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バレンタインの詩

恋をすると女としての嬉しさに心がとらわれてしまうから面倒なのです。好きといわれること、ご飯を作ってあげること、自分を犠牲にすることに心のエネルギーを使い果たしてしまうから厄介なのです。恋をすると今まで通りの人間ではいられなくなります。

男の人とも対等に生きてゆきたいのに、恋をするといつも、「誰かのためのわたし」に成り下がってしまうのです。そのことが悔しくもあり、本能的に気持ちよくもあり、頑張ってる自分に「ごめんね、女であることに負けちゃいそうだよ」と謝りたくもなります。

恋をすると相手の不幸を願い始めます。なぜだか相手の悲しさや寂しさの中にこそ、自分の居場所がある気がしてくるのです。それであなたの不幸を願い、寂しそうな顔を見て少しうれしくなり、そして手を繋いだ。寂しさと居場所を交換していくうちに、お互いがお互いの居場所として離れられなくなるのです。

わたしはわたしなりの幸せになりたかったはずなのに、あなたのために少しずつ不幸な身体になっていきました。それは実体以上に甘くて、いつまでもいつまでも舐めていたいくらい、離れられません。ふとした時に流した涙がしょっぱくて、「もう戻れないところまで歩いてきてしまったな」と、眠れぬ羊を数えています。

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バレンタインデーまでの1ヶ月間、恋愛の詩をたくさん書きたいと思います。これはその第1弾。

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モデル:紫崎七

カメラマン:大輔さん

サポートはお菓子代になる予定です