゃなかろうか。みんなの反応が怖い。あの冷たい視線とかみ合わない会話のストレスを思い出す。でもやっぱり。行ってやろう。行ってかわいいと思われたい。あの時代のつらい気持ちを上書きしたい。

振袖のレンタルには20万円以上必要でした。でも惜しくありませんでした。
大好きな赤色の振袖に心を託して、現ナマ20万円をもって着物店にむかったあのときのワクワクと高揚感は今でも忘れていません。一世一代の大勝負の挑戦状を握りしめているような気分でした。
前撮りの撮影はすごく緊張しました。いつもフィルターを通してしか映らないこの顔が、一体あの一眼レフにどう写っているんだろうと考えると、帯に締め付けられた胃がひっくり返りそうでした。しかしそこに写っていたのは自分史上最高のかわいさでした。笑 プロのカメラマンってすごい。というより、自分をかわいいと思えるくらいまともになれた感動のほうがすごかった。笑
迎えた当日も緊張…するかと思いきや、晴れ着に身を通した娘をいとしい目で見る両親の顔や、あいさつに行った時の祖父母のあたたかい笑顔に癒されて、とてもいい気分で勝負の舞台へ進むことが出来ました。
会場に着くと、すでに色とりどりの振袖とスーツの人混みができていました。なんとか自分のクラスメイトを見つけて話しかけるも、当時の居心地の悪さを再度体験するだけでした…。仲の良かった友達は来ていなかったので、まさにボッチでした。忘れていたけど、当時もそうだった。仲のいい友達がいないときはグループになっているクラスメイトの一歩後ろを歩く。会話に入ろうとしても疲れるからだまってついているだけ。たまに話しかけられても、ちょっといじられるだけで大して楽しくもない。そんな感じを再体験してしまいました。本当につらかった。
式典が始まり皆席に着くも、私は一人、角の椅子に座ってスマホをいじっているだけ。結局、こんなにおしゃれを頑張っても親にも喜んでもらっても整形までして手に入れた自信があっても鏡に映った自分を見てうれしくなっても気分がよくても。そこはあの時の中学校の校舎の中と何ら変わりなかったのです。絶望感が募って、式典の中休憩で会場を抜け出しました。親が送ってくれないと帰れないから、連絡がつくまでじっと寒空の下でコンクリートに腰を下ろしていました。何のために親からもらった顔をいじったんだ、何のための20万だ、なんのためにここに連れてきてもらったんだ。無駄に無駄を重ねている気がして、まさにどん底でした。思い出すだけで泣きそうです。
その後、同窓会に出席する予定だったので美容院の予約を入れていました。あれだけの恐怖を思い出しはしましたが、まだ負けていられなかった。美容院に行けばもっと自信がつくし、同窓会には友達も来る予定だった。逆襲の二回戦がスタートしました。
同窓会には遅刻しました。理由は美容院に財布を落としていったからです。困ったことにこれでは目立ってしまう。自分で難易度を上げてしまいました。笑
会場に入るとすでに宴会は始まっていました。そして、仲のいい友達が手を振っていました。ほっとして席に着いた。でもここからどうしようか。きっと誰も話しかけてこないし、やっぱり早々に帰ったほうがいいかな。そう思いながら飲み食いしていたのですが、思いのほかみんなが優しかった。
だって、女の子はみんな「ユイかわいくなったね!」って言ってくれたし、男の子だって、当時いじわるしかされた覚えのない人がめちゃめちゃ話しかけてくれたし。なんでだろう。整形したからみんな優しくなった?違うんだろうな。単に整形したからじゃなくて、おそらく私の「感じ方」が変わっただけなんだ。自信がついたからだ。自分が明るくなれたからだ。ってことに気づいてしまったんです。ああ、楽しいな。ずっとこの気持ちのままがいいな。うん、整形してよかった。変われてよかったな。
トイレで席を立った時。なんとあのyくんを見かけました。妙に緊張したけど、あの時だったら目を伏せていたけれど、(もうあんたのことなんかわすれたわよん)くらいの気持ちで、堂々とすれ違いました。その時「ユイかわいくなったな!」そう言われたんです。ドッキーン!?そんなこと、言ってくれるんすか!?でも彼のことはもうどうでもいいので笑 「ありがと~!」そう言って妙に明るくふるまって、立ち去りました。内心「やったあああああああああ!!!!」でした。だってあの時私のことをさげすんだように見てきた(様に見えた)あのyくんが。今はこんなに明るい顔で私を見ている。ああ、よかった。今まで頑張ってきてよかった。本当に良かった。
つらかった記憶を、しっかり上書きすることに成功しました。
私、変われてよかった!るんるんの気持ちで帰宅したのでした。

と、言うわけで。これが、私の逆襲でした。
私が今まで生きてて一番、自分の変化を感じたエピソードでした。
読んでくれたあなたが、もしどん底にいるなら。
自分の感じ方を変える行動を是非してください。
きっと、つらくても。心からよかったと思える時が来るはず!
長々と、スイマセン。
これで終わります。最後までありがとうございました!

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