ファンタジウム
「うわっ。やられた!こんな話に出会ってしまうなんて」
「読み続けてきて、よかった…」
「なんかもう大声でさけびたい!」
と思わされるマンガに会うことがあります。
さけんでおこうかな。
「ぅわーーーー!ファンタジウムさいこう!」
ファンタジウム 杉本亜未 講談社
というわけでマンガ感想文書いていきます。
マンガ感想文、ずっと書いてみたかったんです。コラムというより小学生が書く作文みたく、書きたいこと書いちゃおうと思います。
ここからはおおいにネタばれです。ファンタジウムの2巻まででとめますね。
私は大人になってもマンガを読む人ですが、思考のクセが自分でも目につくようになりました。それは
「登場人物は私にも当てはまる部分があるか」です。もっというなら
「もしこの年齢、この環境で育ち、こんな状況下に置かれたら、私はこんな行動や気持ちを持つだろうか」です。
そこまでいくと登場人物の80%は「私もそう」なります。
困ったことに、どんなにイヤーなひとでも、です。お手本にしたくない、性根がわるい、そっち側には行きたくないと批判できる人でも「気持ちはわかるかも…」となります。
物語を読んでいるときは犯罪者にもなれてしまう。
自分の中のそういう部分を見つけるとつかれます。気持ちの平衡感覚を見失うときもあります。
それでいくとファンタジウムめっちゃつかれます。
でもそれがおもしろいんですよね。
どっぷりはまる物語は、主人公まわりの人間が丁寧に描かれてる作品だったりします。言葉は少なくても、間や表情で納得させられてしまう。イタタ…と感触さえわかる描写です。
なのでまずは、すきでたまらない魅力あふれる主人公、長見良くんではなく真綿でしめるように嫌なやつになっていく五十嵐くんに焦点をあてたいと思います。
(え、なんの感想文なんだ?)
良はとても利発な少年ですが、読み書き障害のため学校の試験はからきしできません。しかし彼にはマジックという才能と、自分の感覚を信じ発言できる度胸があります。
はじめ五十嵐は良と仲よくしようとしますが、良がまったく点数が取れないことに気づき心の中で見下しはじめます。
クラスのみんなもばかにしはじめたのがポイントでしょうか。五十嵐はまわりの目を気にするふつうの少年です。
そんな中、良が何気なくした手遊び、ペンまわしが鮮やかすぎて担任に手放しでほめられてしまいます。
ここがほんとに秀逸な、杉本亜未さんならではの表現なのですが、クラスの空気が一気に暗くなる。
勉強ができない良がなぜ、担任に絶賛されているのか。おもしろくない。
そう声が聞こえてくるんです。
五十嵐はまだこの時点で危害は加えていませんが、癪に触っていたのでしょう。良のことを調べ「プロマジシャン」であることを知り、一気にイジメの主謀者へと落ちていきます…。
どうでしょうか。私は五十嵐の立場に入りこむと、この気持ちの変化がわかってしまいます。
この劣等感や嫉妬は、むかしどこかで感じたことがある気がするんです。実際に行動するかは別として、心のどこかに持ち得る薄暗い感情。できたら目を背けてしまいたいですね。
それを別の角度から救ってくれるのがマジシャン、良です。読者さえもことばにできない「こうありたい姿」を突き進んでくれる。実現してくれるところがまさに魔法。
まだまだ辛い渦中にいる良ですが、2巻のラストシーンは忘れられません。
感想文を書いてるはずですが、ここは説明したくない。割愛します。
(画と間がたまらないんです…!)
こんな感じでマンガ感想文、少しずつ書きとめていきたいと思います。
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