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これは小説です。

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勢いで初めてみました。 短編小説を投稿していく予定です。マガジン名悩み中。
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2021年8月の記事一覧

美味しい飴玉

美味しい飴玉

目玉を一つほじくりだせば美味しい飴玉と交換してくれる。そういうおじさんが私の帰路に現れた。
子どもをだますならまだしも私は大学卒業してすぐに働き始めた新卒社会人である。
そんな妄言はゴミに捨てるまでもなく通り過ぎるはずのものであった。
連日おじさんは道端そう呟いていた。おじさんの身なりはボロボロでただ靴だけが汚れ一つないピンクの革靴であった。
 ある夜の日、私はその日特に帰りが遅くなって空腹に苛立

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私の使える魔法

私の使える魔法

私が使えるたった一つの魔法、それは暗い雨空を晴れにすることが出来るというものである。
あぁだがしかしこの魔法はいささか使うのが憚られる。
なんせ……
私は教室の中で一人立って凶弾されていた。
「どうしてそんなことをしたんですか。」
先生が問い詰める。周りを見渡してもクラスの中で私の味方は誰一人としていない。
「遠足に行きたくて、私のおかげで晴れたでしょう。」
昨日は雨の予報だった。しかし私はどうし

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二年に一度の楽しみ

二年に一度の楽しみ

 8月のとある日、私にとって一番の楽しみがあった。人生でもっとも楽しみにしている瞬間であった。夜の0時きっかしにとある家の玄関の前に行くと暗闇の中に紛れて長い一束の髪の毛が落ちている。

私は見つけた瞬間に他の誰にも取られる前にその髪の毛の束を取りジップロックに入れて持ち帰る。

 家に帰った後に私はその髪の毛を存分に嗅いだり口に含んだりをしたあと、大切に食す。つやつやとした髪の毛が口中で絡み時と

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私に起こった二つの不思議な出来事

私に起こった二つの不思議な出来事

 真夏の日のことだった。
 その日は不思議なことが二つ起こった。
 それは私が子供の頃というだけのおぼろげな思い出である。
 一つ目は私の口から綺麗な金魚が一匹吐き出されたことである。
 二つ目は真夏の空に雪が降って来たことである。後に知ることであるがそれは風花というらしい。
 私が金魚を口から吐いたとき、その日は一日胃の中が気持ち悪くてどうしようもなかった。えずいてえずいて、ようやく帰り道で金魚

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