競技登山①

もろもろバタバタしていてアドベントカレンダーのノルマが借金重ねすぎなので、とりあえず返す意思はあることを示すために利子分の返済だけしときます。

2018年中にアウトプットしてみたきこと

野球等の一部例外を除く高校体育系部活動は、全国高等学校体育連盟、略称高体連のもとインターハイという全国大会を一つの目標として取り組んでいます。

僕が知人とお酒を飲むときのすべらないネタの一つに、ガチインドア系の自分が実はインターハイ戦士だ、という話があるのですが、そもそも登山という高校部活動が存在し、一定の競技性を有し、あまつさえインターハイを競い合っているという事実をご存じない人が多いので、このアドベントではその辺の話を少ししていきたいと思います。

まず、今回は競技登山とはなにか、何を以て競い合うのかというお話をします。

高体連の競技登山は、4人1チームを単位に参加します。チームはチーフリーダー、サブリーダー、メンバー2名で編成され、各校パーティーが宿泊を含めた複数日に渡る山行をともにし、その過程で各チームの技量をはかって順位付けを行います。

審査の対象となる技量ですが、以下の各項目について大会ごとに定められた基準をもって測定されます。

体力(30)
歩行(10)
装備(10)
設営・撤収(10)
炊事(5)
気象(7)
自然観察(8)
計画書、記録書(10)
救急(5)
態度・マナー(5)

大会ごとに定められた基準、とある通り、原則の考え方は共通するものの、測定方法は大会によって全く異なることが珍しくありません。

実際、僕がインターハイへの出場を決めた県大会では、特区間と呼ばれる特定区間の走破タイムで体力点をつけていましたが、インターハイ本戦では全体のペースに遅れず歩行できるかという観点で測定を行っていました。

歩行技術については概ねどの大会でも同じで、適切な歩幅、落石を起こさない、スリップの有無や靴紐の適切な処理などを総合的に見て判断されます。

装備については各自の携行品に不足がないこと、装備品の絶縁処理(ザックの中で電池を消耗しないための措置)が適切であること、防水対策等、装備品に対する配慮を審査員の独自の視点も加えつつ審査します。

設営、撤収はテントの設営技術に対する採点で、原則10分以内のテント設営、5分以内のテント撤収を行い、その出来栄えや作業状況に不備がないこと等を審査します。変わったところでは、雨天時にテントを濡らさないように設営手順を変更するなどの配慮が採点対象になったりしたこともありました。

炊事については風防等の安全対策や調理の衛生状況、手際等が審査対象となります。僕らは山でうな丼を食べるという目的のために、手作りの保冷バッグに真空パックのうなぎを仕込んで持ち込んだりしましたが、献立の凝り具合は審査されてなかったような気がします……。

気象については(今現在も同じことをしているかは疑問ですが)ラジオ放送を聞きながら天気図を作図し、その出来栄えを以て審査を行います。加えて、観天望気(自然現象から天気の変化を予測する)の知識を問うペーパーテストを行ったりすることもあります。

自然観察は、山系に対する知識を問うペーパーテストと、読図というミニゲームで審査を行います。競技者は山行途中、審査員によって特定のポイントに掛けられたフラッグを見つけ、そのポイントを手元の25000分の1地形図上にチェックします。審査は地形図上での誤差半径2mm以内を正解として判定されます。

このミニゲームに正解するためには、同じような地形を繰り返す山の中で周囲を常に見渡してポイントを把握し続ける必要があるため、体力の余裕と地形に対する理解が必要になります。また、同じ行程を繰り返すほど有利になるため、全国大会では地元優位になる要因であり、地区大会では事前山行の回数が勝敗を分ける原因にもなっています。

計画書、記録書は、山行計画の計画書と行動記録の内容を持って審査されます。計画書はあらかじめ必要な項目がわかっているので、そのとおりのフォーマットで文書を作成すればいいだけではあるのですが、大会中に他校のパーティと計画書交換を行うというさながら同人誌即売会のごとき文化があり、各校独自の工夫を凝らして面白い計画書を作ったりしていました。

うちのパーティでも、インターハイに関係のない新人戦の計画書では、チーフの趣味で表紙が某美少女ゲームのキャラクターになったりしていました……。

計画書には手作りで防水加工を施すのですが、我々はビニールテープで上張りをする方式で行っていましたが、溶かした蝋を垂らして表面を固めるパーティなどもありました。

救急については携行する医療用品の充足具合、ペーパーテスト、包帯などの実技試験などがありました。

態度・マナーについては完全に主観の審査になるところではありますが、チームの和、協調性、ゴミ処理や挨拶、時間厳守などがポイントになっていたと思います。

初回記事のまとめとして競技登山の競技性について総括します。

登山の知識、技術を総合的に問う競技だが、事前の準備、勉強でカバーできる範囲が大きく、運動神経に優れていなくとも努力でそれなりの結果を出せる。

しかし、そのくらいの準備はそれなりにやる気のある高校ならどこでもそれなりに整えてくるので、大会ルールを精読して難度が高く、減点が大きくなる項目を見つけ、その準備で差をつける必要がある。

僕が参加した県大会では特区間タイムアタックというかなり競技性の高い体力測定があって、体力自慢の他校に差をつけられかねないポイントではあったが、4人パーティのタイム、つまりは一番遅いもののタイムで競われるという点と、荷重を分配してバランスをとることができるという点を活用して、トップとの差を抑えたりしていた。

逆に、インターハイ本戦では体力測定が歩行ペースという主観測定になったことで差が付きづらくなったので、体力自慢の高校は対応に苦慮していたと思う。

どんな大会でも差が付きやすいポイントは読図で、上にもあげたとおり、事前山行で地形に対する理解を深めておけば、大会を有利に運ぶことができる。他方、全国大会のような事前山行が難しい大会では、この点で地元が有利になる要因になっている。

というような戦略の競技となっています。あまりここを読んで競技登山の傾向と対策する人もいないとは思いますが、読んだ人に少しでも新しい知見が得られれば幸いです。

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