オトノキオク
ずーっと前の何十年も昔の話。僕が小学3、4年生だった頃、夜一人で寝る時に暗くなった狭い部屋で聞こえていた音がある。
それは当時住んでいた団地の隣にあった打ちっ放しのゴルフ練習場のゴルフボールを片付けるゴロゴロゴロ…という音。
練習場の照明の明かりも少しは部屋に差し込んではいたと思うけど、薄暗い部屋の中で天井を見上げながら、何だか少し心細い気持ちでそんなゴロゴロの音を聞いていた。
ちなみにそのゴルフ練習場は、当時の友達と靴飛ばしの遊びをしては柵越えに靴が入ってしまい、「すいませ〜ん、靴が入っちゃったんですけどぉ〜」とか言っては取りに行き、ゴルフ練習場のおっちゃんによく迷惑かけて怒られていたなぁ。
※調べてみるとまだそのゴルフ練習場は営業をやっている!!もう何十年も昔の話なのに!!
あの頃一緒に団地の公園で遊んでいた友達は、皆んな今はどうしているかな。元気に暮らしているといいな。
目で見たものや肌で触れたものなど五感で覚えている記憶の中で、音の記憶ってどれくらいあるだろうか。記憶が消されたり上書きされたりするなかで昔の記憶がふとした時に蘇ることがある。
僕の音の記憶は確かに、上に書いたようなものがあるのだけど、なぜ最近になってふと思い出したのかは分からない。だってそんなに印象深いものでもないはずだし何なのだろう。。。
子どもたちに自分を重ねて見ていることで忘れていた記憶を思い出したのだろうか。
音の記憶、とは少し違うかもしれないけど、昔聴いていた曲を聴くと、当時のことを思い出したりすることがある。それも一種の音の記憶かもしれない。でも大抵そんな時はなぜか若かった時の恥ずかしい思い出ばかり蘇ってくる。
そのようなことを考えていたら、今の音の記憶も大切にしたいと思った。
例えば子どもたちの今の声は今だけのもの。一緒に過ごすことがある友人達の声や、生活の中でいつも聞いている様々な音についても、今の音を少しでも記憶に残しておきたい。
確かに今はスマホもあるし、ビデオ機能などで残しておくことが簡単に出来るツールはあるけど、何となくそういうこととは違う感覚的なものを大切にしたい。
感動的で印象的な出来事が多くある人生を生きていなくても、普通に平凡に過ごす人生の中にもそんなオトノキオクはきっとある。
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