事業創出の原理原則9 自社分析-4P分析と4C分析①

「STP分析」でターゲット市場を絞り込み、ポジショニングで宣言した、「顧客提供価値」を実現するために、マーケティングミックスを行います。マーケティングミックスとは、マーケティング戦略全体のなかで「実行戦略」を意味しています。構成要素は、「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(流通)」、「Promotion(プロモーション)」になります。4つの頭文字から「4P」と呼ばれています。「STP分析」の後に「4P分析」を行う理由は、ポジショニングで宣言した「顧客提供価値」を提供にするために、自社の優れたところと劣るところを比較して、そこから、強化するところと追加するところを考えます。「自社」を比較する対象は、「一般的な市場の基準」と「競合」になります。  
 
・「4P分析」: 「4P分析」は、1960年にアメリカの学者、エドモンド・マッカーシー氏が提唱した理論です。「どのような製品を、どのような価格で、どの流通経路で、どのように販促していくか」ということを「企業側」「売る側」の視点から考えます①「Product(製品)」は、何を売るのか?という企業側からの視点で、性能の良さなどに訴求した「製品戦略」です製品やサービスを企画し開発します。機能、品質、ブランド、デザイン、保障、サービスなども「製品戦略」になります。顧客のニーズをどのような製品で満たすか考えます。競合との差別化は出来ているかも考えます。②「Price(価格)」は、いくらで売るのか?という企業側からの視点で、販売価格を決定する「価格戦略」です製品をいくらの販売価格で売るかを考える「価格戦略」になります。取引の経済的基準となる価格を設定する活動です。一般的な価格戦略の設定は、原価+経費+利益から考える「コスト積み上げ型」。競合製品と比較して、この製品はいくらなら、競争力のある価格かを考える「競合比較型」。この性能なら、いくらなら顧客に買ってもらえるかを考える「顧客視点型」の3種類があります。標準価格、割引、利益率、支払方法なども「価格戦略」になります。いくらにすればどれぐらい販売でき、どれぐらい利益が見込めるか計算します。変化する一般的な市場価格や競合価格からも影響を受けます。③「Place(流通)」は、どこで売るのか?商品の在庫や場所など、流通経路などを含む商品を売る手段を意味します。製品を流通させるための経路の設定や物流に関する「流通戦略」です。 販売経路、販売領域、流通経路、流通範囲、在庫、立地、輸送方法なども「流通戦略」になります。近年は、Web上のみでの販売方法も増えてきました。④「Promotion(プロモーション/販促)」は、商品やサービスが、ターゲット層に向けてどういった手段が効果的なのかを考えて、潜在層をはじめとするユーザーに知ってもらう手段を選択する「プロモーション(販促)戦略」です。商品を顧客へどのような手段で知ってもらうか?といった広報などを意味する「販促」です。製品の存在を知らせ、需要を喚起させる活動です。広告宣伝、販売促進、営業人員なども「プロモーション(販促)戦略」になります。CMで大々的に販路を拡大して、商品をアピールする方法もあります。
 
・「4C分析」 : 「4C分析」は、1993年に大学教授のロバート・ローターボーン氏が提唱した理論です。「4C分析」は「顧客側」「買う側」の視点で考えます「Customer Value (顧客価値)」、「 Cost (経費)」、「 Convenience (顧客利便性)」、「 Communication (コミュニケーション)」の4つの頭文字から「4C」と呼ばれています。 「顧客が受ける価値はどのようなものか?顧客が費やす費用や時間はどれくらいか?顧客が入手しやすい状況とはどのようなものか?顧客が望む情報をどのように届けるか?顧客からの声は届いているか?」を「顧客側」の視点で考えます。①「Customer Value (顧客価値)」は、4P分析の「製品」から考えるのではなく、顧客が商品やサービスを購入した後に何が得られるのか?を考えます。単純に物ではなく、感情などの意味でどのような価値があるのかを考えます。企業側が何を売るのか?という製品戦略の考え方ではなく、ユーザーがその商品を手にした時のメリットや悩みを解決するなどのベネフィットを優先させた考え方です。マーケティングの有名な話に「1/4インチ口径のドリルを買った人は、1/4インチのドリルを欲しかったからではない。1/4インチの穴が欲しかったからである」があります。さらに「なぜ1/4インチの穴が必要か?」と目的を質問すれば「日曜大工のため」や「仕事で使うため」などの答えもあるでしょう。それによって、求める機能や価格も違います。目的に応じた「顧客価値」が存在します。②「 Cost (経費)」は、「4P分析」の「価格」から考えるのではなく、ユーザー視点からとらえた顧客にとっての「経費」です。顧客がその商品を購入するためにかかる時間や移動のコストなども、顧客のコストになります。ユーザーにとって、どのような状況ならその商品やサービスを利用しやすいか?といったことを軸に仕組みを考えます。同じ価格の商品を、ネットで買うのと店頭で買うのを比較した場合は、店頭で買うための時間や手間や交通費なども「経費」に含まれます。③「 Convenience (顧客利便性)」は、「4P分析」の「流通」でどのような経路で商品を流通させるのか?という考え方から、顧客の利便性を優先させて、入手しやすい方法を考えます。移動の手間や時間なども考慮すると、自宅で商品を注文できるネット販売は「経費」が少なくて済みます。④「 Communication (コミュニケーション)」は、4P分析の「プロモーション(販促)」のような広告などを企業側からの一方的な接触ではなく、アフターサービスなどの顧客からのコミュニケーションにも対応するという考え方です。一方的に数で勝負するのではなく、必要なユーザーに丁寧なコミュニケーション活動を行います。SNSやLINEやZoomなどを利用し、生産者と購入者の双方向コミュニケーションなどにより顧客との情報の共有を図ります。広告の効果だけではなく「口コミ」にも期待します。

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