「認知」はハンドルとアクセルとブレーキであり,そのいずれも自分で選択することができるが,選択の結果は自分で引き受けなければならない


 私がよく思っていることの一つに「認知」はハンドルとアクセルとブレーキであるというものがあります。

 心理学や哲学を含む,人生の「考え方」というのは,自分が進む方向にも影響します。人生の「ハンドル」ですね。

 さらに,これらの「考え方」次第によって,自分の成長速度を速めたり,あるいは速度を落としたりすることになると考えています。「アクセル」と「ブレーキ」です。

 「ハンドル」のほうはわりとわかりやすいと思いますが,「アクセル」と「ブレーキ」はわかりにくいので,少し補足します。

① 最近よく言われることに「ありのままのあなたでいい」というメッセージがありますね。それは一面において素晴らしいメッセージなのでしょうが,それを「このまま変わらなくていいんだ」と解釈して自分の認知にした場合,成長速度はどうなるでしょうか。遅くなりますよね。

 逆に,誰かの考えにきっかけをうけて「このままじゃいけないんだ」という認知と「目指す方向に必ず変われるんだ」という認知を持てば成長速度は速まるはずです。

② あるいは,うまくいかないことがあったとしましょう。この「結果」に対して,「運が悪かったんだ」とか「周りがいけないんだ」という認知を持つことができます。でも,この認知がもたらすものは,成長スピードの低下です。

 逆に,「結果」に対して「こういう点がいけなかった」と分析し,「自分が改善すれば今度はうまくいく」という認知を持てば,成長速度は速まりますね。

③ さらに,「自分は能力がないからできない」という認知を持っていれば,まず間違いなく成長速度は遅くなります。この認知を持ったままだと成長のために挑戦する回数が自然と減ってきます。

 逆に,「自分には続ければできるようになる能力があるはずだ」という認知を持っていれば,成長速度は速まりますね。

④ 「行動してもどうせうまくいかない」という認知を持っていれば,行動が抑制されますから,成長速度は遅くなります。

 逆に,「行動を続けていればいつかは成功する。失敗は失敗じゃなくて成功に至るまでの道のりだ」という認知を持っていれば,きっとその人はぐんと成長していくでしょう。

⑤ 「人生は長いからゆっくり成長していけばいいんだ」という認知をもっていれば,その認知のとおり,成長速度はゆっくりです。

 逆に,「人生は長いけど,今頑張っておかないと今後は体力や知能の衰えでもっと頑張れなくなってしまう」という認知をもっていれば,成長速度は速まるでしょう。

⑥ 「周りができないから自分もできなくていいや」という認知をもっていれば,「できなくていい」と考えている物事についての成長速度は遅くなります。「周りと同じくらいできるからこのままでいいや」という認知をもっている場合も同様です。

 逆に,「周りはできないなら自分ができるようになってみんなをリードしよう」という認知や,「周りと同じくらいできる状態から一歩進んでもっとできるようになろう」という認知(あるいは,他のもっとハイレベルな集団で自分を鍛えようという認知)を持っていれば,成長速度は速まります。

⑦ 「成長?何それ?今が楽しければそれでいいじゃない」という認知を持っていれば,短期的には楽しい生活が続きますが,長期的な成長を見据えない認知を持っていると成長速度が遅くなる可能性があります。

 これに対して,「今も楽しみたいけど,自分の望む方向に向かってどんどん成長していったほうが将来もっと楽しくなるよね」という認知をもっていれば,成長速度は速まるでしょう。

 とりあえずここまで例として7パターンを挙げましたが,認知のパターンは無数にあります。

 そして,ここから先が大切なのです。

1 どの認知を選ぶかは自分自身で自由に決められます。ご自由に選択なさってください。 

2 ただし,自分が選んだ認知を持ち続けてきた結果に対して責任を負うのは"最終的には”自分です。

 

 確かに,人生しんどいときはあります。そういう場合には,あえて成長速度が遅くなる認知をとったほうが楽になることもあるでしょう。

 でも,今持っている認知について,果たしてそのままでいいのかという検証は定期的にする必要があると思います。特に,成長速度が遅くなる認知を選択している場合には。

 なぜなら,人生100年時代。人生は,「今」だけではなく今後も続く長期戦だからです。人生は「いつ終わるかわからない」という側面もあるけれど,一方で,かなりの人にとっては,原則として「まだまだ続くことが多い」というものです。

 そして,2,3年後の未来において今よりぐんと成長していたほうが絶対に楽しくて自分にとっては好ましい状態だと思うのであれば(普通はそうだと思います),成長速度を速める認知をセレクトしておいて,疲れたときだけ一時的に歩みを遅くする認知を選択するくらいがいいと思います。

 人気漫画「スラムダンク」(井上雄彦)の三井寿は一時期バスケの練習から離脱し不良となり遊び回っていましたが,その後バスケに復帰して,体力の衰えを感じます。そして,「なぜオレはあんな無駄な時間を・・・」と後悔し涙するのです。

 誤解しないように言っておきますが,自分を楽にする認知をセレクトすることは別に悪いことではありません。個人の自由です。

 ただ,セレクトした認知がもたらす結果については必ず自分が責任を負わなければならない,そういうことを踏まえた上で,本当に自分に必要な認知のあり方というものを考えてもらいたいなと思っています。皆さんには三井寿のような後悔をしてもらいたくないですから。

 だから,今の認知がもたらすものを検証し,どうぞ後悔のない選択をなさってください。

 ちなみに,他人に対する嫉妬や羨望という感情がありますね。私も,学生時代からの知人に対して最近それに似た感情を抱きました。そして,どんどん離されていく「焦燥感」も抱きました。

 その後私が考え,採用した「認知」がこちらです。

『いいな。すごいな。やっぱり自分とは全然違うな。うらやましいな。

 ・・・けど,(知人は)私の見えないところで血のにじむほどの努力をしているはずで,その結果が今なんだろうな。それに対しておまえ(自分のこと)はそこまでの努力をしてきたか。まだまだ全然甘いだろ。できるだろ。だったら,そんなところで止まってないで,さっさと走り始めろよ。』

 どうですか。ちょっと自分に厳しめですかね笑 でも,私はそうやって走る認知を選択したいと希望しているのです。私は,今後も全力でダッシュします。だって,今も楽しみたいけど,将来の成長した自分をもっと楽しみたいと思っているから。

 最後に,私が気に入っている浜崎あゆみさんの「Signal」という歌の歌詞を引用しておきます。信号の色は既に青になっています。どうするかは自分で決めましょう。

 次の信号 青になったら 走り出すことに決めたんだ 黄色になって 赤で止まって 心の準備はいいかい?・・・・今なら言える 深呼吸して 胸を張って 自信を持って 立ち止まってるヒマなんてない 私には時間がない


 

 


 

  

 

 


 

 

お読みいただきありがとうございます!スキやフォローをしていただければ,それだけですっごく励みになり,また書こうという気力が湧いてきます。