つまり、底なしのことば

収縮しては、爪をたてられた。きみを要約するもりが等しい

テクストをさ迷い、いつも森のなかにとり残される。余白へ、短い演出に、過ぎゆくまでのぼくは耐えられなかった。境界線を理解できなかったのだ。あるいは、境界線のない国を行ったり来たりしたのかもしれない。遡るように、緩やかな丘を選んでは、乳房へ落ちてゆく。わずかな拒絶があった、森がことばを跳ね返すように、鏡が裏箔を剥がすように、その夜、ぼくはわずかな力を取り戻していた。果実を服属させては、折れ曲がった空の視線が戻流ように、うなじを押し黙ったまま、きみのそれでナイフを研ぐ、きみの裸体が、現前の出来事の陰画の役割を果たしていたのだ。書き込まれたテクストは反転され、倒置され、発語する。井戸のなかを落下する赤子のように、空間の理由はそれであって、ドラマの戸口に照明があてられ、ことばのその裏側が示される。まるで空間を裏切るように、紙の大きさを超えては余白を物語るのだった。

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