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リザードン争奪戦にはジャッジを呼んだほうがいい?

家に金麦が70本ある幸せをかみしめて、日々誰かの役に立つ発信をしていきたいとおもいます。創作の根源は孤独と飲酒。

さて、4連休にロクに予定もない独身28歳男性(当時27歳)なので、4連休は高田馬場で2回、溝の口で1回、ジャッジを担当させていただきましたので、そこで思ったことを書いていきたいと思います。(といいつつ一週間たった)

先に身もふたもない結論を書いてしまうと、このタイトルの問いには全然意味はなくて、ジャッジがいたほうがいい/わるい、の2択なのであれば、用意したほうがいいということは、まあそりゃそうだよねというところだと思います。

本当の論点としては「何らかのお礼を用意してまでジャッジを使うか」という点ですね。

僕自身としては、参加する立場であったとしても、ジャッジがいるほうがいいとは思っているのですが、ジャッジの稼働を増やしたいとかは全然思ってないです。

一番の目的としては、全国のリザードンHR争奪戦が大きな問題なく開催され、なるべく嫌な思いをする人がいないイベントになってほしいと思って書いています。

僕にはお店の事情はわからないので、それぞれの事情に合わせてジャッジを呼ぶべきか検討するための材料として読んでいただければ幸いですし、
もしジャッジを呼ばない、という判断をしたならば、その中で極力ジャッジがいるのと同じような運営ができるよう、僕が気を付けていることや実際のアクションを書いていけたらと思います。なるべくフラットに。

ジャッジとしてのイベントに対する姿勢

「大型大会等で稼働経験のあるジャッジ」と「ポケモンカードのルールにまあまあ詳しい人」(資格だけ取ってなんの活動もしていない人も含む)の違いとしては、まずイベントに対する姿勢が挙げられると思います。

「姿勢」というと抽象的すぎるので、具体的に書くと「様々なプレイヤーに対する、スタッフとしての正しい接し方」ですね。

たぶん、普通にポケモンカードを遊んでいる人は、おそらく自分と同じような趣向、熱度、強さの人と接することが多いと思うのですが、
大型大会では、毎年日本代表になっているプレイヤーから、その日が初めての対人戦という方まで様々な方が参加されています。
そのような状況で、正しく大会の運営が行われ、嫌な思いをして帰る人が極力少なくなるよう、ジャッジメンバーは「正しい接し方」のインプットを受けています。
リザードンHR争奪戦も同様に、カード資産がなくても遊べるので始めたばかりの方から上級者まで参加する楽しい大会という側面と、高額商品がかかった真剣な大会という二つの側面があり、非常に難しい大会ですので、その趣旨を鑑みて全体にバランスの良い対応をする必要があります。

ジャッジとして稼働するとこういう勉強ができるのですが、ただのルールに詳しい人だと、自分の周りのプレイヤーの世界観ですべてのプレイヤーを見てしまうことにつながるかもしれないと思うので、気を付けたほうがいいのかなと思います。

毎度ジャッジ稼働のたびに事前ミーティングで話すのが

友好的だけど、フレンドリーではない

威厳があるけど、威圧的ではない

常にプレイヤーのことを第一に行動するけど、
目の前のプレイヤーのことを第一にしない

(記録してないのでうろ覚え)

という姿勢です。この基本姿勢を意識しながらやると、経験がないジャッジでもそんなに大きく失敗することはないんじゃないかと思います。

僕が出る立場で考えても、特定の誰かにめちゃくちゃフレンドリーな店員・ジャッジがいたら嫌だなって思いますし、逆にめちゃくちゃ威圧的すぎて参加者が必要以上に緊張しちゃうようなジャッジも違うなと思います。

去年含めると争奪戦で6回ジャッジをしていますが、パックを配って一斉に開封するタイミングとか、みんなが一斉に移動するタイミングとか、
なんとなく全体が「ザワっ」となるような要所のタイミングで、しっかり「不正がないように見ている」という空気を出せれば、あとは仕組みの方で結構カバーできてきているので、常にピリピリし続ける必要はないと思っています。

裁定の出し方

実際、ジャッジといっても、公式ペナルティーチャートにのっとって裁定を出しているので、ちょっと詳しい人なら経験がなくてもそんなに大きく間違った裁定は出さないと思います。

しかも、リザードン争奪戦のカードプールでは、山を混ぜる機会も少なく設定されており、修復不可で難易度の高い裁定を出すケースは一日に一回あるかどうかというところだと思います。

僕も3日間やって、サイドペナルティ以上の裁定を出したのは1回だと思います。たしか。

であればわざわざジャッジを使わなくてもよいかもしれないというのは一理あるのですが、経験があるジャッジとルールに詳しい人で違いが出るのは裁定の伝え方だと思います。
選手に呼ばれて見に行って、(あー、これはサイドペナ1だなー)と思っても、「これはサイドペナ1ですねー」という伝え方をしてはいけません。

一度ジャッジ研修を受けると1から10まで教わることができるのですが、簡単に書くと以下のようなことを話しています。

(例)マリィで山札を混ぜてしまった際のジャッジコール
①「はい、どうされましたか?(やや笑顔)」
※選手は大体めちゃくちゃドキドキしてるのでこちらは焦らず、なるべく落ち着いたトーンで冷静に聞く。選手と目線の高さを合わせられると尚よい。口角をあげて:)
②「なるほど。今の話で間違いはないですか?
※話していないほうのプレイヤーに必ず確認をとる。これがないと対戦相手が「いや違うだろ!」って結構ヒートアップしたりするので必ず聞く。なので先に「順番に伺いますね」と伝えてから一人目に話を聞くと尚よい
③「では、盤面をなるべくしかるべき状態に戻させていただき、そのあとでペナルティの検討をします。
※このセリフは別に言っても言わなくてもいいけど、選手はサイドペナが出るか出ないかそわそわしているので(たまに「サイドペナですよね?」とか聞いてくる人がいるのでそれを静止するためにも)、順を追って説明することを印象付ける。この間盤面は触らない。
④「まず、山札に戻してしまう前の手札に何があったかはわかりますか?」
※シールド戦だと、手札特定できてお互いに合意が取れることは基本的にないだろうなーと思いつつも、奇跡的にスーパーボールで持ってきた1枚だけだったりするかもしれないので一応聞く。
⑤「この場合ですと、本来山札の下にあるべきカードがデッキの中に入ってしまい、もとに戻せない状態になっています。そのため、このまま私がシャッフルさせていただき、山札をランダムにしたあとに、上から○枚引いていただき、正しい手札の枚数にします」
※盤面修復を実際に行う前に、全体の方針を先に伝える。同時に、ペナルティの根拠になるため、盤面修復不可であることを伝える。このとき両者の合意がとれるまで勝手に盤面を動かさない。選手が操作しようとしたら止める。
⑥「その上で、本来デッキの下にあるべきカードが山札に戻ってしまったことで、こちらのプレイヤーの方が本来得られないアドバンテージを得ている可能性があります。
※ペナルティの根拠の説明。ルールでこうだから、私がジャッジだから、ミスをしたから罰を与える、ではなく、なるべく対戦のバランスを取るためにやむを得ずペナルティをだすんだよという旨の説明をすることで納得してくれることが多い。
⑦「そのため、ルールに基づいてこちらのプレイヤーの方にサイドペナルティ1枚の裁定を出そうと考えています。この裁定で問題ないでしょうか?
※99%くらいの選手は納得してくれるので僕も最初はこれをいうのを忘れたりしていたけど選手を納得させることが一番大事なのでこれだけは絶対に確認しなくてはいけない
⑦'「もし裁定に不満がある場合は、より上位のジャッジに上告をする権利があります
※基本的には納得してくれるけど、ちょっと不満そうなら上告は選手の権利なので保証しなくてはいけない。どんなに選手が不満そうでも絶対にジャッジが不服そうな態度を出してはいけない。マスクしてるので口角を3倍あげて:)
自分がマスタージャッジだった場合、マスタージャッジなので覆らないという旨を伝える。(これはつらいね)
⑧「では先ほどの流れで進めさせていただきます」
※ここで初めて盤面を触る。ペナルティのサイドはまだ取らせない。
⑨「(処理が完了したのを確認し)そちらのプレイヤーの方には今、サイドカードを1枚とる権利があります。
※シールド戦だと取らない選択肢は基本的にないんだけど、取らない権利が選手にはあるので、この伝え方をする。
⑩「それでは続行してください」
※なんか見落としてたりすることもあるので、数アクション見守ってからその場を離れる

大体こんな感じですべてです。今回サイドペナが出る場合のパターンでしたが、サイドペナがでなくても基本的にはこのフロー通りに行われます。

ジャッジとしては人生で何十回も呼ばれるうちの一回ですが、選手にとってはジャッジを呼ぶことなんてそうそうないですし、ましてや高額な商品のかかった大会ですので、
軽いパニックになっているということを思いながら、こちらは絶対に動揺せず、何事もなかったかのようにプレイが続行できるような話し方ができるのがいいジャッジです。

書き起こしてみて思ったのですが、一回セリフ部分声に出して読んどこうって思いました。(接客業の人が朝礼でやるやつ)

誤審が起こった際のリスクテイク

もう一つ考え方として、誤審の際のリスクという観点があると思っています。

どの競技でも、優秀な審判で誤審をしたことがない審判はいません(たぶんね)
サッカーのワールドカップにおいて、世界中から選ばれた優秀なプロの審判団でも1大会に何度かは誤審があります。

↑最近読んだ記事

まあもちろん、無いにこしたことはないんですが人間ですしね、0にすることはできません。

問題はそうなったときに、誤審をしないようどれだけのことができていたかという話だと思うんですよね。

このサッカーの記事は、普段から熱心に審判活動をしていた方で、大きな誤審をしてしまったが他の人が支えてくれたおかげで復帰できたという記事で、この方ほど審判活動に精を出している方なら、周りも許してくれるというか、一度は怒るかもしれませんが戻せないものはしょうがないので、「まあしょうがないよね」という気持ちになるんだと思います。

ポケモンカードにおける公認ジャッジも、資格取得後の最新知識のアップデートは個人差がありますが、基本的には試験と面接を経て株ポケに公認されている存在なので、一定の研鑽を積んだ人であるという能力の保証と、裁定の責任を一部公式が担保してくれるという側面があると思っています。だって公認してるんだし。

ということで、まったくジャッジがいない大会で誤審が起こったという場合と、公認ジャッジが誤審を起こした場合で、納得できるかどうかちょっと違ってくるんじゃないかなぁと思います。

ここは僕がジャッジだからというのがあると思うので、ジャッジなんてものをそもそも知らないって人は関係ないのかなぁ、その辺はもはやわからないですね。
ただ、去年も今年も「しっかりジャッジのいる店舗で出られてよかった。安心して対戦を楽しめた」というありがたい意見はいただけているので、
「公認ジャッジがいる」ということで、安心して参加したい人が増えて結局何も起こらない、みたいな効果に寄与できているのかなーとも思います。出たことがないので客観的には言えませんが。

長くなってしまいましたが、そんなところが僕から伝えたいことになります。
冒頭書いたように、ジャッジを呼ぶお店も、呼ばない判断をしたお店も、参加者が嫌な思いをすることなく無事に争奪戦が開催されてほしいという気持ちです。
そのために補足説明が必要とかがあれば答えさせていただきたいと思いますし、僕自身もなるべくジャッジとしての貢献はしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。


追記:参加・観戦される方
参加者じゃない人が会場ウロウロしたあと特定の参加者と話すの、あれ結構ほかの参加者の方から見たら嫌だと思うのでやめたほうがいいですよ

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