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世界のひきこもりについて。

以前、「世界の不登校について」というタイトルで記事を書きました。
不登校は日本だけに見られるものではないこと、
既存かつ画一的ではないオルタナティブな教育と、その学校が広がりを見せていること、を紹介しました。

今回は世界のひきこもりについて知っていきたいと思います。
(トップの写真は、101カレッジのメンバーとファミリー☺︎)

ひきこもり=HIKIKOMORI

海外では「ひきこもり」が「 Hikikomori 」としてそのまま使われるようになり(英訳はSocial withdrawal)、また実際に増えてきているといいます。

ひきこもりの多い国には、日本、韓国、中国、イタリア、フランスなどが並び、家族主義であることが共通点に挙げられています。
一方、アメリカやイギリスといった個人主義の国では、社会に参加できなければホームレスになるため、ひきこもりは大きな問題ではないよう。実際、若者のホームレスの数は、アメリカで160万人、イギリスで25万人にのぼるといいます。(日本は1万人以下)

イタリア

2009年に最初の「引きこもり」のケースが確認されたというイタリア。
日本の引きこもりとの共通点として、学校に対して恐怖を感じた経験があること、インターネットへの依存、昼夜逆転の生活リズム、があるそう。
また、母親と子どものアンバランスな関係、甘えた母子関係、が共通する問題だと指摘する研究もあります。
2018年の報道では、14歳から25歳の約10万人の子どもが、勉強も仕事もしておらず、家族や友人との関係を拒絶していたようです。

ドイツ

若者のゲーム依存が問題視されているというドイツ。
ある組合の調査によると、ゲームに深くのめり込む若者は約50万人にものぼり、そのため頻繁に学校に休む子どももいるそう。
ただ、以前の投稿でも紹介したように、ドイツでは就学義務(学校へ通わなければならない)が厳しくしかれているため、医者の診断書なく長期にわたって学校を休むと、保護者に連絡がいきます。その際の説明が不適切だと、警察が様子を見に来ることもある、と。ドイツでひきこもりになるのは非常に難しいと想像できます。

ちなみに、ドイツでは「社交不安障害」という診断があるそうです。
実際、青少年の8人に1人が罹っているともいわれ、重症化すると社会から断絶し、実家の部屋に閉じこもりうる(つまり、ひきこもりの状態になりかねない)といいます。
その背景には、社会からの要求がひどく高まっていることが挙げられています。
若年層の約5%から10%は、他人からの評価を恐れ、社会との接触を避けるようになっているそうです。

デンマーク

「デンマークにもひきこもりはいるのか」と知人に尋ねたところ、さまざまな情報、意見を得られました。
まず、多くがひきこもりを精神的な疾患と結びつけていました。
そのため、回答も自ずとそれに拠ったものに。

結論として、デンマークにひきこもりはいない、といいます。
その理由として、
・福祉制度がすべての人を対象としている(いかなる状況にも応ずるものになっている)ので、ひきこもりにはならない。
・福祉給付を受けるためには、目に見える存在でなければならない。
・ひきこもりは6ヶ月以上孤立した状態であることを指すが、デンマークでは不可能。その前に行政が気づき、何らかのサポートを受けることになる。
・ひきこもりになる前に、カウンセリングや薬物投与などの治療を受けられる。
・精神疾患はごくごく一般的で、学者だろうが、ビジネスマンだろうが、誰でもなり得る。日本のように患っていることがタブーにならない。
・デンマークでは見られない。ただ、高等教育に進まない若者は多く、2017年の統計では14.5%が義務教育以降の教育を受けていない。また、25歳以下の約4万5000人の若者が、仕事を得ず、教育も受けていない。(18歳以下であればおそらく家族が、それ以上であれば国からサポートを得ているのでは、との見解。)
などが聞かれました。

ちなみに、精神疾患にかかる若者は増えているようで、1995年から2016年に生まれた子どものうち15%が、18歳になるまでに精神疾患の診断をうけている、との報道があります。(非常に高い割合だと当のデンマーク人も驚いていました。)
また、文化的なちがいとして、デンマークでは18歳頃になると親元を離れ、自立して暮らすようになります(一人暮らしよりルームシェアをする方が多い)。そのため、親が子どもの面倒を見つづけることはほぼありません。

イギリス

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Shared Livesのホームページ
NEETという言葉が生まれた国は、さまざまな取り組みを行っています。
ニートの若者、またなりそうな人たちへのカウンセリング、職業訓練、シェルター(一時的な住まい)の提供など、社会的、心理的なサポートが進んでいるよう。
また、地域社会では「Shared Lives」(※)、男性がDIYをしながら仲間と交流できる「Mens Shed」などのサービスがあり、居場所づくりが積極的に行われているといいます。
※Shared Lives
以下の人を対象とし、家に迎え入れ、共同で生活する仕組み。
・精神障がい者
・高齢者
・学習障害の子供
・虐待・DVの被害者
・要介護者
・一時的にケアを必要とする人

日本

ひきこもりになる要因はさまざま。
しかし、そのひとつに枠にはめようとする存在があると思います。
それは、親であったり、世間一般であったり、社会であったり。

「こうあるべき」ではなく、「こうありたい」「こうもあれる」
「こうすべき」ではなく、「そうもできるね」「それもいいね」

そう受け入れられる環境にしたいですし、
そう受け容れる私たちでありたいですね。

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