いちやなぎ

京都在住 いちやなぎという名で音楽をやっています。1人でギターもって歌ったり時にはバン…

いちやなぎ

京都在住 いちやなぎという名で音楽をやっています。1人でギターもって歌ったり時にはバンドでも。ここでは詩やエッセイ雑文など自由に文章を書きます。

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    日常で思ったこと自由に書きます。ここはぐうたらのあなぐらです。

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    5曲入り音源集「album」について

最近の記事

どうか午前は穏やかに、ソマリア海賊

「今の仕事の前はね自衛隊にいたんですよ」 「へえそりゃすごい」 「アフリカにいたんです、海をパトロールしてソマリア海賊を取り締まっていました」 京の町に佇む古本屋「三密堂」で何やら興味深い話が耳に飛び込んできた。 店番である僕は、いったん手を止めてお勘定場に座って会話に耳をかたむける。 午前の穏やかな日差しに、通りを歩く、様々な国の観光客、隣のラーメン屋は連日大繁盛で整理券なるものをくばっている、このラーメン屋は若い店員さんが多い、隣はギャラリー、オーナーのご婦人とは表の掃き

    • サンドされたシャキシャキ言葉たち

      栞の言うことにゃ(仮) 「ことばは、自由だ。」 挟んだ栞にはこう書いてある。読みかけの本からひょいと覗ける、この二文字にふと目を留めた。そして少しだけ考えた、果たしてことばって自由なのかしら。 至言であるともとれるし大事な何かが抜け落ちてしまっているのではないかとも思えなくも無い。 僕がこの言葉を目にして最初に考えたのは、これを誰が考えたのだろうということだった。 コピーライターが考えたのか出版社の広報の人なのかよくわからない。 「ことばは、自由だ。」という言葉を実際にこ

      • 歌は突然ペテンハッタリペッタンコ

        音楽は人の心に語りかけて不思議な作用をする。心を鼓舞して扇動することだってできるし、お祝いお祭りから弔い争いにまで、なんでもこい。 逆に心を落ち着かせることもできる。 鎮魂と覚醒。 作家の中上健二は「優れた音楽は、この世のものだが何処か違う彼方からやってきたような異界性を伴う」としているが、もっともだと思う。 音楽の起源というものを僕は知らないけれど、神様とのコミュニケーション、結局辿れば宗教的なものに還っていくのではないだろうか。 だから、、というと短絡的かもしれないけれ

        • なんでもない春の嵐は穏やかに

          「今回のテストはてんで駄目だったからなあ。殆ど空欄で出しちゃったから点数1桁すら、ありえる」 なんてことを布団の中でぼんやりと考えていた。こんな時、スーパーマンのように微熱がやって来てくれればいいんだけど、そんな事あるわけ無く、体は至って健康であるから、あとは仮病を使うしかない。どうしようか、いっその事、もう一眠りなんて考えている内に、だんだんと頭が冴えてきて、僕は点数が悪い筈が無い、なぜならテストを受けていないのだからということが判明する。 夢を見ていたみたいだ。意識を取

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          ふらつく先の横丁

          せっかく来たのだからという思いが返って仇となり、あてもなく繁華街を亡霊のように彷徨い、時に人とぶつかりながら、チラシ配りやサンドイッチマンを避けながら、そんなことならばいっそのこと、すぐに帰ればよかったと思いつつも、ここまできてしまったならばと変に意固地になって、何の為、、それは飯を食う為だけれども、、誰の為に、、まあ自分の為他ならないのだけれど、その辺があやふやにすらなっても、まだ歩き続ける。 立ち食いラーメン「金龍」は海外からの旅行者に囲まれて、あらま、意外と調理場に立つ

          ふらつく先の横丁

          続々 思考リレー

          はじめに 1 ある日ドーナツ棒というのを見かけた。 なんだかわくわくした。 2 最近よく街で見かける、レンタル式電動キックスクーターが僕を追い越した、ナンバープレートを見ると大阪。此処は京都。 まさかここまで、それでやってきてないよね? 彼は颯爽と夜の街に消えていった。 3 時間は空間を入れる器で、空間は時間を入れる器。むむう、なるほど。 4 丸いのが普通とされているものが細長かったり、反対に細長いのが普通とされているものが丸かったりすると何故か嬉しい。 5

          続々 思考リレー

          芸術的修行者にはホットサンドをもたせて

          「バウル」ってご存知です?あれです、あれ。ほら、ぬくいサンドイッチ。 ホットサンドの事を言うんですね、熱い鉄板で挟んでぺしゃんこにするあれ。 僕はついぞ今の今まで知りませんでした。何度か食ったことはあったのだろうけれど、バウルだということを知らずにいて、へえそんな名前なのね貴方、ふんふんとインターネットをぽちぽちして「バウル」を調べた。 そうするとベンガル地方の歌うたいとある。 あれま。 適切な訳語が無く「吟遊詩人」、「神秘的詩人」、「芸術的修行者」とされているみたいで、興

          芸術的修行者にはホットサンドをもたせて

          ちぐはぐな街はキレイ

          「どこそこのラーメン屋は知ってる?」 「どこだろう?」 「ふんやら通りを、こう行って、こう行ったところの、、」 「ああ、あの通りね、はいはい。はて、あんなところにラーメン屋なんかあったかしら」 「そう、あそこが美味いの」 「ああ、そういえばあの通りには湯屋があるよね?近く?」 「へ、あんなところに湯屋があったかいな」 大体同じ場所をを思い起こしているのに違いないのに、うまく噛み合わず、互いが想起している街が交わらない。 頭の中で待ち合わせることができない。 みたいな事が、人

          ちぐはぐな街はキレイ

          くどくど毒吐くまいと

          「飛行機好きの方はぜひハワイをおすすめします」 浜辺に立つ黄色い水着姿のべっぴんさんは浮き輪を持ち微笑を浮かべ、方やぽつねんと俯き加減に物憂い視線をなげるべっぴんさん、極端な写真が二葉。 僕が生まれるより前に発刊されたカルチャア雑誌にあった広告。 最初は何の事だかよく分からず、更によくよく見てみると「飛行機グアム3.5時間、ハワイ8時間」 ほうほう。 左下には小さくグアム政府観光局。 なるほど。    とどめには「かしこい選択GUAM」 喧嘩をふっかけたのか、返す刀の事だっ

          くどくど毒吐くまいと

          鼠は夜のうちに走ル

          鼠は夜半のうちに走ル(仮) 1 田舎者は上ばかり向いて、歩いているものだからすぐにバレるというのは一昔前の話で、今は携帯に目を向けて、うろうろしているのが、余所者の可能性が高く、そんな僕は高く聳えるビルディングをボヤボヤと眺めつつ、且つ携帯電話を頼りによちよち歩いている。 よくもまあ、どこから湧いて出たのか川のようにして人があちらこちらで流れをつくり、どこもかしこもお祭りのごとく、てんやわんや、耳に放り込まれる雑沓は、暫くすると存外慣れてしまってむしろ心地よかったりもする。

          鼠は夜のうちに走ル

          ねじれる都市の酒処

          「ハイボウル一杯百圓??」 僕は目を丸くする。 ラミネート加工されたお品書きには、確かにハイボウルが一杯百圓とある。 さすが天下の台所と謂れるだけあって、大仰に光り輝く店が所狭しと軒を連ねる。 メイドさんカッフェや芸人さんの小屋を通り過ぎ、小道具屋が立ち並ぶ商店街をぬけ、ぱっとせぬビルディングのニ階。 席が100はあろうか、騒々しく大きな居酒屋。まだ早い時間だからか、人はまばらで、騒々しいのは店内ミュージックである。話し声を著しく妨害するという程でもなく、かと言ってささやかな

          ねじれる都市の酒処

          もしもしあなた様

          もしもしあなた様 気が滅入って何をする気にもなれずに海を漂う塵のように、これといった希望もなく彷徨う。いつまでも出口がないように思われて途方にくれる。 生きていると本当に色んな事が内にも外にも絶えず巻き起こるわけで、それによって調子が変わるというのは誰しもがある事でございましょう。むしろ何も起こらなすぎるということで、調子を悪くすることすらあるわけですから人間という生き物は大変厄介な生き物でございます。 かくいう僕もこれを書いている今、心が浮かないのです。 年があけて10

          もしもしあなた様

          晦日正月ぐうたん日記 3

          31日 実家。金沢。 先日降ったらしい雪は街の隅っこに微かに残る程度で、京都よりは寒いものの例年に比べ穏やかな気候で過ごしやすい。と思っていたら、やはり北陸の冬、そんな単簡にはいかぬ。 雨ふりふり。大雨。 昼から父、兄家族たちと大型ショッピングモールへ。そういえば普段あまり行かない。 みんなでぶらぶらする。姪っ子から「パン泥棒」なるものを教えてもらう。すっごく可愛くて是非、今度絵本を読んでみよう。 そんな彼女はすみっこ暮らしが大好き。 スーパーボール掬いのクレーンゲームを

          晦日正月ぐうたん日記 3

          ぽんぴろぽんぱん音楽日記(2023冬)

          12月15日 HUSKING BEE/ ANCHOR 現在の僕しか知らない人だったら意外と思われるかもしれないけれど、僕はパンクミュージック魅せられた少年だった。 こぶしが潰れてしまっている先生(また何処かで詳しく書こう)に、ウクライナの海賊みたいなバンドや、和太鼓がはいったハードコアバンドを教えてもらったりした。 HUSKINGBEEを久しぶりに聴いた。 あの頃を思い出した。 12月16日 佐井好子/ボンボヤージュ ジャケットが、どれも魅力的。本人が描いているらしい。

          ぽんぴろぽんぱん音楽日記(2023冬)

          さすれば暮らしのとうしろう

          テレビジョンの向こう側では、暮らしの達人と名乗るご婦人がスタジオにいる芸能人、ひいてはカメラの向こう側、並びにテレビの前の視聴者、即ち寝そべる僕に対して、暮らしを向上させるための指南をしてくださっている。ありがたや。 どこそこに、百圓均一で買い求めたこれこれを使うと、あら不思議。生活がよりよいものに。お次はお台所で、うんぬんかんかんぬん、、、。 ぼけえと眺めながら、頭に浮かんだ「暮らしの達人」という言葉。一体どういった人のことを指し、どうやったらそんな風に呼ばれるようになるの

          さすれば暮らしのとうしろう

          らんだ、たいだ、それが何だ

          生きる事って煩わしい。 面倒なことがたくさんある。本当にたくさんある。 目をぱちくりと開けたなら一日が始まって、寝床から這い出て、お外に出なくちゃならない。と、その前にお外にでる準備。支度。 自分の顔をチャプチャプと水で洗い髪をとかして、歯のお掃除。大人の男なら顔のお髭刈りも忘れずに。電動のやつでね。うぃーんと。女ならお化粧かしらね。 時計を見て時間を確認。 お外へ出るには外出用の服を着なければいけないし、靴も履かないといけない。 靴を履く前に靴下を履かなければいけないし

          らんだ、たいだ、それが何だ