仮猫トライアル(13日め)

数日前から急に抱っこしようとするとフー!と言われるようになったので(今になって自我が芽生えたのか?)(それならばまずは仮猫の意思を尊重したい)と思い、触りたい、抱っこしたい、まだよく分からない頃に抱っこされて甘えてたあの声を聞きたい、というのを歯ぎしりしながら我慢している。

今日の帰宅後からずっと、仮猫はさちのお下がりベッドから出ないし寝てるしめちゃくちゃ静かなんだけど、さちを亡くして味わった(この部屋に生きてるもんがわたししかいない)という静かさとは全然違う。

向こうの隅に、猫が寝ている。音もなく、ただ白と茶と黒に縞が混じった毛の生きものが平らに寝ている。

音もなくは違った。いびきかいてる。

部屋に猫がいて、ゴハンを食べてお水を飲んでうんこをしてぐうぐう寝ている。抱っこしようとしたりちょっと大きく動くとフー!と言って睨んだり逃げたりするけど、部屋に猫がいるのよ。

さちとは全然、ぜんっぜん違う。仮猫と2週間近く暮らして、さちとはめちゃめちゃ意思が通じてたんだなと初めて実感した。仔猫から一緒だったのに加えて21年間暮らしたというのがあるからだろうけど、やっぱりわたしにとって特別な猫だと思う。

仮猫とこれからお互いの気持ちが分かるようになるのかは今のところ全然望みは薄いし、でもそうならなくてもいいかなという気持ちもある。
北国で野良で妊娠中に保護された仮猫が、もう寒くなくて飢えない暮らしをできるならそれでいいじゃん。わたしがほんの少しは猫の役に立つことができるかもしれないし。

でも、なるべく仲良くやっていきたいよ。さちは特別な猫だけど、仮猫もやっぱり新入りの特別だよ。

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