MBAホルダーが薦める絵本2000選(52冊目)
【題名】そうべえごくらくへゆく (童心社の絵本)
【作者】たじま ゆきひこ (著)
【評価】★★★★☆(72点)
【感想・寸評】
1,関東人には読み聞かせがつらい
名作じごくのそうべいシリーズ第2作。前作では、地獄に行きましたが、今作品では極楽へ行くというお話し。総関西弁でお話しは続きます。
作者の田島先生は、大阪府堺市出身。ということで、これは河内弁なのでしょうか?
関東人の私には、なかなかスラスラと読み聞かせができなくてですね、ちょっと渋めの評価になってしまいましたが、お話しとしては抜群に面白いです。子供たちは,関西弁だろうがなんだろうが、「ふむふむ」と聞いているので、理解できてると思います。
今回のお話しも、空から突風に煽られたそうべえが、ちくあん先生、ふっかいの上に落っこちて、地獄に行くというスタート。それにしても、落ちてきてちょうどぶつかるなんて、みんな悪運が強いですね。えらいこっちゃ、えらいこっちゃ(笑)
2,ふっかいの法力が炸裂!
前作につづき、山伏ふっかいの法力が炸裂します!!糞尿地獄へ落ちるも、閻魔大王を巻きこんで、そのままカチコチに固まらせる。法力ってすごいですね。えらいこっちゃ、えらいこっちゃ(笑)
ほう‐りき〔ホフ‐〕【法力】 の解説
1 仏法の威力。仏法の功徳の力。2 仏法を修行して得られた不思議な力。
閻魔さまを脅して、極楽に行くのですが「地獄と天国が隣り合わせ」という所は、はっとします。地獄の壁をメリメリっとあけると、極楽。現実世界も、極楽かと思ってぬくぬくしていたら、奈落に突き落とされることも。隣り合わせですね。子どもにも伝えたいところですね。
さて、極楽には多くの規則があるという設定。面白いですね。人間は無秩序な状態よりも、秩序があるほうが安心するんでしょうね。これは、本能的なものかもしれません。
しかし秩序があるということは、自由は無い。そうべえたちは、自由が欲しいわけで、秩序を壊して自由になろうとします。アナキズムですね。
子供たちにどのように伝えるべきか。自由を愛しすぎると、学級崩壊の中心人物になりかねず、規則を強制しすぎると、創造性が失われます。この自由と規制については、親も悩みますよね。
まぁ、そうべえはやりすぎです。あみださま眠らせて、天女から楽器うばってどんちゃん騒ぎ。調子に乗りすぎはいけないですよね。
3,牢屋の中の現実
牢屋に放り込まれると、一人の絵師が捕まってます。「働いた&あみださまの絵を不細工に描いた」ということで、放り込まれたと。これは、考えさせられますね。天国には、労働する自由もないとのこと。それで、地獄送りはちょっとひどいですよね。
さらに、あみださまを不細工に描いた、といってもそれは現実。権力者に不都合な事をすると、牢屋に入れられる・・・・極楽では無くここは、独裁国家みたいですね。
さらにさらに、牢屋の脇には千両箱の山!地獄の沙汰も金次第。もうね、極楽は腐敗しきってます(笑)
そこで、お酒を飲んでみんなで馬鹿騒ぎするわけですな。「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」もう、地獄も天国もぐちゃぐちゃ。
踊る阿呆に見る阿呆、同じアホならおどらなや損損
阿波踊りの歌い出しを思い出しました。元気よく読み聞かせて、えらいこっちゃ、えらいこっちゃ!!!
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