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▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼     (14)チガイがわかる・おもしろ日本語入門   ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

    第二章 日本語ミステリー劇場

          その8、 ヘンテコリン形容詞を解明する! 

          souy

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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や18年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
  『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
  「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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なんだかヘンテコリンなタイトルですが、今回から形容詞についてお話していきます。

というのも日本語の形容詞は摩訶不思議であるばかりか、又その解釈を巡ってさまざまな説がとなえられ、容易には理解し難い、それこそ“ヘンテコリン”な世界なのです。

       (1)《オリジナル形容詞》と《コピー形容詞》


これまた妙な名前が登場しました。きっとあなたは一度だってこんな言葉を聞いたことがないはずです。 失礼しました、実はこれ、私が勝手につけた名称なんです。

日本語の形容詞には2種類あります。その一つは“白い”“赤い”や“美味しい”
“まずい”など、最後が「い」で終わる日本語本来のきわめて典型的な形容詞です。
わかりやすくするために、それらを《オリジナル形容詞》と呼ぶことにしました。

日本語の《オリジナル形容詞》はちょっと変わっています。というのも、自ら過去形や否定形をもっていて、動詞のように変化するのです。 こんなヘンテコリンな形容詞、おそらく外国語には殆ど存在しないことでしょう。


         “美しい”を例にとって見てみましょう。


   ーーーーーーーーーー〈肯定形〉ーーーー〈否定形〉ーーーーーーーー

   〈インフォーマル〉

       現在形   美しい        美しくない
             (・i)         (・kunai)

       過去形   美しかった      美しくなかった
             (・katta)       (・kunakatta)

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ところで形容詞とは何でしょう? そう、基本的に、名詞を形容する言葉です。

「美しい山」、「美しかった山」あるいは「美しくなかった山」など、次に続く名詞(スペイン語などラテン系言語では、逆に前に位置する名詞)を形容しますね。これが形容詞のひとつの役割です。


 でも形容詞にはもう一つ、be動詞とともに文章を構成する役割があります。

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たとえば英語では「Mt. Fuji was beautiful.」などですが、ここで気をつけなければならないのは、日本語では「富士山は美しかった。」だけでいいのです。つまり日本語の形容詞は、基本的にbe動詞を必要としません。ただしもしフォーマルで話したければそれに“です”を加えます。

上にあげた表のように、形容詞変化は動詞変化と違い、〈フォーマル〉がありません。ですからフォーマルにしたい時はその最後にbe動詞“です”を加えます。これはいわばお約束言葉と考えていいでしょう。“でした”や“ではない”は全く不要です。だって形容詞自体が過去形も否定形も持ってるんですから、トーゼンのことですね。

       ではいよいよ、《コピー形容詞》に進みましょう!


《コピー形容詞》とは、日本人が本来の《オリジナル形容詞》に飽き足らず、周辺諸国などから次々に取り入れてきた新しい“形容詞まがい”とでもいいましょうか。

たとえば最近では“cool”という英語が大流行りのようです。本当に意味するところはよくわかりませんが、日本人は早速これを取り入れて、「これって、クールだね」とか「彼はとってもクールな人だ」などと使ったりしています。

ほかにも“shy”や“smart”など数えきれない単語を、私達は受け入れてきました。
英語だけではありません。古くは中国語やインド言語、またフランス語やポルトガル語などから取り入れた言葉を、形容詞まがいに改造してニュアンスの変化を楽しんできたのです。一説によれば、私達がよく使う“バカ”はサンスクリット語なのだとか。

いや、外国語ばかりか“cool”に似た“粋”という言葉や“静か”など、本来日本語の
名詞だったものを形容詞化させたものもあるようです。そう、日本人はずっと昔から、コトバのバリエーションを楽しむ民族だったのです。


     もちろんこの《コピー形容詞》にも、2つの役割があります。


まず名詞を形容する場合、《オリジナル形容詞》では形容したい名詞の直前にそのまま置くだけでOKでしたが、この《コピー形容詞》では名詞との間に“な”を付け加えなければいけません。「クールな男の子」「シャイな女の子」、あるいは「粋な先生」といったぐあいです。

私のつたない推測によれば、この“な”は、be動詞の不定形“だ”が変化したもので、
「クールだ男の子」ではどうにも響きがよくなかったからではないでしょうか。

たとえば何らかの理由を説明する時「・・だから」とは言っても、「・・だので」とは言わず、「・・なので」と言い換えます。コトバの響きばかりか「・・だので」では、かなり言いづらいですよね。

おそらく日本人が《コピー形容詞》を受け入れた時、それらの単語をとりあえず名詞と考え、それをそのあと形容詞化したためなのでしょう。名詞は、いつでもbe動詞を必要としますから。そうして、その“だ”を“な”に変えたのでしょう。


    そんなわけで、《コピー形容詞》には常にbe動詞が必要なのです!


ですからもう一つの役割、be動詞とともに文章を作る場合にも、当然いつでもbe動詞を設置しなくてはなりません。 必ず、いつでもですよっ!!

《オリジナル形容詞》で「富士山は美しい」でよかったものが、《コピー形容詞》では「富士山は静か」では不十分です。いつでもbe動詞をつけて、「富士山は静かだ(静かです)」や「富士山は静かではなかった(静かではありませんでした)」などと言わなければならないのです。

  そう、“静か”の後につけるのは、be動詞“だ”の変化形そのものですね。


              いかがですか、

《オリジナル形容詞》と《コピー形容詞》の違いをおわかりいただけたでしょうか? 次回は《形容詞》と《形容動詞》について考えていきましょう 。お楽しみに!!


                 
ーーー 次回は第15回、 第二章 日本語ミステリー劇場
  
            その9、ヘンテコリン形容詞を解明する!

             (2) 《コピー形容詞の生い立ち》
 
                      
 を、お届けするつもりです。お楽しみに!!

              ▽    ▽

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