事業創出の原理原則10 自社分析-4P分析と4C分析②

・4P分析と4C分析 : 「4P分析」も「4C分析」も、どちらもマーケティングミックスです。「4P分析」が売り手目線の戦略であるのに対し、「4C分析」は買い手側つまり顧客目線の戦略になります。「4P分析」と「4C分析」は、対の関係になります。自社の「市場分析」や「競合分析」を行う時には、「4P分析」と「4C分析」とを併用して分析すれば、多面的な視点での分析が可能になります。私の研修ビジネスで、「大手研修会社」と「私の会社」と比較したときに、「大手研修会社」の強みに対して、「私の会社」の強みをどのように考えていくかという視点で、対になる「4P分析」と「4C分析」で比較してみました。①「Product(製品)」と 「Customer Value(顧客価値)」が対になります。製品とは、売り手の視点で見た、品質や機能、ブランド名、サービスなどのことです。「Customer Value(顧客価値)」とは、製品やサービスの購入によって得られる広義の価値のことです。顧客から見てニーズに合っているか、顧客にとって価値のあるものになっているかと言うことです。製品そのものだけでなく、アフターサービスを受けられる、情緒的ベネフィットを得られる(楽しい気分になれる、優越感に浸れる)なども価値に含まれます。「大手研修会社」の「製品(Product)」と「顧客価値(Customer Value)」は、「研修のラインナップが豊富、リサーチ、就職支援などのメニューもある」と「一社で各種の研修を提供できる、パッケージで多くの講師が対応」になります。「私の会社」の「製品(Product)」と「顧客価値(Customer Value)」は、「PMと営業とマーケティングの研修に特化」と「専門性が高い。顧客に合わせてカスタマイズが可能」になります。②価格(Price)とコスト(Cost)が対になります。価格(Price)は製品やサービスを検討する際の重要な要素の1つですが、買い手が製品やサービスに支払う金額は、コストの一部でしかありません。コスト(Cost)は、企業側の利益ではなく、顧客のコストとなる価格に妥当な価値があるかということです。また購入にかかる移動時間や、交通費も顧客のコストに含めて考えます。「大手研修会社」の「価格(Price)」と「コスト(Cost)」は、「通常~高価格」と「複数の研修を検討する手間が少なく済む」になります。「私の会社」の「価格(Price)」と「コスト(Cost)」は、「通常~柔軟に対応」と「組織力強化に対する投資効果が高い」になります。③「流通(Place)」と「利便性(Convenience)」が対になります。「利便性」は購入する場所だけでなく、買いやすさといった利便性も考えます。「大手研修会社」の「流通(Place)」と「利便性(Convenience)」は、直接販売」と「窓口の一本化」になります。「私の会社」の「流通(Place)」と「利便性(Convenience)」は、代理店販売」と「要望に対する細かい対応」になります。④「Promotion(プロモーション)」「 Communication (コミュニケーション)」が対になります。プロモーションは企業側が顧客に売り込みをかけるものです。コミュニケーションは、顧客側との双方向のコミュニケーションになります、売り手は一方的な製品やサービスの情報提供に終始するのではなく、買い手の声に耳を傾けます。コミュニケーション活動の一環としてコールセンターを強化する企業もあります。近年はSNSに力を入れている企業も増えています。「大手研修会社」の「Promotion(プロモーション)」と「 Communication (コミュニケーション)」は、「無料セミナー、営業の直接訪問」と「営業担当者の変更があるが、会社としての対応が可能」になります。「私の会社」の「Promotion(プロモーション)」と「 Communication (コミュニケーション)」は、ホームページ、代理店からの問い合わせへの対応」と「打ち合わせから実施まで直接担当」になります。
小さな企業が、大企業と「同じ土俵」で戦っても勝ち目はありません。「4P分析」と「4C分析」の視点で、小さな会社は、独自の強みと「顧客提供価値」を作っていく必要があります。考えられる代表的な戦略は、マイケル・ポーター氏の「競争戦略」です。①「差別化戦略」で、他社の製品やサービスの価値に対し、自社の製品やサービスの価値を増加させることで競争優位を獲得します。②「集中戦略」で、企業の資源を特定の製品や流通、地域などの領域に集中することで、少ない経営資源を効率的に生かします。③「コストリーダーシップ戦略」で、事業の経済的コストを競合企業よりも下回る水準に引き下げることで、競争優位を確保します。4P分析と4C分析は、事業をどう設計し構築していくかを考える時の「弱者の戦略」の指標になります。

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