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生物はなぜ死ぬのか:進化の視点から見る死の意味

「生物はなぜ死ぬのか」の著者、小林武彦の話は、私が現在関心を持っている「死」について非常に興味深い視点を提供していました。

生物の細胞は通常、一定回数分裂すると死にます。しかし、その中には特定の遺伝子が損傷することで寿命が延びる細胞もあります。これは、生物が自らの死を積極的にコントロールしていることを示唆しています。つまり、生物は決まった寿命を持ち、死ぬことが生存戦略として有利だと考えられているのです。

親世代の役割と死の意義

親世代の多様性を子孫にどのように残すか、またそれをどのように保存していくかという問題は、生物の進化において重要な課題です。なぜ親世代は死ななければならないのでしょうか。それは、新しい世代に多様な遺伝情報を伝えるためです。死を迎えることで、次世代に新たな遺伝的バリエーションを提供し、種の進化を促進します。

社会性と寿命

人間社会においても、寿命は文化や社会構造によって影響を受けます。ある国では平均寿命が50年であるのに対し、日本のように80歳を超える国もあります。これは、社会的な要因が寿命を左右する一例です。一方で、社会性のない生物は遺伝的プログラムによって寿命が決まっています。

遺伝情報の伝達と進化

小さな生物はRNAを介して遺伝情報を伝達し、抗生物質に対する耐性菌になるなど、自らの遺伝情報をメッセージングしています。これを考えると、将来的にはデータベースに蓄積した情報をインストールするようなことが可能になるかもしれません。実際、コロナワクチンも遺伝情報を意図的に体内にインストールし、スパイクタンパクを作らせる技術が使われています。

進化と死

進化の観点から見ると、生物の死は避けられないプロセスであり、むしろ進化のために存在しています。物理学においてはビッグバンからの歴史を考えるのと同様に、生物学では地球上で38億年前に生命が誕生し、そこから現在に至るまでの進化の歴史があります。そこから考えると結局は生物の死の意味はプログラムに他なりません。最初はRNAの情報を渡すところから始まって今の生き物になっているのです。

死ぬことで進化が進み、これまでの死の積み重ねが今の私たちの存在を可能にしているのです。

今後の人類の進化には、人々の意思や技術も関わってくるでしょう。死を考えるのは未来にもつながるのです。

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