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オレ v.s カリスマPと地下アイドル!!|『ネットワーク』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「ネットワーク」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ネットワーク」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「ネットワーク」は、「狂った組織 = 視聴率至上主義のテレビ局」の中で生きる人びと(加害者になる人、被害者になる人、組織を捨てる人 etc.)の物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「ネットワーク」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上を踏まえて「案①」は……ズバリ!「『ネットワーク』 ~『カリスマPと地下アイドル』編」です。


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嘉村 カリスマPと地下アイドル……?

三葉 ええ。「ネットワーク」と比較すると以下のようになります。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は30代前半の男性。とある大企業の社員です。

嘉村 ふむふむ。

三葉 彼は将来を嘱望される有能な男……だったのですが、一寸先は闇。その優秀さゆえに嫉妬を買ってしまった。

嘉村 ほぉ。

三葉 さらに、彼は一匹狼気質でした。派閥に属することを好まず、それゆえに目の上のたん瘤扱いされていた。かくして……ある日、彼は子会社の子会社の、そのまた子会社たるちっぽけな会社に出向を命じられました。

嘉村 完全に嫌がらせですよね?

三葉 そうですね。

嘉村 ふむ。部長時代の「島耕作」か、はたまた「東京トイボックス」かって感じですね。


三葉 辞令を受け、主人公はショックを受けました。肩書こそ「取締役」ではありますが……出向先は社員3人の零細企業。しかも、芸能プロダクション。これまで石油だのバイオマスだのといったエネルギー分野のプロジェクトに携わってきた主人公には、まったくの未知の領域です。

嘉村 ふむふむ。

三葉 その上……資金繰りが悪化し、唯一まともに稼いでいた中堅タレントを放出したばかりだと言う。

嘉村 ははぁ……。

三葉 出社初日、主人公は頭を抱えた「そっ、そんな!それではこの会社は、今後どうやって食っていくんですか!?」。「あたしは詳しいことは知らないけどね、何でもアイドルビジネスに乗り出すんだって聞いたよ」。そう言って笑ったのは、総務と経理と人事とその他事務全般をまるっと担当しているオバチャンです。

嘉村 あー、零細企業には欠かせぬ、めったやたらにマルチタスクが得意なオバチャンですね。

三葉 主人公が困惑する「アイドルですか……」「うん。『カリスマプロデューサーを引き抜いた』って、社長がガッツポーズしていたね」「へぇ……で、その社長はどちらに?」「今日は来ないんじゃないかなぁ」「えっ!僕の出社初日なのに!?」「歓迎会でも期待していたのかい?」「いや、そうじゃなくて……」「元々体の弱い人でね。『空気のいいところで療養したい』と言って、すぐにどこかへ行ってしまうんだよ」「……」「今回は、『有能な役員とカリスマプロデューサーが来ることになった!これでオレは、心置きなく湯治に出かけられる』って喜んで旅立ったからね。なかなか戻らないんじゃないかい?」「……それ、ただ温泉に入りたいだけじゃないですよね?」「さぁ、どうだろうね。ただ、いつも違う女を同伴しているとは聞くけどね」「……この会社が経営不振に陥った理由がよくわかりましたよ」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公はうんざりします「どうなってんだよ、この会社……」「アイドルって何だよ、アイドルって!」「っていうか『カリスマプロデューサー』って怪しすぎるだろ!」。……しかし、彼はすぐに考えを改める。

嘉村 ほぉ。

三葉 というのも……主人公は、一刻も早く本社に戻りたいのです。いつまでもこんなところで燻っているわけにはいかない。そのためには……そう!アイドルビジネスで成功を収め、このポンコツな会社を成長軌道に乗せるのだ!誰もがギャフンと言うような成果を上げれば、復帰できるに違いない!よーし、かくなる上は……頼むぜ、カリスマプロデューサー!

嘉村 なるほど。

三葉 主人公は、早速カリスマプロデューサー(以下、カリスマP)のもとに向かいました。これから世話になるのです。きちっと挨拶しておかねば。

嘉村 ふむ。

三葉 ところで……多くのアイドルを生み、育ててきたカリスマというのは、一体どんな顔をしているのでしょうか?40代の女性とのことですが、やはりアイドル顔負けの美人なのでしょうか?肌はツルツルなのでしょうか?美魔女というヤツでしょうか?で、実際に対面してみて……驚いた。これがとんでもない醜女だったのです。「二目と見られぬ顔」とはまさにこのことです。主人公は卒倒しそうになる。

嘉村 ははぁ……。

三葉 しかし……考えてみれば、容姿に恵まれなかったからこそ「美」やら、「かわいらしさ」やらに対して人並み外れた興味関心を持ち、「カリスマ」と呼ばれるまでに至ったのでしょう。主人公は妙に納得する。そして思う「このドブスについていけば間違いなさそうだ」。

嘉村 なるほど……まぁ、何となく言いたいことはわかりますね。

三葉 さて……そんなカリスマPが今回手掛けるのは、10人組の女性アイドルです。主人公の目には、あの子もこの子も芋っぽく見えますが、まぁ、最初はこんなものなのでしょう。彼女らは、カリスマPの指導のもとで歌やダンスのレッスンに励みます。トレーニングはかなり激しいものですが……カリスマPに憧れて集まった少女らは苦にならぬ様子。一所懸命に頑張っている。

嘉村 ふむ。

三葉 熱心なカリスマP、そして努力を重ねる少女らを見ている内に、主人公の心にも火が灯ります。やる気が溢れてくる。何とか人気者にしてやりたい。「よーし、オレも頑張るぜ!」。主人公はスポンサーを探したり、宣伝を仕掛けたりして奮闘します。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そして数ヵ月後、少女らは初舞台を踏みました。ごくちっぽけな会場。30人に満たぬ観客。……しかし少女らは懸命に歌い、踊った。ステージ終了後には、嬉しさや安堵、あるいは練習通りに動けなかったことへの悔しさが入り混じった涙を流した。主人公の胸にも熱いものがこみ上げてくる。彼は慌ててトイレに駆け込み、1人で涙を流しました。

嘉村 主人公は、なかなかどうしていいヤツですね。

三葉 とまぁそんな具合に、カリスマP率いる新アイドルは、まずまずのスタートをきったわけですが……問題はここからです。

嘉村 ほぉ……と言うと?

三葉 ええ、カリスマPがどんどん過激になっていくんですよ。例えばファンサービス。一般的なアイドルは、ファンと握手をしたり、チェキを撮ったりするものですが……カリスマPはそんなところにとどまらない。「握手やチェキなんてインパクトが足りないわよね。ハグ……っていうのもどうかなぁ。……うん!キスにしましょう!」「えっ!?」「キスよ、キス」「魚の……」「殺すわよ?」「……」「じゃんけん大会を開いて、最後まで勝ち残ったお客さんが、好きな子とキスできる。これは盛り上がるわよ!」。

嘉村 えー……。

三葉 また、少女らのコスチュームも、グングン猥褻な方に向かっていきます。ビキニ、そしてスクール水着。あるいは下着やブルマ。

嘉村 ……そういうお店みたいですね。

三葉 無論、物販も激しさを増します。Tシャツやうちわに加えて、使用済みの服や唾液……まぁ、ブルセラショップのような品ぞろえですね。


嘉村 「ブルセラ」って久しぶりに聞きました。

三葉 さらに、歌詞も放送禁止用語まみれになる。

嘉村 ふーむ……。

三葉 カリスマPは、さすがにカリスマでした。彼女の狙いは当たった。少女らは加速度的に知名度を高めていきました。しかし……カリスマPが「次はSMね。メンバーがお客さんの顔を踏んづけるサービスはどうかしら。……んー、逆の方がいい?」と言い出した時、主人公は初めて反論しました「さすがにそれはちょっと……」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 しかし、カリスマPは引きません。彼女曰く……AKB48が誕生したのは2005年。そして、2010年代は「アイドル戦国時代」だった。多くのアイドルが生まれ、そして消えていった。しかし最早「戦国時代」すら通り過ぎてしまった。いまや「飽和の時代」である。右もアイドル、左もアイドル。誰もがアイドルに飽き飽きしている。そんな時代をサバイブしようと思えば……カリスマPは言います「リスクなくしてサクセスなしよ!」「いや、しかし……」「『しかし』じゃない!たとえそれがちょっぴり危険な道だとしても……前人未到の道を歩まずしてヒットしようだなんて、あんた甘いんじゃない?」「……」。

嘉村 なるほど……。

三葉 カリスマPの言葉は重い。説得力がある。さすがはカリスマである。……が、しかし。しかし……しかし……「年端もいかぬ少女らに、性的なことをさせるわけには……」。カリスマPが鼻で笑う「フン。だから困るのよね、童貞は」「童貞じゃありません!」。本当は童貞でした。「と言うか、僕が童貞かどうかなんて関係ないでしょ!僕が言いたいのは……つまり、少女らの健全な育成という点から考えると……」「あなた、何言ってんの?あの子たちは、みんな売れたいと願っているわ。売れるためなら何だってする覚悟がある。あなたよりも余程腹が座っているのよ」。カリスマPの言うことは本当です。少女らは、カリスマPのやり方に一切不満を抱いていません。少女らはカリスマPに心酔しており、やれと言えば何だってやるでしょう。「子どもが『やりたい』と言っているの。それを引っ張り上げてやるのが大人の役目じゃなくて?」「しかし……」「ハァ。もういいわ」。

嘉村 カリスマP、強いですね……。

三葉 翌日、本社から主人公に辞令が下りました。「本社に戻れ」とのことです。カリスマPが手を回したのでしょう。主人公はほぞを噛む「チクショウ!やりやがったな!」。怒鳴り込んでやろうかと思う。……しかしその時、1本の電話が入りました。相手は主人公の同期社員。「復帰が決まったってな!」。聞けば……主人公が復帰できるように、主人公の同期社員や後輩らがあちこちに働きかけてくれたというのです。同期社員が笑う「戻ってきたら奢れよな。とにかくおめでとう!」。……主人公は冷静さを取り戻しました。そうか、「おめでとう」か。考えれてみれば、本社に復帰することこそが主人公の目標だったのです。カリスマだのアイドルだの……まぁ、どうでもいいことなのです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 かくして、主人公は本社に復帰しました。エリート社員に囲まれ、海外企業と折衝を重ねる。忙しい日々が戻ってきた。アイドルのことなんて当然すっかり忘れ……られるはずもなく、1か月後の休日、彼はこっそりライブ会場に足を運びました。

嘉村 ふむ。

三葉 すると……嗚呼、何ということか!10代の少女らが性犯罪者のごとく歌い、露出狂のごとく踊っているではないか!主人公は目を疑う「えっ……えっ!?何これ。こんなのダメでしょ!」。元々「ちょっとやりすぎではないか」と疑問を抱いていたものの、ここまで酷いとは思わなかった!

嘉村 ほぉ……。

三葉 つまり、主人公は本社に復帰し、カリスマPらと離れたことで正気を取り戻していたのです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公の傍にカリスマPがやってきて、微笑みました「お久しぶりね。どう、この子たち。素晴らしいでしょ?」。しかし主人公はニコリともせずに「あんたらは、みんな狂っていますよ。売れるためなら何でもする……さすがはカリスマですね。人間として軽蔑します」。主人公が立ち去る。

嘉村 ふむ。

三葉 そしてラストシーンですが……ある日、カリスマPのもとに、親しくしている記者から連絡が入りました。「サツが動くって噂になっているぜ」「えっ!?」「さすがに過激すぎたのかもしれんな」「そんな……」「十分気をつけるこった。まぁ、もう遅いかもしれんがね」。

嘉村 なるほど。

三葉 これには、さすがのカリスマPも動揺します。逮捕だなんてことになれば、すべてが終わる。一体どうすれば……しばらく悩み、彼女は閃いた。

嘉村 ほぉ。

三葉 間もなく……カリスマPは警察上層部や、警察に睨みの利く国会議員に対して、少女らを派遣するようになりました。いわゆる「枕営業」や「肉体接待」の一種です。少女らは、売れるためなら喜んで売春に向かう。一方、少女らを抱いた者は彼女らをかばい、応援する。物語は、カリスマPが「売れるためなら何でもするわ。だって、リスクを取らずに売れようだなんて、それは甘すぎるもの」と言って笑うところで幕を閉じます。

嘉村 なるほど。……つまり、カリスマPが「狂った組織」を象徴する「組織人」ですよね。

三葉 そうですね。そして、少女らは「組織の犠牲者」。一方主人公は、「組織に入る → 組織人になる → 組織に捨てられる → 組織を離れ、正気を取り戻す → 組織を捨てる」と変化していきます。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上、「『ネットワーク』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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(担当:三葉)

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