見出し画像

旅の相棒は「犬」だっていいのだ!!|『サイドウェイ』(3)

画像1


テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「サイドウェイ」をベースに新しい物語を妄想します。

※「サイドウェイ」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「サイドウェイ」は、離婚後、いつまでも前妻に未練を抱いていたオッサンが友人との旅を経て、ようやく現実を受け入れ、未来に向かって歩き始める物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『サイドウェイ』 ~『オバサン』編」でした。


案②


三葉 まずは、「サイドウェイ」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


画像2


三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて上述の通り、「サイドウェイ」は「落ち込んでいた主人公が、友人との旅を経て、未来に向かって歩き始める物語」ですが……。

嘉村 ええ。

三葉 ここでは、「友人」に注目してみましょう。

嘉村 ほぉ。

三葉 作中、「友人」は何をしたのか?換言するなら、「友人キャラの役割・機能」ですね。これ、ざっくり2つに整理することができると思うのです。すなわち……


画像4


三葉 ご注目いただきたいのは、上図の「Point」です。つまり、「がっくり落ち込んでいる主人公に、素敵な女性と親しくなる機会を提供する」、そして「主人公とその女性の関係をダメにする」、これが友人キャラの役割ですね。

嘉村 なるほど。

三葉 また、「主人公が女性と親しくなる機会を半ば強引に作り出し、しかし後にダメにしてしまうキャラ」ということで……必然的に友人は、「基本的にはいいヤツ」「お節介」「女性にアプローチするのが得意」「軽率でバカ」なんて性格になるでしょう。

嘉村 ふむふむ。

三葉 もしも友人が、主人公同様、根暗でコミュ障気味だったら……。

嘉村 きっと、2人は陰気な感じに旅をして、たとえ素敵な女性と出会っても声をかけることはできず、どんよりした感じで元の生活に戻ることになるでしょうねぇ。

三葉 そうそう。

嘉村 ふむ。

三葉 ただね。

嘉村 ええ。

三葉 逆に言えば、上述の役割、つまり「がっくり落ち込んでいる主人公が、素敵な女性と親しくなる機会を提供する」と、「主人公とその女性の関係をダメにする」の2つを満たすことさえできれば、ジャック(「サイドウェイ」の友人キャラ)とはてんで異なるキャラでも問題ないわけですよ。

嘉村 なるほど。

三葉 例えば……そう、それが「犬」でも問題ない!


画像4


嘉村 犬!

三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は、人生に疲れ果てた中年男性です。「サイドウェイ」同様、離婚して以来ガックリ落ち込んでいる。そんな彼が、ある日1人旅に出ることにした。「温泉にでも入って元気を出そう」というわけです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 ところが……出発前日、会社の上司が言った「よぉ、○○くん。頼みがある。明日から1週間、オレは家族旅行だ。その間、うちの犬を預かってもらいたいんだ」「いや、あの……」「難しいかい?」。隣席の嫌味な同僚が口を挟んだ「まさか断ることはないでしょう。コイツ、いつも課長にご迷惑をおかけしているんだ。たまにはお役に立たなきゃ」。上司がうなずいた「じゃ、頼んだよ」。

嘉村 うーむ……。

三葉 元々気が弱い上に、ガックリ落ち込んでいますからね。反論する気力もない。……致し方がない。こうして主人公は、車に上司の犬を乗せ、温泉地へ向かうことになったのでした。

嘉村 ふむ。

三葉 ところで、主人公はそもそも犬が好きではありません。その上、憎き上司の犬です。なんならぶん殴ってやりたい。ところが……その犬というのは、アメリカン・ピット・ブル・テリアだった!


嘉村 アメリカン・ピット・ブル・テリアというと……あれですよね。イギリスの闘犬。

三葉 そうですね。大変凶暴なことで知られ、一部の国では飼育が禁じられているほどです。

嘉村 ふむ。

三葉 1人で心を癒すはずが、気がつけば、憎く、そして恐ろしい犬との2人旅!……このシチュエーションだけで、なかなかどうして面白くなると思うのですが、まぁそれはさておいて。

嘉村 ええ。

三葉 この犬が、主人公と素敵な女性(以下、Aさん)との間を橋渡しするわけですよ。犬が、Aさんの飼い犬と仲よくなるとか。あるいは……Aさんがしつこくナンパされ、困り果てていた。そこへ犬が駆けつける!そして、ナンパ野郎を撃退するとか。

嘉村 ふむふむ。

三葉 かくして、主人公とAさんは親しくなる。ところがしばらくして、今度はこの犬が2人の関係をぶち壊してしまいます。例えば、犬がAさんの飼い犬をボコボコにしてしまうとか。

嘉村 ふーむ。「ドラえもん」に「恋するジャイアン」(単行本44巻)というエピソードがありますが、あれにちょっと似ていますね。


三葉 とまぁそんなわけで、Aさんは呆れ、あるいは激昂し去ってしまう。その後の展開は、「サイドウェイ」同様です。主人公はアレコレあってとことん絶望し、最終的にAさんとやり直すために自ら立ち上がる。……で、物語は幕を閉じます。

嘉村 ふむ。

三葉 ここまでご説明してきた通り……「『サイドウェイ』風物語に登場する『友人キャラ』」は、必ずしも「友人」である必要がない。犬でも構いません。あるいは、「主人公の口やかましいお母さん」でもいいのです。

嘉村 ほぉ!いい年したオッサンと、そのお母さんの旅……なるほど。

三葉 すなわち、お母さんがきっかけで素敵な女性と出会う。しかしやがて、お母さんが2人の関係をぶち壊してしまう。それが主人公の「成長」につながる。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『サイドウェイ』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


---🌞---

 「サイドウェイ」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

---🌞---

関連

---🌞---

最新情報はTwitterで!

---🌞---

 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したサポートはすべてコンテンツ制作に使います!