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Vol.12 わたしの不動産人生 ~注文住宅プロデューサー 28歳頃編~

こんにちは。
nUe(ヌエ)株式会社の今井です。
Vol.11では同じ年のM様との出会いにより、クビ一歩手前の窮地を救ってくれました。

しかしその後、予期せぬ組織崩壊の危機が訪れ、若い頃の私は右往左往します(;´・ω・)

■突然訪れた組織崩壊

個人では問題なく受注が取れるようになり、このまま順風満帆で進むかと思いきや、そうは上手くはいきませんでした( ;∀;)
兆候は私が知らないところで既に始まっており、ひび割れしていたコップはあと少しの衝撃を加えたら、粉々に壊れそうな状態だったのです。
当時、営業部隊は少数精鋭、1人で複数棟の受注と取れてしまうモンスタープロデューサー陣で構成されており、とにかく各プロデューサーの派閥争いが激しく、私自身、どの人の下に就くのかでかなり社内営業をかけられていました(;´∀`)

突如その日は訪れました

ある日の朝礼、些細なことでスタッフ同士が激しいバトルになりましたΣ(・□・;)
S部署のボスも仲裁に入れないほどの状況で、これがきっかけに様々な不満が一気に放出されました。
私は下っ端だったので、訳も分からずでしたが、ボスが猪突猛進でかじ取りをしていた組織だっただけに、その不満はボスに対して思いっきり向いている状態でした。
前にも述べましたが、上下関係というものが存在していなかった組織風土だったので、上司だから物が言えないなど皆無なため、お互い心をえぐり取られるような表現があったものと思われます(*_*;
当時私は下っ端だったのでどういうバトルだったのかは分かりませんが、震えあがるようなやり取りだったものと推測します、、、

そして、行きついた結末はプロデューサー5名の一斉退職

それは何を意味するか一目瞭然でした。
当時、目標受注棟数は月20棟前後で、この数字の7割をこの5名で叩き出していました。

この結末はS部署の組織消滅を示唆しているものだった

個人的にはようやく受注も取れるようになり、正にこれからという時でした。
あまりの出来事に動揺が隠すことができず、退職するとされる先輩たちに

自分「あの、、、小耳に挟んだんですが、退職されるんですか?」
A「そうなんだよね。今井くんも次を見つけた方が良いかもね。」
B「もう組織としては終わっていたんだよ。」
C「あの人(ボス)が人の意見を聞き入れないからしょうがないよね。」
D「今井には申し訳ないけど、この後もがんばって。」

まるで閉幕寸前の映画館に訪れたような感じで、

えっ、、、本当に終わってしまうの、、、

私は焦燥感に包まれ、ただただ茫然と立ち尽くし、事実を理解できないでいました。

そして時間が経過するにつれて、ある不安が過りました。

私を信じて契約してくださったお客様は一体どうなるのだろうか

言いようのない大きな不安で、押しつぶされそうな気持ちだったのを今でも鮮明に覚えています。
不安MAX状態でボスのところに駆け寄り、

自分「(;д;)=3=3=3=3・・・(何も言えず沈黙状態)」
ボス「おおっ、いまい~。聞いた??あいつら辞めるんだってさ~(*´▽`*)。」
自分「は、はい、聞きました。(なんでこんな笑顔なんだろ、、、)」
ボス「こんな感じだからさ、今月は無理して受注取らないくて良いからね~。」

意外にもボスが明るい感じだったため、拍子抜けするような感じでした。
受注を取らなくて良いという言葉はある意味終わりを意味している言葉だったかもしれないが、当時の私は頭がパニックで営業どころではなかったため、とにかく頭の中を整理したかったので、少し不安が和らいだのを記憶しています。
後日談によると、ボスはこれがきっかけで自律神経がやられ、体調が絶不調だったとのこと。
組織に残るメンバーが不安を感じないよう、明るく振舞っていたとのことでしで、若かった私はボスの振る舞いに本当に助けられました( ;∀;)

ただ不安はすぐにやってきて、
その年の1月度の受注棟数はたったの3棟でした(;´・ω・)
今まで20棟以上受注していたS部署がたったの3棟で終わり、組織の内外からは何が起こったのかと、下っ端の私にまで不動産部署の人たちから沢山の電話がきました。

他部署先輩「今井!S部署がたったの3棟ってどうしたの?何があったの?」
自分「いや~、わたしも良くわからないんすよ~(;´∀`)」

と、沈没船状態であることを悟られないよう必死でした。

■ボスの本領発揮

S部署で、残された営業はほんの数人しかおりませんでした。
今までスーパーエリート営業集団で構成されていたS部署は、注文営業経験1年未満の私を皮切りに、新卒数名、営業未経験者数名、設計から営業にコンバートされた人員で構成された最弱部隊になっており、誰がどう見ても今まで通りには受注は取れない様相です。
そこで営業全員集められて、ミーティングを行いました。

ボス「俺が全部営業出るから、とにかく俺につないで。全部俺がかたっぱしから決めてやるからさ~(‘ω’)ノ」

えっ!まじすか!?

ボス「チームプレイでこの局面を乗り切るしかないからさ、明日からは俺がどうやって話しを組み立てているかを皆に教えるから毎朝7時からロープレやるぞ( `―´)ノ」

そこから驚異的だったのが、
その月の受注棟数をボス自らが5棟以上受注しており、営業アシストも考えると10棟以上に絡むという信じられない光景でした。
ボスは凄い人だとはもちろん思っておりましたが、

凄すぎる、、、
その実力は私の想像をはるかに超えていました

正に有言実行で、ボス自らが前に出て行って道を切り開いていきました。

その月の受注棟数は目標の20棟には達しませんでしたが、明らかに組織は息を吹き返しました。
そして、何よりも良かったことは、今までは個性が強かったため、個人プレイスばかりの統一性がかけた営業部隊でしたが、最弱チームになった営業は今までには無かったチームプレイが生まれ、自然とお互いをフォローしあう体制になっていきました。
組織としては一致団結し、とにかくこの危機をみんなで乗り越えようという空気が更なる活力を生み出していきました。

■とにかくボスの営業手法を盗んだ日々

窮地に追い込まれたS部署はボスからのスパルタ営業指導が始まりました。
ボスの前でロープレをやるのですが、緊張していつも通りの接客が出てきません( ;∀;)

ボス「おめぇ、なんだそれは!そんなんで客前に出てんのか(゚Д゚)ノ」
自分「すっ、すいません(;´・ω・)」

とにかく朝からボスの叱咤激励の毎日
全員のあまりのできなさぶりに、

ボス「俺がロープレをやってみせるから良く見とけ( `ー´)ノ」

なっ、なんと!?ボスが!?

誰もがボスの営業はオリジナルすぎてマネできるわけがないと思っておりました。
そうすると、ボスはホワイトボードに①~⑫の項目を書き出しました。
それは会話の流れの全体構成で、①から順番に説明しては、各項目ごとにその場でロープレを見せてくれました。
これには正直驚きました。

それはとても緻密に計算された、ロジカルな構成だったからです

どこで話で抑揚を出し、どこで間をつくり相手にしゃべらせるか、そして顧客との信頼関係を生み出し、感情をどうコントロールしていくかetc

ボス「俺、適当にしゃべってるように見えるけど、結構考えてんだよ(*´▽`*)」
ボス「ちなみに俺の話す方言のイントネーションや、おっとりした話し方も計算だよ(-。-)y-゜゜゜」

前にも書いたとおり、私は対人恐怖症で人とうまく話せないため、話す内容を台本に書いて接客する営業スタイルだったため、

これはパクれる(゚ー゚☆キラッ

と、思いました(笑)
この構成を私の実体験に当てはめて、会話を構成すれば、私のオリジナル営業台本になりえると感じました(*゜∀゜)=3!!
その日からボスの営業トークをこっそり録音するようになりました。

自分「ボス!この日接客があるので、同席お願いできますか( `―´)ノ」
ボス「おおっ!喜んで!俺の接客見せてやるぜ~(*’▽’)」
ボス「どうも~。初めましてS部署のTともうします~。ペラペラペチャクチャ〇〇××~(*´▽`*)」
自分「(*´▽`*)ニコニコ(机の下で録音中なので話さない)。」

接客が終わり、お客様はボスにぞっこん状態。

ボス「どうだ、いまい~。俺の接客良かっただろ~(*’▽’)」
自分「はい!良かったっす!(本当にあの構成通りに話してる、すげぇ!)」

ロジカルな構成であるにも関わらず、ボスの接客はオリジナル性に富んで聞こえているのが本当にすごかったです。
この時を境に私は毎日録音を聞いては、台本作りに没頭しました。

ここで重要だったのは、ボスが話す内容はあくまでボスのストーリーだったため、

自分のストーリーに合わせて台本を書き換える必要がありました

ボスの場合はS部署を立ち上げたという強烈なストーリーがあるため、S部署の理念はお客様に届きやすいため、私がボスのストーリーを話すのは違うと感じておりました。
そこで私は一度自分の過去を振り返り、どうして不動産を経験し、なぜ今S部署にいるのかということをとても考えました。

なぜ私は不動産の専門知識や経験を持っているのに、
注文住宅の世界に身を置いているのか

私はおそらく不動産の部署にいた方が、収入面では良かったと思います。
しかし、その道を選択せずにS部署でチャレンジをすることを選択しました。
色々考えた結果、私がS部署にいる理由は、

クライアントが建てて欲しいという家が建築物としてずっと残る

ということでした。
建築物で残るためには、クライアントの要望を整理し、予算組を行い、ローンを斡旋し、その予算内で計画できる土地を探してあげなければ、クライアントの建物は実際に建つことができません。
当たり前なことなのですが、当時はこれをできる形態の会社があまりありませんでした。
当時、ハウスメーカーの営業戦略は既に土地があるクライアントにターゲットを絞っており、土地が無い状況でハウスメーカーに行っても冷やかし客のレッテルを貼られてしまい、相手にされない時代でした。

結果、土地がある人は注文住宅を建て、土地がない人は不動産業者に建売住宅を購入する二極化状態でした。

住宅ローンも複雑で、土地及び建物でそれぞれローンを組み、融資実行が土地、建物中間金、完成時に何回かに分けて資金実行されるので、クライアントはもちろん、それを担当する業者も予算管理がとても難易度が高いのです。
住宅ローン申請を失敗すると、予算組はたちまち崩壊し、計画していた建物は建たなくなります。

しかも、斡旋した土地が原因でトラブルが起こることも多々あるため、土地を所有していないクライアントはいつ爆発するか分からない時限爆弾みたいなものです。

建売住宅では金太郎飴みたいな似たような間取ばかり、ハウスメーカーの注文住宅であっても、建売住宅とあまり変わり映えしないようないわゆる間取構成になっていました。

どちらを選択しても同じ間取で家が建てられるのであれば、土地を探して、クライアントの希望する家を建て、それを形に残していく方が良いのではないか。
私は運よく、実家の住み替え時の土地探しで苦労を経験している(※vol.2)レアな経験を持っており、実際不動産業を経験し、建築の世界に飛び込んだ変な人でした。

あとは自己暗示をかけるように、

私がいなければ、クライアントが真に望む家は建たない。
クライアントが土地を購入し、家が建たなければ、他の人が建てられる未来がない。
私がいれば、S部署があれば、世の中の家はみんな良くなる(笑)

自分に言い聞かせました(゜.゜)

誰にも見られたくなかったため、事務所の個室に籠って、ボスの録音を聞きながら、台本をつくり、鏡の前でひたすらもう一人の自分とロープレをずっとやっておりました。
はっきり言ってヤバい奴と思われていたかもです(笑)

鏡の前でロープレをやり続けていると、あたかもそこにお客様がいるかのような錯覚が起こり、一人で鏡の中の自分と会話ができるようになりました。
その結果もあり、誰の前でも、誰もいなくても、同じトークを話せるというスキルを身に着けました(*^^)v

私の営業を何度も聞いている数少ない人は、私が完コピしていつも接客していることを知ってくれていると思います(;´∀`)
これができたのも、対人恐怖症の自分がいたからと今は思えております。

次回はS部署2年目の時に突如エリアリーダーに任命されたときの話しを書きたいと思います。

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