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やはり「経験」は必要?

 アニメーターといえば、人気が高い職業の一つである。幼いころから親しんできたアニメの制作に携わりたいという強い憧れをもち、本職のアニメーターを目指している人は少なくないだろう。

 しかし、収入面ではなかなか厳しい職業のようである。一般社団法人日本アニメーター・演出協会の『アニメーション制作者実態調査2023』によると、アニメーターの平均年収は422.5万円、新人中心の動画マン(他の人が描いた原画をもとに、キャラクターの滑らかな動きを描くアニメーターのこと)の平均年収は263.2万円だということだ。

 そのためか、たとえばアニメの背景で「大金持ちの部屋」を描こうとすると、アニメーターたちから「シャンデリア」「夕食で出される鳥の丸焼き」「執事とメイド」などのステレオタイプなイメージしか出てこないことがあるらしい。実生活とあまりにかけ離れているため、想像することが難しいのだろう。


「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」
 という言葉は、18世紀のフランスで民衆が飢餓に苦しみ、「食べるパンがない」ということを聞いた王妃マリー・アントワネットによるものだとされている。

 実際には、マリー・アントワネットとは別の「高貴な女性」による発言のようだが、当時の特権階級の人間には民衆の困窮が理解できず、感覚がズレていたということの証になる言葉だろう。

 ・・・先日、
「たとえ直接的な経験がなくても、それまでの知識や他の経験をもとにした『想像力』によって、それを補うことができるのではないか」
 という内容の記事を書いた。

 しかし、逆に言うと、
「知識も経験もないのならば、想像することは難しい」
 ということにもなるだろう。


 自民党の総裁選挙の投票は、今週の27日(金)に迫っている。投票権をもつ方々には、それぞれの候補者が「想像力」をもっているのか否かをよく見極めていただきたいと思う。

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