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夢日記#17 未来を生きる人

こんな夢を見た。

山道を、縦一列に並んで歩いている。
山道といってもアスファルトの舗装道路で、左側に山肌が迫っている。
先導者は登山帽をかぶり、うつむき気味にしっかりした足取りで進んでいく。その後ろにもう一人いてわたしは三人目。さらに何人か後ろにいる気配。

急に、足元にマンホールのような穴があらわれた。先導者は迷いなくそこに入っていく。穴の中は真っ暗だし体がやっと入るくらいの大きさで怖い、でも前の人が手を差し出してくれ、前後の人と手を繋ぐようにして滑り降りた。

すぐに明るいところに出た。風景は上で歩いていたところとまったく変わらないが、わたしたちが歩いていたように、半透明なオバケたちが列をつくってトコトコ歩いてきた。
わたしたちがいるのでよけて通っていくのだが、最初に降りた先導者はオバケとぶつかってしまったせいで亡くなった。魂の対消滅。倒れたままのその人を置いていく。

わけもわからず降りてきたが、地下のスタッフによると、わたしたちは①冷凍睡眠で未来に行く(未来を生きる)、もしくは②このまま地上に戻って現在の生を寿命まで生きる、このどちらかを選べるそうだ。

冷凍睡眠に使う、巨大なジップロックのような寝床を見学したり、医療スタッフの話を聞いたりして考える。
二十代の長女も隣にいて、「お母さん、わたしたちいっしょに未来に行くよね?」と話しかけてきた。
うーん、どうかな。

地べたに車座になって、和気あいあいと話し合っている人たち。聴診器をさげた白衣の地下スタッフがわたしに気づき、目を上げて「冷凍睡眠から目覚めるときの担当はY医師(せんせい)だから、安心ですよ」と声をかけてきた。

各自、自分の希望や健康状態などを書類に書き込んで提出した。簡単な面談があり、どこか体に痛いところはない?と尋ねられたため、ちょっと腰がヘルニア気味で…と答えた。女性スタッフが腰に軽く触れると、痛みが軽減した。

いよいよ今後どうするのかが決まる。未来に行く人と、現在に戻る人。渡される書類が異なるため、娘はわたしと選択が分かれたことを知った。
もう二度と会えない。
抱き合って、泣いている娘の温かい背中をゆっくりとさすった。あなたは未来へ行くのだから、悲しいことなどなにもないのだ。




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