主人公はダメ男・ダメ女の方がいい!!|『マトリックス』(2)
テーマ発表!!
前回に引き続き、映画「マトリックス」をベースに新しい物語を妄想します。
※「マトリックス」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 それではまいりましょう!
三葉 はい。
嘉村 「マトリックス」は、「きみこそ救世主だ!」と勧誘されて正義のチームに加入した主人公が、自分は救世主なのか、はたまたそうではないのか戸惑いつつも、やがて真の覚醒に至る物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?
案①
三葉 まずは、「マトリックス」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。
三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さてここからは、「『マトリックス』をリスペクトした物語」をアレコレ考えていくわけですが……。
嘉村 ええ。
三葉 ご覧の通り、「マトリックス」は、主人公の【戸惑い】から始まる物語です。
嘉村 「戸惑い」……。
三葉 すなわち、「なんか変なオッサンから『きみこそが救世主だ!』って言われたんだけど……」という【戸惑い】。おまけに、「オッサン曰く『この世界は幻想に過ぎない』って……マジで!?」という【戸惑い】。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ちなみに、「主人公が『きみこそ○○(救世主、英雄、ヒーロー etc.)だ!』と声をかけられ、戸惑いつつも新しい世界に足を踏み入れるところから始まる物語」は世の中にたくさんあって、例えば……「あしたのジョー」。
三葉 丹下段平がジョーに声をかけ、しつこくつきまとい、その結果ジョーはボクシングの世界に足を踏み入れることになります。
嘉村 ええ。
三葉 さて話を「マトリックス」に戻して……【戸惑い】ながらも新しい世界に足を踏み入れた主人公。彼は、次第に【自信】を抱くようになります。
嘉村 ほぉ。
三葉 というのも、「お前こそが救世主だ!」と繰り返し期待をかけられれば……しかも、そのオッサンがただ者ではない。正義のチームのリーダーだというのですから、そりゃ誰だって「えっ、マジかぁ」という気になってきますよね。
嘉村 まぁ、確かに。
三葉 さらに、戦闘訓練で好成績を叩き出し、一同仰天!かくして主人公は、「……オレ、救世主かも!」という気がしてくる。
嘉村 ふむふむ。
三葉 とまぁ絶好調の主人公ですが、このまま一直線に成長し、「世界を救いました。めでたしめでたし」では面白くありません。どんな物語にも、起伏が必要ですからね。一度は凹んでもらいたい。
嘉村 ふむ。
三葉 ということで、主人公が「オレ、救世主じゃないかも」と戸惑う展開、それは同時に、鑑賞者が「あれ、この主人公は救世主じゃなかったの?」と戸惑う展開でもあるのですが……物語は、そういった展開を迎えます。
嘉村 「マトリックス」で言えば、預言者(救世主を判別し得る者)が主人公に対して、「あなたは救世主ではない」と告げるシーンですね。
三葉 ええ、その通りです。主人公は困惑します。「えっ……ええっ!?マジで?」という感じでしょう。「オッサンを筆頭に、正義のチームの面々はオレを救世主だと信じ、喜んでいるんだけど……。メッチャ気まずいじゃん!メッチャ申し訳ないじゃん!」。
嘉村 まぁ、確かにいたたまれないでしょうねぇ……。
三葉 さらに、ですよ。さらに悪いことは重なるもので、正義のチーム内で裏切りが発生。主人公をこの世界に招いたオッサン、すなわち正義のチームのリーダーが敵にさらわれてしまいます。
嘉村 ふむふむ。
三葉 主人公は【戸惑い】→【自信】と来ていたわけですが、ここで一気に【絶望】に陥ります。……どうやら、主人公は救世主ではないようだ。その上、彼をこの世界に招いた者、言わば「父」とでも呼ぶべき者がさらわれてしまった。
嘉村 なるほど、【絶望】だ。
三葉 はて、主人公は一体どうすればいいのか……ってどうするもこうするもない!主人公は腹をくくります。オッサンがさらわれたのだ。助けに行くしかねぇ!
嘉村 ふむ。
三葉 非常にカッコいいシーンですが……これは、かなり無謀なことですよ。どうやら救世主ではないらしい主人公が、敵の本拠地に殴り込みをかけるわけですからね。
嘉村 ええ。
三葉 しかし……さぁ、ここからがクライマックスです!主人公は無謀な戦いに身を晒す中で、ふと思う「あれ。なんかオレ、メッチャ強くね?」。そう、彼は強かった!「圧勝」とは言えぬまでも、強敵を前に互角以上に渡り合う。そして、無事オッサンを救出した。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ここで再び……そう!【自信】が芽生えます。いや、今度は【確信】と言ってもいいでしょう。その後ひょんなことから主人公は覚醒に至り、敵に圧勝するわけですが、それはさておいて。
嘉村 ふむ。
三葉 以上をまとめると、要するに「マトリックス」の主人公は、「【戸惑い】→(新世界へ)→【自信】→【絶望】→(強制的に敵との戦いに突入)→【確信】」という経路をたどり、成長していくわけです。
嘉村 なるほど。
三葉 右も左もわからず戸惑っていた男が、やがて自ら(の力)を信じられるようになる物語、ズバリ「成長譚」です。
嘉村 ええ。
三葉 そして……「成長譚」というからには、「成長前」と「成長後」のギャップが重要です。一般的には、ギャップは小さいよりも大きい方がいい。その方が、ドラマチックになりやすいですからね。
嘉村 ふむ。
三葉 ということで随分と前置きが長くなりましたが……「案①」は「『マトリックス』 ~『ダメ男・ダメ女の成長譚』編」です。
三葉 すなわち、「マトリックス」風の物語においては、「新世界」に誘われる前の主人公はダメ男・ダメ女であるべきだと思うんですよ。
嘉村 ほぉ。
三葉 例えば、ブスで、デブで、ニートで、いい年して親の脛をかじり、趣味はネットで有名人を叩くことで……みたいなどうしようもないヤツ。
嘉村 あー……。
三葉 まぁそこまで露骨ではないにしても、「自分に自信が持てず、いつも引っ込み思案の少女」とか、「頭パッパラパーの不良」とか。そんな彼らが、何者からか勧誘を受け、戸惑いつつも新世界に入り、やがて自分を信じられるようになる物語……これですよ!
嘉村 なるほど。
三葉 以上、「『マトリックス』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!
続きはこちら!!
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(担当:三葉)
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