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OKR/MBOをキングダムで解説してみる

ある種のビジネス書か?というくらいビジネスパーソンにも人気の「キングダム」は、読むだけで気持ちが鼓舞されることもしばしばですね。2018年には実写映画化第一弾も公開されました。関連ビジネス書籍も出版されています。
私なりにキングダムを読んでビジネスの場面にも活きそうだなと感じたことを整理してみました。

OKR/MBOに置き換えてみる

Google社やFacebook社が活用している目標管理の手法として注目されているOKR(Objective KeyResults)というものがあります。キングダムはその要素を説明するのにわかりやすいと思いました。

ちなみに...わたし個人的には、ドラッカーが提唱したとされる目標管理手法のMBO(Management by Objectives and Self control)が本来の運用をされていれば、何もOKRが目新しいものとは感じません。
また、最終的には自分たちの組織や事業に合わせて最適な運用方法をハイブリッドしたりチューニングしたりするものだと思います。

私が大事だと感じたポイントをピックアップしてみました。
ネタバレはがんばってないようにしているつもりです。

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中華を統一し天下の大将軍になる!

OKRでは【Objective】としてMoonshot(月を目指すくらい)の目的を掲げることで、より大きな成果を目指すことを期待します。

嬴政(後の秦王、始皇帝)は、争いのない国をつくるために数百年にわたり争ってきた戦国時代を終わらせるために誰も明言しなかった「中華統一」を目指すことをハッキリと側近たちに伝えます。

また、もうひとりの主人公の信は、孤児であり下僕という身分から立身出世をして「天下の大将軍」を目指すことを常に名言しています。大将軍とは、数万以上の兵を率いて大きく戦局を動かすリーダーです。

そんなリーダーのもとで、その言葉に銘打たれ、彼らに惹かれ力を貸す仲間が次々に現れます。これこそが【Objective】として大きな目的を掲げる意味でしょう。

戦で武功を立てる!

目的達成のために具体的な重要結果指標【KeyResults】を目標に掲げることで、一歩ずつ着実に前に進みます。

キングダムでは主人公の信が、初めての戦に向かったときには5人組の一兵卒からスタートします。兵士たちの階級はわかりやすく、武功を重ねることで評価されステップアップしていきます。

一兵卒→伍長→什長→屯長→百人将→五百人将→千人将→二千人将→三千人将→五千人将→将軍→大将軍

のように出世していくわけです。
千里の道も一歩から。一つ一つの戦いで、しっかりと武功を重ねることが求められます。
物語の中で政(嬴政)が中華統一に動き出す「〇年後」を期限として、信は戦を駆け巡ります。

出世するためには「敵の将の首をとる」ことや「重要な作戦を成功させる」ことなどが具体的な“行動指標”となるわけです。
KeyResult(目標)を設定したら、どうすればそれを達成できるのか、具体的な行動目標まで落とし込むことが大切です。

この戦で相手将軍〇〇の首をとる!

組織の目的・目標を組織内にしっかりと共有することが大切です。
旗印を明確にすることで、意思統一がはかられ同じベクトルに組織が向かいます。

信が率いる飛信隊は、常に隊が目指すべき目的や目標を共有され、そのために隊員たちが力を合わせて死線を乗り越えていきます。

この戦いで何を目指すのか。
「敵の〇〇を討ち取る」のか。
「味方の〇〇を援護して救出する」のか。
「生き残るために逃げる」のか。

今行動すべきことを明確に組織内に共有することではじめて、それぞれが自分の役割を理解し行動するのだと思います。

状況に応じて、臨機応変に作戦を変えなければなりません。
戦況を読む力は、隊員やその他の仲間を守るためにも重要な力です。

任務遂行上の課題や障害があれば臨機応変に目標や重要な結果指標の変更も行う勇気も必要になるでしょう。

仲間との対話を惜しまない

OKRの運用上大切な役割を果たすのが1on1ミーティングという対話を通じて都度の対話とフィードバックを行う場です。(一方的な評価や進捗確認の場ではありません)

信は戦の前後や夜営をしている時に、軍師の河了貂や、副長の羌瘣をはじめ、ひとりひとりの隊員たちとの対話を通じて信頼関係を築いています

その信頼関係があるからこそ、最高のチームワークをとることができるし、ピンチのときにも仲間を信じて戦い続けることができるのでしょう。

作戦会議は大事な意思統一の時間

OKRでは、週初めなどに定期的に「チェックインミーティング」として、今週に実行しようとしていることと課題をチームで共有します。

キングダムの場合は、隊が大きくなってくると、飛信隊でも信と河了貂を中心に羌瘣や楚水や渕といった副長たちと作戦会議(軍略会議)を行っています。

大切なことは起こりうる課題やリスクをあらかじめメンバーで共有しておくこと。できることならば、リスクが生じたときにとるべき行動も共有しておくと良いでしょう。

武功を上げた夜には酒盛りを

OKRの運用では、週末に「ウィンセッション」を開き、進んだこと、できたことをふりかえり称えあう時間を大切にします

キングダムでも、戦の最中や、終戦後に、お互いの武功をたたえ酒盛りをしながらワイワイガヤガヤ楽しみながら“前を向く”儀式的なシーンが多数登場します。物語は戦争をテーマにしているので、どうしても悲しいことがたくさん起こる。それでも大いなる目的に向かって前進することや、散った仲間をしのび、生き残ったことを喜び、武功を上げたものをたたえる。

この時間が仲間同士の絆を固くし、組織を強くする時間でもあるのでしょう。

いくつもの達成体験と死線を乗り越えて

オマケとして、OKRやMBOとは関係ないようで関係が大いにあることについて触れます。

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人が「自分ならできる!という自信」をつけて、前向きに行動をして成果につなげるために重要な“心理的資本”という考え方があります。
その自信こそが「自己効力感(Self-Efficacy)」と呼ばれるものです。

キングダムには、仲間の心理的資本を高めるシーンが多々あるのです。

ひとりひとりが戦を乗り切り生き残っていく。
自分たちの隊が武功を重ねていく。
そういったことで生まれる「達成体験」があります。

乱戦のなかで、戦う仲間を見て、あいつが戦っているなら自分が戦わないわけにはいかない!となりますし、出世を目指す別の部隊や将が武功を上げれば「俺たちだって!」となります。これは「代理体験」というものです。

また、いろんなシーンで「これまでいくつもの死線を乗り切ってきたお前たちなら、この戦いを勝利することができるぞ!」というように、「あなたならできる」と伝えることも多々あります。これは「言語的説得」というものです。王騎将軍や麃公将軍から信がコトバを授かるシーンもありますね。

戦いの直前に部隊の士気をを上げるために、意図的に号令をかけて鼓舞するシーンも多々あります。「うぉぉぉおおおおお!!!」と、兵士たちは自分たちはできるんだ!という自信に満ち溢れます。これは情緒的喚起を行うことで生まれる「生理的情緒的高揚」といいます。

またこうした戦いを何度も積み重ねることで、ピンチになっても勝つために、生き残るために、道筋が見えてくるもの。
いくつもの死線を乗り切ることで「レジリエンス(立ち直る力)」や「希望」を持つこともできるようになります。

最後に

改めてふりかえると「キングダム」にはわかりやすいマネジメントのエッセンスが詰まっていると思いました。

私も、またキングダムを2回目にじっくり見ると違うことを感じるかもしれません。それはまたその時に!

おすすめのOKR本をいくつかご紹介

本気でゴールを達成したい人とチームのための OKR,奥田 和広(著)

Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR (メジャー・ホワット・マターズ),ジョン・ドーア (著), ラリー・ペイジ (その他), 土方 奈美 (翻訳)

成長企業は、なぜOKRを使うのか?,ピョートル・フェリクス・グジバチ (著), プロノイア・グループ (監修)

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