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cardigan-Taylor Swift 歌詞和訳

こんにちは。
前回のthe 1の和訳が思いの外好評で、初めて人目に触れるところに和訳を出したので少し安心する一面、もっと素敵な和訳記事を書けるように頑張ろう!!と気を引き締めた今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか。

私はというと、気を引き締めたのはいいものの、このcardiganという曲が前回訳した曲に負けず劣らずとても難解だったんですね。本当に。この訳でいいの??え???と頭を悩ませ続けて早一週間、やっと記事にできるところまで完成いたしました。

まずはこのcardiganという曲について簡単に説明しますね。この曲、アルバムリリース日の7月24日の13時(7+2+4=13!!13はTayちゃんのラッキーナンバーです)にYouTubeにてfolkloreからの最初のMVとしてリリースされました。TayちゃんはこのMV公開前のQ &Aで、この曲を含む三曲は一つの三角関係についての曲で、それぞれが別の視点から書かれているものだと話してたんです。
(後の二曲は#8 augustと#14betty です)

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その二曲を踏まえると、高校時代に起きた三角関係のお話のようです。なので今回は、少し想像の余地も持たせるという意味でこちらを和訳する上でベースの設定としました。

尚、アルバムのコンセプトであり、魅力である曲全体の物語性を大切にしたいので、歌詞は一行ずつではなくセクションごとに、原文に忠実な直訳というよりは日本語にフィットするような訳を心がけました。
そのため、私が洋楽の歌詞を和訳して英語を勉強したこともありますが、意訳になっている部分含め、元の歌詞を理解するうえで助けになるような注釈を随時記しますので、和訳でニュアンスを楽しみつつ、Tayちゃんの綴った歌詞も存分に味わっていただければと思います。


#2 cardigan

[Verse 1]
Vintage tee, brand new phone
High heels on cobblestones
When you are young, they assume you know nothing
Sequin smile, black lipstick
Sensual politics
When you are young, they assume you know nothing

古着が好きなくせに最新の携帯を持ちたいあなたと一緒に
ハイヒールのまま平気で石畳を渡る
若いだけで何もわかってないように言われるね

どんなに見かけの良い人も簡単には信じられない
性別次第で強くも弱くもなれる
若者には聞く耳も持たないこんな世の中で

・brand new: 真新しい
・cobblestones: 石畳
・Sequin smile, black lipstick: sequinはスパンコールという意味ですが、ここの部分は二人を取り巻く環境の話だと解釈しているので、「一見とても素敵に見える人たちでも、彼らが信頼に値することばかりを口にするわけではない」という、周りへの不信感の比喩として捉えました。
・sensual politics: 官能政治と訳せますが、ここは最も解釈に苦しんだ部分の一つです。おそらくですが、Tayちゃんのこれまでの言動などを考慮すると、これは政治の世界よりもっと広い、社会での性差による不平等を表現しているのではないかと思います(超個人的意見)。

[Chorus]
But I knew you
Dancin' in your Levi's
Drunk under a streetlight, I
I knew you
Hand under my sweatshirt
Baby, kiss it better, I

あなたのことだけは分かってた
外灯に照らされながら   酔っぱらってふらつくあなた
古着のデニムがお気に入りだった
あなたのことなら全部分かってた
スウェットの下に手を忍ばせて   口づけを交わす
ねえ、早くこの苦しみから解放してよ

・in your Levi’s: 服とかを着ている状態を表すとき、in〜(着ているもの)と表現します。結構高校のテストとかで出るので歌詞ごと覚えちゃうと便利です!私はWildest Dreamsの“standing in a nice dress “ で覚えました笑  
Levi’sは、靴かデニムか迷いましたが、序盤に繋がった方がまとまるかな、と思ってこんな訳にしました。
・kiss it better: 「痛いの痛いの飛んでけ〜」ってやつの英語版ですが、前の流れからして普通にキスしてんな〜と思ったのでダブルミーニング風に訳してます。

[Refrain]
And when I felt like I was an old cardigan
Under someone's bed
You put me on and said I was your favorite

誰かに着古されてベッドの下に忘れ去られたカーディガン
そんな気分に陥っていた時
ひきずり出して満足げに羽織ってくれたのがあなただった


[Verse 2]
A friend to all is a friend to none
Chase two girls, lose the one
When you are young, they assume you know nothing

「八方美人は知り合い止まり」
「目先の欲に眩んでばかりじゃ、二度と満足できなくなる」
まるで何も分かっていないかのような言われよう

・chase two girls, lose the one: 二兎追うものは一兎も得ずってやつですね。目先の欲にばかり気を取られていると、大切なひとはいつの間にかいなくなっちゃって、一生運命の相手ジプシーになっちゃうよ〜ってことです。浮気に通づるものを感じますね・・・。ちなみにこのthe oneは、トラック1のthe 1のように運命の相手的な意味で使われているのかなと思います。ちなみにthe 1も訳しておりますのでよろしければ読んでやってください。 


[Chorus]
But I knew you
Playing hide-and-seek and
Giving me your weekends, I
I knew you
Your heartbeat on the High Line
Once in twenty lifetimes, I

でも分かってた
上手くいくことばかりじゃなくても
大切な時間は二人のためにあった
ハイラインを渡る時 あなたの胸が高鳴ってる
数奇な出会いだって 同じように思ってるはず

・Playing hide-and-seek: かくれんぼのことです。直訳するか非常〜〜〜に悩みましたが、恋の駆け引きや関係を進めていく上での紆余曲折を想起したため、その後のweekendsは全ての週末=相手にとって貴重で、大切な時間 と解釈しました。ストーリー性に統一感がなくなるので却下しましたが、パパラッチから逃げ回る日々や、Tayちゃんからの隠されたメッセージをSwiftiesが考察する様子(これはTwitterで見かけました笑)など、いろいろ想像が膨らむ部分かな、と思います。
・High Line: これは鉄道高架の跡地に作ったニューヨークの公園のことなのですが、公園で二人で歩く場面と、相手の鼓動が高鳴る様子を一つにして表現しているのかな、と思いました。心拍数が上がる様子にあんまりhighは使わないようですが。
・once in twenty lifetimes: 直訳すれば、人生を20周してもたった一回(の出会い)ってことです。この記事は日本語訳なのであまり疑問に思わない方が大半かと思いますが、イスラームやキリスト教を信仰されている方もいるかと思うので、輪廻転生の概念ありきの訳は避けたいな、と思い少し安直な感じの訳になってしまいました!

[Refrain]
And when I felt like I was an old cardigan
Under someone's bed
You put me on and said I was your favorite

飽きられて   取り残されてしまった時
あなたはそれでも好きだと受け入れてくれた


[Bridge]
To kiss in cars and downtown bars
Was all we needed
You drew stars around my scars
But now I'm bleedin'

車の中やバーでキスをする   
それだけで本当に充分だった
あなたがいれば傷痕さえも愛せていたのに
今はただただ弱るばかり

私の大好きなbridgeです!!!Tayちゃんは今日も天才!!!!
この部分で、過去の自分たちを取り巻く環境や、恋愛を謳歌していたところから、視点が一気に現実に引き戻された感じがします。もちろん、回想しているような語り口調だったんですが、急に今の自分に焦点を当てることで夢から醒めたような感じが演出されていると思います。素敵ですね。
・you drew stars around my scars: あなたは傷痕(傷)の周りに星を描いてくれた。これまたなんとも詩的な表現ですが、傷をいつ負ったのかがよくわからないのが、想像を膨らませる可能性を高めている(素敵!)と同時に、訳す身としては少し心残りというか、引っかかりが生まれてしまった部分です。
あなたとの恋愛で負ったscarsならば、辛いことすらもあなたとの時間であれば愛せた、というような捉え方ができると思います。また、過去の恋愛で負った傷であるならば、「過去の辛い出来事や心の傷も、あなたが居れば忘れられた、いい思い出として捉えられた」といった解釈ができるのではないかな、と思います。いずれにせよ、序盤のkiss it betterに通ずるものがあるフレーズかなあという印象。

[Chorus]
'Cause I knew you
Steppin' on the last train
Marked me like a bloodstain, I
I knew you
Tried to change the ending
Peter losing Wendy, I
I knew you
Leavin' like a father
Running like water, I
And when you are young, they assume you know nothing

物分かりのいい人でいたかった
あなたとの思い出が頭にこびりつくのを感じながら
わざと最後のチャンスを見逃したんだ
理解者であろうとしてた
ピーターパンのようにはなりたくなかったんだろうね
あなたはそういう人だったから
父と同じように流れに身を任せて   去っていく
きっと周りには若気の至りだって言われたんだね

・Steppin' on the last train:最終列車=やり直す最後のチャンス(?)に乗k買っていってしまうあなたの描写ですが、これ自分自身は乗ってないと思うんです。あなたのことを理解していたからこそ、最後にすがることなく、一歩引いて見ていたのかなと。ここまでI knew youって言ってると引っ込みが付かなくなったのかなあと思ったりもしてます。私にはどんなことも分かってたから、間違ってなかったから、と思いたいのかな、みたいな。一人で血を流しているときに自分を守り、慰められるのは自分だけですからね・・・
・Marked me like a bloodstain:Tayちゃん、cleanという曲でも使っていたのですが、過ぎた恋の思い出を何かしらのシミに例えるんですね。ちなみにcleanではワインのシミでしたが、この血痕はシミになるまでワインより時間がかかると思うんです。血って乾いて固まる過程で落ちにくいシミになるじゃないですか。だから、これはあえて残したのかな、むしろ刻んでいくくらいの気持ちで、それくらい大切な思い出が多かったのかな、って感じてます。(考察が止まらないファン)
・Peter losing Wendy :『ピーター・パンとウェンディ』の話が急に出てきますが、読んだことがある人はどれくらいいますか?このお話、ずっと子供でいたいピーターパンという男の子と、夜中に彼の住むネバーランドに連れて行ってもらったウェンディという女の子のお話で、ウェンディは永遠の子供時代が存在しないことに気づき、その後ネバーランドを去ります。毎年会う約束をしていたピーターは、一度来たきり、ウェンディが大人になるまで姿を見せませんでした。そして久しぶりに顔を見せたかと思えば、大人になったウェンディを見るや否や裏切り者だといって怒ってしまうんです。私は、ウェンディが一生子供ではいられないと悟った時点でピーターはウェンディを失ったようなものだと思うんですよね。そして、この子供時代が二人の関係に重なるのではないかな、と。先に相手がこの恋の終わりに気づいてしまう前に、傷つきたくないから(Tried to change the ending=物語の終わりを変えようとして)向き合うのをやめてあなたは離れていってしまった、と私は解釈してます。
急に出てくるfather=お父さん は、トラック7のsevenに繋がりそうなので今はあえてそこまで触れないでおきます。ただ、a fatherと言っているから語り手には父親が複数いるのではないかな、という友人の考察が見事だったのでそれだけシェアいたします。


[Verse 3]
But I knew you'd linger like a tattoo kiss
I knew you'd haunt all of my what-ifs
The smell of smoke would hang around this long
'Cause I knew everything when I was young
I knew I'd curse you for the longest time
Chasin' shadows in the grocery line
I knew you'd miss me once the thrill expired
And you'd be standin' in my front porch light
And I knew you'd come back to me
You'd come back to me
And you'd come back to me
And you'd come back

こんな風に忘れられなくなるのは目に見えてた
過ぎた選択を後悔するばかりで
燃え尽きた恋の残り香が今でもまとわりついてる
一人で苦しむしかなかった
あの頃は知っていることが全てだったから

きっと同じように苦しんでいるんだろうね
レジに並びながら気づけば面影を探してる
そんな姿が目に浮かぶ
どうせそのスリルにも飽きてきた頃
またあの日々が恋しくなってくる
あなたは今家の前で玄関のライトに照らされてる
今更会いにきても仕方ないのに


戻ってくるって分かってた
だって忘れられるはずがない
あなたは必ず戻ってくる
何度も   何度も

・linger:残る
・tattoo kiss:キスマーク
・what-if:〜したらどうなるだろう?と仮定すること
・hang around:うろつく、ぶらつく
・expired:(期限などが)切れる

[Refrain]
And when I felt like I was an old cardigan
Under someone's bed
You put me on and said I was your favorite

ボロボロになった時に手を差し伸べてくれたのはあなただけだったのに

余談ですが、以前Twitterでも少しお話ししたように、中性的な和訳を心がけてより多くの方に楽しんでいただきたいと思っているので、今回の和訳では主語をなくしてみました。少しでも いいな、と思っていただければ幸いです。


5.8.2020    釜本

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