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CITY BLEND#001

はじめに

こんにちは、音楽で場所を探せる地図アプリを開発しているPlacyです。
おかげさまで、先日のリリースから少しずつ利用者も増え続け、日々アップデートに勤しんでいる毎日です。

ただ、僕たちは音楽で場所を探せる地図アプリを創りたいだけではありません。Placyの根底にあるのは、人の感性を汲み取った都市を作りたいという想いです。

僕たちはそれぞれの土地がもつ「らしさ」や「匂い」、「リズム」などの定性的な価値を汲み取りたいと考えています。少し長くなってしまいますので、詳しくは下記のnoteをご覧いただければと思います。

僕らはこの想いのもとに、9月20-23日に渋谷の神泉で、CITY BLEND #BENCH001 というイベントを開催しました。

今回のこのnoteでは、イベント内容、イベントを通して伝えたかった想いをご報告させていただきます。


イベント概要

会場は来春の取り壊しが決定している神泉の6F建ての一棟ビル。
ビル全体を活用し、それぞれのフロアで “都市を感じる” 展示を用意したイベントを開催しました。

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都市の合理性に基づいて建てられ、合理性に基づいて取り壊されるこのビルでは、かつて人が普通に暮らしていました。急速に再開発が進む渋谷において、このビルの存在、そしてこのビルで生活していた生きた人の存在はどんどん忘れ去られていくでしょう。
次にこの場所に建つビルもきっと同じことの繰り返し。でも、取り壊しが決定し、社会的に機能していないこの瞬間は合理性から見捨てられています。
僕らはその「隙間」で、感性の重要性を改めて感じてもらう場を創りたかったのです。


イベント詳細

イベントでは「過去」「現在」「未来」「メタ」という4つの視点で展示を用意しました。このテキストでは、それぞれの展示とそれらに込めた想いについてを綴ります

▼過去

会場となった「みどりビル」は3階-6階が居住スペースになっています。3階にある3つの部屋は元住人の持ち物、空気が特に色濃く残っていました。

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今回、その部屋ごとに元住人の暮らしを想像した詩を書いてもらいました。他人がそこで営んできた生活を想像してもらうことで、ただの廃ビルとしてではなく、そのビルが過去、たしかに持っていた「生」を感じてほしかったんです。


また、感性によって見えてくる景色は違います。同じものを見ていても、わたしとあなたでは見えているものがきっと違う。都市はあなたの感性に基づいて変容するのです。そのことを実感してほしいという想いから、来てくれた方に1Fのエントランスで好きな音楽を教えてもらい、選んでもらった音楽を解析し、その結果に基づいて異なる詩を配布しました。

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▼現在

4階は、見慣れ切った「今」の渋谷の街を改めて見つめ直してもらうべく「映像」「グラフィティ」「写真」によって、渋谷の街を切り取りました。

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普段は見られない渋谷の全体像を3D化した立体地図の映像。壁に大きく描いてもらった渋谷の複雑な道。ビルや路地など、ふだん見ている渋谷の街の写真。

作家によって切り取られた渋谷の街を見て、見慣れきったはずの「渋谷」に感動や、驚き、喜び、哀愁など、なにか感情を覚えてほしかったんです。

僕らは、僕らが今ここで「感じる」ことが重要だと考えています。誰も何も感じない世界では、均質化と経済合理性がすごく力を持ってしまうから。まずあなたが何かを「感じる」ことが、あなたにとっていい空間(都市)をつくっていくことにつながっていくのだと思っています。

▼未来

AI、ロボット、VR/ARー。未来の技術は、目新しさのみで語られることも多い。でも、僕らはそれだけではないと思っています。


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5階のとある部屋では、Twitter 上で日々生み出される「トレンドワード」を素材にAIが詩を綴り続ける作品や、夕陽の明るさを再現したプログラムで制御できる電球の展示のほか、僕らPlacyの想いを込めた部屋も作りました。この部屋では訪問者2人をペアとし、それぞれが選ぶ2曲に基づいて、Placyのシステムが渋谷の夜の散歩ルートを生成しました。
Placyのアプリ上では個人の主観で街を見ますが、ここでは2人の主観を重ね合わせて、2人にしか見えない渋谷の街を見る体験ができます。また、エントランスで選んでもらった音楽に基づき、渋谷のプレイスを色分けして地図にピンしてあります。画像3


感性の地図で街を見ることで、既存レビューサイトや観光マップでは見つけることができない、場所が浮き上がってくるおもしろさを体験してもらいました。

膨大な情報の中から何かを感受できる“コトバ”を紡いだり、誰かにとっての懐かしい光を創ることができたり…。音楽から行きたい店を探せる僕らのアプリ もそう。新しい技術によってこれまで定量化することのできなかった「感性」に、新たな角度からアプローチすることもできる、ということをこのフロアでは表現しました。

▼メタ
 
「未来」の先のフロアでは「メタ」をコンセプトにしました。
ある部屋には9台のブラウン管を積み上げ、これまで通ってきた「過去」「現在」「未来」のフロアに監視カメラを設置し、来場者の様子を映しました。


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またその隣の部屋では、前述したブラウン管部屋にも設置している監視カメラの様子が映し出されています。「見ている」と思っていた自分もまた誰かに「見られている」のかもしれない。
さらにその隣の部屋に行くと映画『トゥルーマン・ショー』の予告編が映し出されています。生まれたときからTVセットの中で生活し、24時間365日全米中に放映されていながら、その事実を知らない主人公のトゥルーマンは、自分の意思で生活をしていると思い込んでいる…という設定の映画です。公開当時はコメディとしてとらえられていましたが、僕らはいま「自分はトゥルーマンとはちがう!」と胸を張って言えるでしょうか。中国では、クレジットカードや顔認証などから信用スコアが生み出されすべてが記録されています。1つひとつの行動すべてが本当に自分がしたかったことであって、監視され、巧みに操られ、シミュレートされているものではないと言い切れるでしょうか。

監視され、管理されることのすべてが悪いとは思いません。この流れを留めたいわけでもないんです。ただ、例え監視下であったとしても自分の感性を尊重して行動してほしい。監視し、経済合理性で都市をコントロールしようとする人に負けないで。気づいたときには取り返しのつかないほど、似たり寄ったりのおもしろみのカケラもない都市ばかりになっているかもしれないから。

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以上がイベントの展示内容です。
3-6階までの展示のあと、「感性」の視点で改めて渋谷の街を見てほしくて、自由にビルの屋上に出られるようにしました。この「隙間」の中で、あなたが何かドキドキや、ワクワクを感じてくれたなら、その思いを忘れないでほしいのです。

最後に


都市は往々にして、合理性で最適化されています。悔しいけど強敵で今の僕らじゃ及びません。でも、合理性と合理性の間の、見捨てられた「隙間」になら、僕らも入り込むことができる。いま一度そこで、大切なことを見直したい。

僕らは、感性の重要性を改めて感じてもらう場を創っていく。

感性で場所を探せるアプリもぜひ試してほしい。

感性の反撃の狼煙をあげよう。

Forget the review. Follow your rhythm.
Placyは空間を感取し意味を創る会社だ


最後にはなりますが、Placyの取り組みは僕たちだけによるものではなく、本当に素敵な友人に支えられています。
この場を借りてお礼を言わせてください。
本当にありがとう。

鈴木 & 上林

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