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「愛想はないが、愛嬌はある」など、白夜は「バランスのとれたキャラ」である|『未確認で進行形』(6)

 本記事は、アニメ「未確認で進行形」を徹底分析する特集の……第6回である★


第1回からご覧になることをオススメします!


今回のテーマ!


 前回までは、主役・小紅について詳述してきた。


 今回からは……小紅の許嫁・白夜!

 彼の「人となり」や「性格的な特徴」を見ていこう。


※右:白夜。


白夜の「主たる特徴」は3つ


 本記事では、「白夜の特徴」、その中でも特に「白夜というキャラを語る上で絶対に無視できない特徴」をご紹介する。


 結論から申し上げると、彼の特徴は以下の3つに整理できるだろう



 まずは、各要素についてざっくり見ていこう。


【特徴①】無表情・無口/言動がストレート


 白夜は不愛想である。


 具体的には、①無表情で、②無口なので、何を考えているのかわかりづらい

 その上、③いざ口を開いたり腰をあげたりすると、その言動は大変にストレートである

 遠慮したり、恥ずかしがったりすることがない。


 わかりやすいのは小紅への態度で、普段は無表情で無口なので彼女をどう思っているのかさっぱりわからないのだが、そうかと思うと突然ストレートに好意を口にしたり、頭を撫でたりして……周囲を困惑させている(詳細は本記事後半で)。


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 このように、白夜は「コミュニケーションを得意とするタイプのキャラ」ではない。

 しかし、それでは「コミュニケーション・スキルが低いキャラ」なのかというと……そう言ってしまっては語弊があると思うのだ。


 と言うのも、「コミュニケーション・スキルが低い」と言うと、本人が人間関係に悩んでいたり、あるいは周囲が迷惑を被っていたり……何かしらネガティブなイメージがつきまとうものだ。

 ところが、白夜はこれに当てはまらない。


 例えば、こんなエピソードがある。

 白夜と真白が、小紅らと同居し始めたばかりの頃(第2話)。

 部屋で1人、積み木をしている白夜(彼は積み木が趣味なのだ)。

 そこへ真白がやって来て、「せっかく同居を始めたんだから、許嫁の小紅ともっと親しくしたらどうか」とアドバイスするシーンがある。


真白「せっかく一緒に住んでるんです。もっとこう、話とかしてみたらどうですか?」

白夜は何を言っているのか理解できぬという様子で「……えっ、話……?」

真白「……我ながら無茶を言いました」


 ……ご理解いただけただろうか。

 つまり!

 白夜は「もっと人と上手く付き合いたい」なんて思ってはいないのだ。

 そして周囲も、そんな彼を「不愛想だけど、まぁそういう人だもんね」と受け入れているように見える。


 したがって白夜は、不愛想だし、空気が読めないキャラだが、「コミュニケーション・スキルが低い」というのは違うと思うのだ。


※補足:無論、これは彼が「恵まれた環境」にいるから言えることである。人は、環境にとってポジティブにもネガティブにもなり得るのだ。つまり……例えば、いつか白夜がアルバイトをしようと思い立ったとしても、彼にできる仕事はかなり限られているように思う。つまりこの時、彼は「愛すべき不愛想キャラ」から、「生きづらさを抱えたコミュ障キャラ」にスイッチするわけだ。


※右:白夜。彼は、基本的にいつも最後尾を歩いている。


【特徴②】天然ボケ/常識がない


 白夜の2つ目の特徴、それは「天然ボケ/常識がない」ということである。


 いくつか具体的なエピソードを見てみよう。


 まずは……真白に「もっとしゃんとしなさい」と叱られたときのこと(第3話)。

真白「小紅は何気にモテるそうですから、ボーッとしてたら横から持ってかれますよ。えっと、『トンビに何とかをさらわれる』みたいな」

白夜は血相を変えて空を見上げる「トンビ!?」


 ……言うまでもないだろうが、「トンビに油揚げをさらわれる」というのは、ことわざである。

 そして、ことわざとは比喩である。

 つまり、実際にトンビが飛んでいるわけではない。


 それに対して、白夜のこのオヤジギャグレベルのボケっぷり。


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 前掲のエピソードの続きを見てみよう。

 真白から「しっかりしろ」と叱られた白夜は、自分は何をすればいいか熟慮する。

 そして……担任教師や小紅の母に「粗品」を手渡し、「よろしくお願いします」と頭を下げて回るのだった。


 ……小紅との距離を詰めるのではなく、なぜか教師や母に挨拶をする。

 このズレっぷりである。


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 他にも、「トイレの花子さん」を本気で信じている(念のために確認しておくと、白夜は高1である!)、デジカメの操作方法がわからない……などなど、彼の「天然ボケっぷり/非常識っぷり」を伝えるエピソードは少なくない


【特徴③】終始小紅を大切に想っており、それが言動に表れている


 白夜は、第1話から第12話まで一貫して小紅を大切に想っている。


※補足:詳細は別記事でご紹介するが……「『小紅 → 白夜』の想い」の方は物語の進行に合わせて変化していく。それに対して、「『白夜 → 小紅』の想い」は不変だということだ。


 しかも上述の通り、彼は遠慮したり恥ずかしがったりするタイプではない。

 小紅に対する好意をストレートに表現している。


 例えば、第1話早々。

 小紅が食料品の買い物に出かける。

 白夜は、無言でそれに付き添う。

 そして小紅が、雪(氷?)で滑って転びそうになると……白夜が腕を掴んで助けてやる。


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 また別の日(第3話)。

 この日も、小紅の買い物に付き添う白夜。

 彼は、小紅の荷物を持ってやろうとする(で、「過保護な親か!」と小紅にツッコまれる)。


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 あるいは、小紅に「どんな料理が好きか?」と訊かれたときのこと(第1話)。

白夜は一言「小紅の作ったものなら何でもいい」


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 こうした白夜のストレートな言動に対して、小紅が思わず頬を赤く染めるのがお約束となっている。


※小紅。


【整理】3つの要素は、相互に補完し合っている


 以上、白夜の3つの特徴をご紹介してきた。


※再掲


 ここからは、「この3つの要素が、相互に補完し合っていること」をご説明しよう。


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【1】「無表情・無口/言動がストレート」について


 まず、「無表情・無口/言動がストレート」という特徴について考えてみたい。


 これは要するに、「普段は不愛想で、いざ口を開いたらやっぱり愛想がないキャラ」というわけだが……いかがだろうか。

 なんだか非人間的で、面白味がなくて、視聴者から愛されるキャラには思えない。


 ところが、である。

 白夜の場合は、不愛想だが、天然ボケで常識がなく、小紅に対してはいつもストレートで……そう!

 何やら愛嬌があるのだ。


 つまり、「『愛想』はないが、『愛嬌』がある」。

 この結果、視聴者が受け入れ得るキャラになっていると思うのだ。


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【2】「天然ボケ/常識がない」について


 また、「天然ボケ/常識がない」についても同様だ。


 上述の通り、彼のボケっぷり/非常識っぷりはかなり濃い。

 コテコテである。


 もしもコテコテのボケを連発しようものなら、そのしつこさにうんざりしてしまいそうだが……白夜の場合は大丈夫!


 なにしろ彼は、普段は不愛想キャラなのだ。

 「普段は愛想なしの白夜が、時にコテコテのボケを披露する」という、このバランスがいいのだ。

 だからしつこいとは思わず、むしろ「キャラとしてのメリハリがあっていいね!」なんて感じたりする。


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【3】「終始小紅を大切に想っており、それが言動に表れている」について


 「終始小紅を大切に想っており、それが言動に表れている」も、他の2つの要素と同様である。


 「白夜の小紅に対する言動」に注目すると、あまりにストレートで、ベタで、甘々で……「王道的な少女マンガ」が苦手な人にはしんどそうにも感じられるのだが、実際の白夜はそんなキャラではない。


 なぜなら、白夜は基本的に不愛想で、その上天然ボケで常識にも欠けるからだ。

 せっかくの甘い言葉も、普段の不愛想っぷりとのギャップが大きすぎるため、ギャグになってしまうのだ。


 あるいは、タイミングにも問題がある。

 「自分にとっては小紅が一番」なんて2人きりの時に言えばいい雰囲気になりそうな言葉を、家族や友だちの前で平気で口にしてしまう。

 だからロマンチックな展開にはならず、やはりこれもギャグになってしまうのだ。


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 このように、「白夜を構成する3つの要素」は相互補完の関係にある。

 「互いのアクの強さを打ち消し、引き立て合っている」というわけだ。


 

【補足】その他の特徴


 最後に、「ここまでご紹介した3つの要素と比べると印象は薄いものの、白夜というキャラを理解する上で押さえておきたい特徴」をざっくり整理しておこう。




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(担当:三葉)

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