シンクロナイズド・バーニング
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シンクロナイズド・バーニング

 演目開始の合図はない。誰かが動いた瞬間から、全てが採点の対象となる。
 馬に乗った4名が動き出す。まずは村の出口を塞ぎ、逃亡者は確実に殺すのが仕事だ。

 ここ数年、異世界転生ビジネスは1つの極致に到達した。容易にチート能力を入手できる異世界で、21世紀の現実世界での不可能を可能にしようと、誰かが思いつくのは必然だった。その1つが「村焼き」。採点性の殺戮競技として、所謂「汚い金持ち」たちのハイソな火遊びとなっていた(そして私もその一人だ)。

 話を戻す。
 村焼きは、焼かれた後が大切だ。1人は生存者を残し、その恨みや怒り、悲しみこそが最も重要なのだ。逃亡者を見過ごす方法もあったが、私たちはさらに高難度に挑む気概を持っていた。
 私たちは、村の中に秘密の小部屋があることを期待していた。それを探して1人はそこに追い込み、気づいても気づかぬふりをし、村の全てを焼きつつ生存者を残す。相当な技術力が要求される高難度の技だ。

【続く】

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