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プレゼントが印象的な映画 | PRESENT | 12Months Movie

その月に合わせたモチーフが印象的な映画を、映画好きのイラストレーター3人が12ヶ月間に渡ってご紹介する12Months Movieです!

12月!世界中の人が、家族や大切な人にプレゼントを贈る季節。映画においても、登場人物の「あの人に渡したい!」という想いが重なり、奇跡を起こすもの、あるいは問題の発端になるものなど、様々なかたちで効果的に使われていると思います。クリスマスもある今月はそんなプレゼントが印象的な作品をご紹介します。

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ジングル・オール・ザ・ウェイ (1996)

監督 / ブライアン・レヴァント

丸ゐまん丸 : クリスマス前の繁忙期。マットレス会社の社長ハワード(アーノルド・シュワルツェネッガー・以下シュワ)は仕事に没頭しすぎてしまい、家族との約束を守れず信頼を失う。息子ジェイミー(ジェイク・ロイド)の機嫌を取るために、ハワードはクリスマス・プレゼントに大人気ヒーローの「ターボマン」の人形を約束する。しかしイヴの朝、人形はどこも売り切れ。町中の人が人形を求め探し回っている。あの手この手を尽くし、散々な目に合いながらも、ターボマンは手に入らない。さらには妻が隣の主人と不倫かと思われる現場を目撃し、満身創痍となるハワード。そのまま、ターボマンのパレードに紛れ込んでしまうが……。


90年代アメリカで大流行した「パワーレンジャー」現象を元に脚本が書かれた本作。シュワがひたすら人形を求め、時に暴力をふるったり、犯罪サンタとバトルしたり、警官のコーヒーをぶち撒く、などをする単純明快なドタバタ作品。世間の評価としては低く「シュワの低迷期」の一つと言われる……が、僕はどうにも愛しい作品。

シュワ演ずるハワードは、先月の『来る』の妻夫木聡と別種の愚亭。仕事が出来る、結果も出せるが、要所が荒く、場合によっては金などで解決しようとする。約束も適当。ある種、自虐的な表現が多い(奔走するのも、中盤までは息子のためというよりかは、自分の体裁のためだし)。

映画が進むごとに、嘘→交通違反→器物損壊→窃盗(未遂)→放火→暴行→公務執行妨害と罪が重なっていくのも鮮やかな笑い。今思えば、クリスマスを家族と楽しむどころではなく、ムショにブチこまれて止む無しだと思う。なんで許されてるんだろう。そんなハワードは現実のシュワのうつし鏡のようだ。

御歳73歳。俳優歴50年の大ベテラン・アーノルド・シュワルツェネッガー。
ターミネーター(84)でブレイクし、コマンドー(85)、プレデター(97)、トータルリコール(90)などを経て、ターミネーター2(91)で世界的アクション俳優になったシュワも、80年代後半から力を入れたコメディも徐々に失速し落ち目に突入(結果的に今作はラストの主演コメディ)。そんな彼なりの足掻きや、上手くいかない現実がメタ的に練りこまれていると深読みすると一味変わってくる。

中盤、ハワードがカフェでこぼす「俺は、ジェイミーのために小屋を作ったりもしたんだ。俺はジェイミーのヒーローだったんだ…。」というセリフ。頂点に立ち、下り坂のアクションヒーローの本音を代弁しているかのよう。

後半にかけて、怒涛の「装着」を決め、〇〇〇〇マンのように逆転していくハワードは、シュワの再ブレイクを願っての演出にも思えるし、この後カリフォルニア知事時代の果てを知った上で観ると、なんとも感慨深くもなる。

結局ハワードは運が良いだけで成長してないし、ポリコレ的にもツッコミどころだらけ。けれど、脂が乗り演技が上手くなったシュワの変顔や大きな体、無茶苦茶な破壊が楽しめるので、難しく考えず笑いたい、という方におすすめです。

それと、後にスターウォーズ エピソード1(99)のアナキン・スカイウォーカーに抜擢されるジェイク・ロイド君が可愛い!その後の彼の悲運も込みで観ると、才能の輝きが切ない!

yuki : 私は知らなかったシュワちゃんのコメディ。まるさんに教えてもらって、ポスターのB級感に見たい欲がムラムラしてレンタルしに行きました。笑 まるさんが絵にしてくれたシュワちゃんの表情たまらない!笑 90年代のコメディって、なんでこんなにはちゃめちゃなのに笑っちゃうんだろう。笑 ツッコミどころ満載なんだけど、とにかく可愛いジェイク・ロイド君が最高!
Eika : 何行かのあらすじを聞いただけで「なにそれめっちゃイイ、描いて」とお願いしたやつです。笑 シュワちゃん人気にあやかって、その勢いだけで作ったような雰囲気がいいね。今度見つけたら見てみます!しかもちょっと調べてみたら続編の2もあるみたいね…


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ブリジット・ジョーンズの日記(2001)

監督 / シャロン・マグワイア

yuki : お酒もタバコもやめられず、わがままボディの32歳・独身のブリジット・ジョーンズ。毎年恒例のお正月休みの実家のパーティーで、後ろ姿が素敵な男性、マーク・ダーシーを紹介されるが、彼が振り返るとダサいトナカイ柄のセーターを着ていてブリジットはガッカリ…。しかし、そんなダサいと思ったマークにすら悪態をつかれ、気まずいまま実家を後にする。

『このままでは生涯の伴侶はワインのボトルになってしまう。』『来年は絶対独身のためのラジオを聞いて過ごさない!』と心を入れ替えるために、ブリジット・ジョーンズは日記をつけることを決意するー。

イギリスのベストセラー小説を映画化したロマンティック・コメディ。私が映画にハマり始めた頃に公開されたので、とても思い入れが強い大好きな映画の1つなんですが、10代で観た時は『めっちゃ笑える!胸キュン!!!』、20代後半で観た時は『あ〜面白いけど笑ってられないわ〜!』、アラサー独身で見直す今…わかり味が深すぎてもう何も言えない…ですね。笑

気づけば公開から20年の時が過ぎて、最近ではこういうアラサー女のリアルみたいな作品も増えたけど、改めて見返すと結構なセクハラを当たり前にされているのに、それをお得意の天然ドジで跳ね除ける姿はとても魅力的で、当時のイギリス女性たちに支持されたのがよく分かります。DVD特典のコメンタリーで語られているのですが、イギリス小説の実写化に、アメリカ女性をキャスティングしたことは批判があったとか。でも実際にロンドンに引っ越して生活様式やイントネーションを学んだり、徹底した役作りをしたレネー・ゼルウィガーの等身大の演技は高評価だったとのこと。
自分を見ているような、身近な友達のようなブリジットが大好きです!

さてさて。そんなブリジット・ジョーンズに素敵なプレゼントを贈るのは、憧れのイケメン上司ダニエル・クリーヴァー?、はたまた初対面は悪印象だったマーク・ダーシー??

何度観ても、笑えて元気が出る、傑作ラブコメディ映画です!

Eika : 大好きブリジットジョーンズ!今回のテーマではこの映画もすぐに思いつきました。気づけばもう20年も前の映画ということで、ゆきちゃんの言う通り、どの年齢で見るかによってそれぞれに違う気持ちになりそう…久しぶりに見返したくなりました。どっち派!?と盛り上がったヒューとコリンのこんな共演っぷり、今思えば豪華すぎるよね。
丸ゐまん丸 : 10代で観た以来、久々に観ると、感じ方がまったく変わっていることに驚きました。ラジオ年越し良いじゃん!と言いたいところだけど、そういうわけにもいかない。わかる。持ち前の性格で突き進む爽快さに「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」の二人を想起して、ああ…僕は昔からキュートでカッコいい人が大好きなんだ!と思いました。こんど続編も観ます…!


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キャロル(2015)

監督 / トッド・ヘインズ

Eika : 1950年代のニューヨーク。ルーニー・マーラ演じるテレーズは買い物客で賑わうクリスマスシーズンのデパートで販売員として働いていた。そこへ娘へのプレゼントを探しに来たケイト・ブランシェット演じるキャロルと出会う。その魅力に満ちた佇まいに、目が離せなくなるテレーズ。無事に買い物を済ませたキャロルだが、売り場に手袋を忘れてしまう。(わざとか!?)テレーズとキャロルはこの出会いをきっかけに、誰を愛し、何を求め、そしてこれからどのように生きていくかを選んでいくこととなる。

クリスマスの時期に出会う2人が、過ごす時間を重ねるにつれお互いに贈り物をし合うシーンもあって「プレゼント」といえばこの映画が早い段階で思いつきました。そしてなんといっても、2人の出会いがプレゼントで溢れたデパートで、お互いに一目惚れ!というのもロマンチックでだいすき。クリスマスのもつマジカルな空気も2人にとっての小さな奇跡みたいな物語になんとも合う。うっとりします。
出会い、惹かれ、お互いを知るほどにその中で自分らしさを見つけ、そして手に入れていく様子に、とても美しい勇気をもらえるラブストーリー。自分を偽っていきていくのは、何よりも苦しいことですね。また、キャロルがテレーズに贈るあるものは、自分には何ができるのかという問いに囚われて生きていたテレーズの背中を押すようなものでした。ああやって誰かの人生を変えれるものなんだなあ、私も誰かにとってそんな風にあれたらいいなあとしみじみ思います。

丸ゐまん丸 : Eikaちゃん感謝です。冒頭の排水溝の格子のアップからゆっくり上がっていく構図から目が離せない。彼女が過去を振り返る目覚ましのベルと、恋に落ちた時に鳴る終業ベルを重ねている、といった美しい演出が随所にあり、観たらもう一度見返したくなる構成に腰を抜かしました!レストランでキャロルが肩に手を置いた時のテレーズの表情を見逃さないでほしいです。
yuki : クリスマスとプレゼントで、私も真っ先に連想したキャロル!!大好きな映画なので、えいかちゃんに描いてもらえてすごく嬉しい!
この出会いのシーンの二人の視線。一気に引き込まれる。中盤の別のプレゼントのシーンのケイト様がかっこよ過ぎて惚れました。


布団が恋しい1月は、ベッドが印象的な映画をご紹介します!
毎月12日に更新です。お楽しみに!

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