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無事これ名馬で


みんな良い顔していました。
一緒に苦しんだり、喜んだり、時には衝突もあったでしょうけれど、同じ釜の飯を食ってきた仲間との居心地の良さは、初めて接した私にも伝わってきました。

子どもたちの思い出がより深いものになるようにという、保護者の皆様の想いから頂いた今回のご縁は、私にとっても非常に感慨深いものになりました。

全国3位の成績を収めたソフトボールチーム、三宅イーグルスの卒部生と現役生のお別れ試合の実況。

7人の6年生がこの日を持ってチームを去りました。
皆たくましく、おじさんこれからが楽しみになってしまいました。

卒部生を迎える準備をする現役生と保護者の皆様

私事ですが、私が少年野球を始めたのは小学4年生。
最終的に自分を含めて5人の代だった私たちは結構良いメンバーに恵まれて、それなりに成績を収めたチームでした。

中学高校と野球道に勤しんで、甲子園、都市対抗野球の舞台を踏んだ仲間もいれば、
中学では野球をやめて学業で優秀になった二人もいましたし、
野球を続けながらも手に負えない位ヤンチャになった仲間もいました。
けれど、心根の優しいところが好きで、彼とは結局いつも中学でも一緒にいました。

大学まで野球を続けたけれど、最終的に試合に出られず野球選手の道を諦めざるを得なかった私は、グラウンド恋しさにアナウンサーの道を志すことになります。

そんな原点でもあるグラウンドの空気をたっぷり感じながら、
子どもたちの姿に当時の自分や家族友人の姿を重ねました。

皆、これからそれぞれの道で、どんな青年、大人になるのか。
想像は膨らみます。

甲高い声でボールを呼んだり、一生懸命にボールを追うその眼差しや、真剣に悔しがる様子、楽しむ様子を見て、なんだかウルっときた瞬間がありました。
初めて会う子どもたちなのに、です。
純粋さというものは本当に尊いものと感じました。

テントの中にマイク2本とスピーカーを備えた手作り放送席が出来上がり、
雨予報だった午前、青空が広がって試合が進みました。
解説は監督、初めての実況される側になり聞こえてくる言葉に照れ臭さもあった子どもたち。
どれくらいの言葉数が良かったのか、実は一人反省会をしているここ数日。
私自身、楽しませてもらった1日でした。

解説 中島監督

実況というと、
野球をしていた私の兄は、高校最後の夏にスタメンを勝ち取り、テレビ放送で得意のバントを放送席から褒められたことがあります。
そのことは家族の大切なメモリーになっています。
きっと、野球の話になれば死ぬまで登場する話です。

大した投手でなかった私も、同じく最後の夏の登板で“絶対的エース“と表現してもらいました。
怪我が多く、悩みばかりの高校野球生活でしたが、その言葉で少し報われた気持ちになりました。

兄も、私も、後にも先にも自分のプレー、試合に言葉がついてきたのはこの一度の機会のみ。
もしもっと早い段階で同じような経験があれば、自分を客観的に捉えて、もっと勇気を持ってプレーをできたかもしれない。自信が生まれていたかもしれない。

最近はそんなことを考えます。

早い段階で競技を辞めてしまう友人も私の周りに多かった。
理由や事情は様々ですから、身勝手なことは言えませんが
‘勿体無い‘と思うこともしばしばありました。

そういう意味では、言葉を扱う仕事をしている私は、なんらかのきっかけを与えられるようになりたいと思っています。

また、
コロナに色々なことを奪われた子どもたちのことがここ数年とても気になっていました。
スポーツに焦点を当てると、その環境のせいでやりきれなかったり、諦めた子も少なくないのではと想像してしまいます。
今後は、目一杯汗をかいて外で運動して、友達と会話して、沢山充実させてほしいなと思います。
自分個人で振り返るとそういう何気ない日々が思い出になっているので、今の子どもたちには取り戻すつもりで物事を楽しんでもらいたい。

この日、目の前にいた子どもたち選手たちをそんな想いで見てしまう自分がいました。

エース西田くんの球が速すぎて見えないので苦笑い。あとヘルメット似合ってない。

たくさんのビデオカメラが向けられたグラウンド。
これから残り続けるであろう大切なホームビデオに、私の声も当然残るわけで。

それがどんな風に感じてもらえるか、すごく気になるところではありますが、
こういう風に自分が出来ることを増やせたら、私は幸せだなと強く思います。
実況自体に興味を示してくれた兄妹の子どもたちもいて、それがまた嬉しかったです。

私の真似をして
「さあ、次はどうなるんでしょうか。打てますかねー?」
とマイクに声をのせる様子は、アナウンサーとしてのやりがいも感じさせてくれました。
とっても上手、100点でした。

私は今の仕事に、音・声・耳だけ世界の面白さを教えてもらいました。
ラジオというのは今の子どもたちには縁遠いものかもしれませんが、
思い出に触れる方法、日々の楽しみ方にも色々あることを知って欲しくて、今回stand fmに実況の模様を収録しました。
私の思い出としても大切に保存していきたいと思います。

細かい描写はあまり今回していませんが、要望あればできますので
三宅イーグルスの皆様、またの機会に是非、それ用も…!

野球しか知らないくらいの生活を送って社会に飛び出した私から、
卒部生、子どもたちに言いたいことは

怪我だけは気をつけてね。
仲間を大切にね。

ということです。

今持っているポテンシャルが真っ直ぐ、竹のように、しなやかな強さで伸びていくことを祈っています。

もしどこか痛かったり、違和感ある時は一度立ち止まって自分に正直になって欲しいです。
休むとなると数週間、数ヶ月がとても勿体無く感じてしまうけれど、
今後の伸び代にはとっても大切な時間だったりするのです。

どこかでブレーキをかける勇気を持つのは大事。
それをしっかり伝えてあげられる大人の存在も大切だと思います。

怪我に泣かされた高校時代、監督からもらった言葉

無事これ名馬

プロ野球、社会全体の世界もまさに、その言葉で表せると思います。

大きくなって、また別の形でプレーを追えることを楽しみにしています。
どんなユニフォームで、どんな姿で再会出来るか。
実況をする機会があれば…

これは…

素敵な物語になりますね。

三宅イーグルスの皆様、
ありがとうございました。
この日は一日、感動が身体を包んでいました。

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