日常の中の非日常

ギュウギュウではないけれど、パンパンに入っているフロアの後方へと、人の隙間を見つけては進む。
フロアの前方より一段高くなっているそこから、ステージの方へと見ると、上手よりも下手のが人との隙間に余裕がある。

このライブハウスは、上手後方一箇所の扉からフロアへと入っていく作りなので、どうしても上手に人がたまってしまうのだろう。

後ろから見れば、下手に余裕があるのがわかるが、前方の上手にいたら同じ高さの下手に余裕がある事は無数の人で視界が遮られて気付かないだろう。

それか、上手のメンバーのファンが下手のメンバーより圧倒的に多いという場合もあるけれど、それでも幾分空間がある下手にいた方のが見えやすく感じるはずだ。

フロア内はBGMと女の子たちの話し声などで賑やかな音が漂っている。

流れていたBGMが止まると同時に、フロアの照明が暗くなる。それに合わせて話し声も消え、一気に静まり返った。

ふと、携帯の画面の光が漏れ出ないように時間だけ素早く確認するとスタート時間ぴったりだ。

色々なバンドのLIVEを見ていると、このバンドは時間通りに始まるだろうなとか、どうせ遅れて始まるだろうなとか、大体わかってくる。意外かもしれないけれど、スタート時間ぴったりに始まるバンドはなかなかいない気がする。

SEが鳴る。どんな登場をするのか、一曲目は何の曲なのか、どのような服を着ているんだろうか、フロアは期待やわくわくとした色んな感情でいっぱいなのが空気間に伝わってくる。

これは私的な思いだけれど、イベントではないそのアーティストだけの単独LIVEは、一曲目一番最初の始まりに全てが込められてる気がする。つまり、始まりでそのLIVEの良し悪しを汲み取ってしまうという事だ。

最初が一番、ステージ上とフロアのお互いの感情が昂っている良い空気間な気がする。

だから始まりはとても大事だ。

緊張、期待、色々な感情が広がる空気の中、ゆっくりと幕が開いていった。

#cakesコンテスト2020 #バンド #音楽 #LIVE


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