過去の辛い記憶に引き戻された時の対処法
アミグダラについて
あみだくじ、みたいな名前ですが、違います。
この単語をご存知でしょうか。
脳にある「小脳扁桃体」と呼ばれる場所のことで、大きさも形もアーモンドくらいの部位です。
ここは危険や不安を察知して、それらを回避しようと指令を出す機能を持っています。
過去に経験した危険と同じような出来事が起こると
即座に反応して危険を知らせてくれます。
危険の回避に反応することはもちろん自分の身を守るためなので大切な機能ではあるのですが、
アミグダラには時間の感覚がないため、一瞬にして危険を感じた過去に飛ばされてしまうんです。
何かのきっかけで過去の危険な状況に心が飛ばされてしまうと、例え安全な場所にいる時にも心拍数が上がり身動きが取れなくなってしまいます。
具体的な事例
例えば友達とランチをしようと列に並んでいるものの混雑していた時。
お腹も減ってだんだんとイライラしてきた客の一人が不機嫌そうに舌打ちをしました。
その瞬間、心は定食屋の列にはなく、
恐怖を覚えた部屋や相手、
空気感までもリアルに過去に飛ばされます。
心臓は一瞬にして早まり、身を硬くして神経を尖らせます。
男性客の舌打ちが、不機嫌になると舌打ちをしてキレ始める夫の姿と重なり、アミグダラが反応したのです。
ここでは男性の声でしたが、他にも辛い時に耳にしていた曲や匂いなども記憶に深く直結していて、一瞬にして過去にタイムスリップしてしまいます。
この心のトリガーは日常生活のふとした時に引き金をひかれるため、予測することはできません。
また、過去に飛ばされてしまった自分の意識は自力で戻す必要があります。
しかしこのような出来事が起こりうることを知っていれば、事前に対策が取れます。
対策方法
過去に飛んでしまった心を現在に戻すために、普段から持ち歩いたり意識するといいと思われるものを以下に紹介致します。
先に言ってしまうと、五感を刺激してあげることが有効になります。
1、好きな匂いを持ち歩く(嗅覚)
自分の好きな香りの香水などをハンカチや紙にスプレーして鞄に入れておく。
2、目の前にあるものを確認する(視覚)
現実に自分の目の前に何があるかを認識する。例えば
カレンダーを見て今の日にちを確認する
「椅子が3脚が重ねて置かれている」
「ベビーカーで子供がお菓子食べている」
3、音楽を聞く(聴覚)
耳から音が入ると、頭のスイッチが切り替わります。
4、飴をなめる(味覚)
好きな飴を口に放り込む
ちなみに私は榮太郎飴の抹茶味が好きです。
5、ぬいぐるみなどを握る(触覚)
最近はリラックスアイテムとして面白い触感の雑貨も色々とあるようです。
そのようなものをぎゅーっと握ってみましょう。
過去にスリップしてしまったトリガーがあるなら、現実にはこの感覚を感じて戻ってくる、というものをあらかじめ決めておくわけです。
この中でも合う合わないがあると思いますし、最初はうまく対応できないかもしれませんが、
「これはアミグダラの仕業だ!」
ということを理解していれば、過去に囚われる時間も少しずつ短くなっていきます。
ちなみにアミグダラですが、様々な精神疾患においてこの部分の機能異常が報告されています。
例えばうつ病、不安障害、PTSD、統合失調症、自閉症など。
まだ解明されていないところもあるようですが、今後の研究の行方もチェックしていきたいと思っています。
私は今も、外的要因はないのに、気づいたら意識がぼーっと過去に引き戻されている時があります。
ハッとそんな自分に気づいた時、私はすぐ目の前あるものを片付けるようにしています。
・机のお皿を流しに持っていく。
・筆記用具を筆箱にしまう。
・ペットボトルのラベル剥がす。
名もなき家事、なんて言われたりもしますが、難しいことを考えなくても手を動かせることをします。
するとそのうち無心になっていて部屋も片付いて、あ〜らなんていいことづくめ。
離れたらすぐにホッとするかと思っていましたが、最初のうちはしょっちゅう意識も体も(こわばって動けなくなったり)過去に飛ばされていました。
離れたからってスイッチを切るようにすぐに地獄から天国に切り替わるわけじゃないんだな、と思いました。
それでも少しずつ過去に囚われる時間は減っていき、いつも夫に監視されているような強迫観念が和らいできました。
今Bさんと過ごしている方は現在もしんどいかもしれませんが、
私は夫と暮らしている時にこのことを知り、夫がいなくてもビクビクしてしまうことがある理由が医学的にあるんだという事実が目から鱗でした。
そう考えてしまうのも仕方ないのか、という視点を得られたことで、起きていることは同じでも気持ちが少し楽になりました。
今回の話が少しでも参考になったら幸いです。
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