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「ハラハラドキドキのシーン」を描くための5つのポイント!!|『スピード』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「スピード」をベースに新しい物語を妄想します。

※「スピード」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「スピード」は、突如犯人の「罠」にハマった主人公が仲間の協力を得て、次々と襲い来るトラブルに対処し、やがて犯人を打ち倒すに至る物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「スピード」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて「スピード」の中心にあるのは、「バスが50mph(時速50マイル=時速約80km)を下回ると爆弾が爆発する」というアイデアです。

嘉村 ふむ。

三葉 そして改めて考えると……「バスが50mph(時速50マイル=時速約80km)を下回ると爆弾が爆発する」。じつに単純なアイデアですよね。誰にだって思いつきそうに見える。しかしながら……これ、超秀逸なアイデアだと思うんですよ!


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嘉村 なるほど。

三葉 ちなみに……いま申し上げた5つのポイント、すなわち【明快な「ルール」】、【ヘビーで迅速な「罰」】、そして【バラエティ豊かで、高密度の「障害」】は、「スピード」固有のものではありません。優れたサスペンス作品に広く見られる特徴と言えそうです。

※サスペンス作品:ここでは、「鑑賞者をハラハラドキドキさせることに重きを置いた作品」という意味。


三葉 例えば……「ジョジョの奇妙な冒険」(第4部:ダイヤモンドは砕けない)に、「他人に背中を見られると死ぬ」というアイデアが登場します。


三葉 「ジョジョ」をご存知ない方向けに補足すると、「岸辺露伴」というキャラが、「チープ・トリック」という敵に憑りつかれる。その結果、岸辺露伴は「他人に背中を見られてはならぬ。もし見られれば死ぬ」という状況に追い込まれるのです。


三葉 岸辺露伴は、背中を見られぬよう慎重に行動します。とはいえ、それは容易ならざることです。多くの「障害」が立ちはだかる。例えば、彼は仲間に助けを求めるべく街を歩くのですが……はて。一体どうすれば、誰にも背中を見られずに交差点を渡ることができるのでしょうか?

嘉村 うーむ、難題だ。

三葉 あるいはまた、このチープ・トリックという敵はじつにあくどいヤツでしてね。岸辺露伴の声色を真似てチンピラを挑発したり、犬猫をそそのかしたりして、岸辺露伴を窮地に追い込んでいく。

嘉村 ふむふむ。

三葉 かくして、岸辺露伴はさんざんひどい目に遭います。最終的には一発逆転の方法でチープ・トリックを撃退するに至るのですが……それはさておいて。

嘉村 ええ。

三葉 ここでご注目いただきたいのは、この「他人に背中を見られると即死」というアイデアが、先ほどの「5つのポイント」を満たしているということです。

嘉村 【明快な「ルール」】、【ヘビーで迅速な「罰」】、そして【バラエティ豊かで、高密度の「障害」】……確かに!

三葉 またこれ以外にも、「ジョジョ」には「5つのポイント」を満たすアイデアが散見されます。例えば、「第5部:黄金の風」に登場する「24時間ライターの火を消してはならない。もし消してしまったら、殺される」というアイデア。


嘉村 ふむふむ。

三葉 このように、少なからぬハラハラドキドキ系アイデアが「5つのポイント」を満たしています。逆に言えば、「5つのポイント」は、「スピード」や「ジョジョ」のような優れたアイデアを生み出すヒントにはなり得ると思うのです。

嘉村 なるほど。

三葉 ということで、前置きが随分と長くなりましたが……ここで「案①」です。ズバリ、「『スピード』 ~『100db以上で叫び続けろ!』


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嘉村 100db(デシベル)!かなりの大音量ですよね?

三葉 ええ、「電車通過時のガード下の騒音」が100db程度とのことです。

嘉村 ほぉ。

三葉 要するに……主人公は、「デカい声で叫び続けろ。さもなくば即死だ」という呪いをかけられてしまった。かくして彼は、騒音計を片手に叫び続けます。そしてそんな彼の前に、様々な「障害」が立ちはだかる!

嘉村 ふむ。

三葉 例えば……強面のオッサンに、「うるせぇんだよ!静かにしろ!」と怒鳴られる。主人公はビビる。しかし口を閉じるわけにはいきません。死んでしまいますからね。

嘉村 ええ。

三葉 したがって、主人公は逃げ出します……叫び続けながら。それを見たオッサンはブチ切れた「テメェ、オレをおちょくってんのか!」。オッサンが追いかけてくる。

嘉村 ふむふむ。

三葉 また、警察も黙ってはいません。不審者がいるという通報を受け、警官が追いかけてくる。

嘉村 なるほど。

三葉 主人公は絶叫しながら街を歩きます。「頭のおかしなヤツがいるぞ」ということで、人びとが遠巻きにする。彼らはヒソヒソと陰口を叩いている。ふと見るとその中に……主人公が密かに好意を寄せているA子ちゃんがいるではないか!彼女も他の人同様、「見てはならぬものを見てしまった時の表情」を浮かべている。

嘉村 ほぉ。

三葉 主人公は慌てた。こりゃいかん。誤解を解かねば!主人公はA子ちゃんに近づいた。群衆がどよめき、逃げ出す。A子ちゃんも後ずさる。主人公が言った「誤解だよ!オレは正気だ!」。

嘉村 ……しかし、その言葉もまた信じがたいほどの大音量なんですよね。

三葉 そうですね。したがって、A子ちゃんは呟きました「正気の人は、街中でそんな大声を出したりしないものよ……」。

嘉村 うーむ、正論だ。

三葉 主人公は傷つく。

嘉村 でしょうねぇ。

三葉 さらに……常時大音量ですからね。やがて喉が枯れる。しかし困ったぞ。人体の構造上、発声しながら水を飲むことは可能なのだろうか?

嘉村 いやぁ……無理じゃないですか?

三葉 ええ、私もそう思います。というわけで、声が消えかける。こりゃまずい!

嘉村 ふむふむ。

三葉 とまぁこのように、「案①」もまた、【明快な「ルール」】、【ヘビーで迅速な「罰」】、そして【バラエティ豊かで、高密度の「障害」】という「5つのポイント」を満たすアイデアです。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『スピード』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


続きはこちら!!

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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