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きみは本当に幽霊を見たのか!?|『ユージュアル・サスペクツ』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「ユージュアル・サスペクツ」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ユージュアル・サスペクツ」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「ユージュアル・サスペクツ」は、とある事件の容疑者が様々証言するが、終盤になって「彼の証言はすべて嘘かもしれない」という可能性が浮上し、結局何が真実なのかさっぱりわからぬまま幕を閉じる物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「ユージュアル・サスペクツ」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて上述の通り、「ユージュアル・サスペクツ」は3つの「物語」から構成される作品です。また、本作の語り手・キントは「2段階で『信頼できない語り手』」と言えるでしょう。

嘉村 ふむ。

三葉 では以上を踏まえて……「案①」!ズバリ「『ユージュアル・サスペクツ』 ~『幽霊を見た女の話』編」です。


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嘉村 ほぉ!

三葉 舞台は深夜、田舎の交番です。初老の警官(以下、A氏)が退屈そうに雑誌をめくる。彼の足元では、古ぼけた扇風機が弱々しく回っています。

嘉村 ふむふむ。

三葉 ガラリ。ふいにドアが開いた。20歳頃と思しき若い女性が立っている。A氏が声をかけた「こんな時間にどうなさった?」。女性は口を開くが、言葉が出てこない。顔が青ざめている。A氏は女性を椅子に座らせ、冷たいお茶を出してやった「まぁ、落ち着きなさい。ゆっくり話すといい」。女性がお茶を飲む。一口、二口、三口。ようやく落ち着きを取り戻した様子。かくして、女性が話し始めました。……これが物語の冒頭です。

嘉村 なるほど。

三葉 「ユージュアル・サスペクツ」同様、このあとしばらく女性(以下、B子)の話が続くわけですが……要するに彼女は「幽霊を目撃した」と言うんですよ。

嘉村 幽霊!

三葉 加えて、彼女の半生も語られます。すなわち……B子さんは、大変裕福な家に生まれました。幼い頃から、何1つ不自由したことがなかった。彼女はじつに幸福でした。ところが思春期になり、彼女は初めて知ったのです……父が悪徳金融業者だと。

嘉村 ほぉ。

三葉 相当あくどいことをしてきたようです。B子さんはショックを受けました。多くの人を泣かせ、地獄に叩き落とすことで稼いだ金が、いま私の血となり肉となっている!

嘉村 ふーむ。

三葉 さらに……ある時、彼女のクラスメイトが一家心中しました。原因は借金苦。そう、B子さんの父の会社が激しい取り立てを行い、自死に至ったのです。

嘉村 ははぁ……。

三葉 B子さんは、いよいよ衝撃を受けました。私は汚れている!私はみなから恨まれている!彼女はそれから、罪悪感に押し潰されそうになりながら生きてきたのでした。……とまぁ、そんな話がBさんの口から語られた。以上が「物語①」です。

嘉村 なるほど。

三葉 続いて、「物語②」が始まります。

嘉村 「物語②」というと……「ユージュアル・サスペクツ」でいうところの「クイヤン捜査官の推理パート」ですね。

三葉 ええ、その通りです。「案①」では、「物語①」を踏まえてA氏が推理を披露します。すなわち……「幽霊なぞ実在しないさ。きみは、何かを幽霊と見間違えたのだろう。罪悪感や『みなから恨まれている』という恐怖心が幻想を見せたに違いない」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 要するに「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ってヤツですね。

嘉村 ええ。

三葉 そしてA氏は、「そうだ。旨い菓子があるんだ。あれをご馳走しよう」と言って一旦奥に引っ込む。そして間もなく戻ると……B子さんの姿が消えていました。

嘉村 ほぉ。

三葉 A氏は微笑んだ「ははぁ。さては落ち着きを取り戻したんだな。『幽霊を見た』だなんて恥ずかしくなって、慌てて逃げ出したに違いない。まぁ、よかったよかった」。

嘉村 なるほど。

三葉 さて、以上が「物語②」です。そして最後に「物語③:どんでん返しパート」が始まります。

嘉村 つまり、「物語①」と「物語②」を丸ごと否定するような出来事が起こるわけですね。

三葉 ええ、おっしゃる通りです。例えば……B子さんがいなくなった後、A氏はふと気になり、B子さんの話に登場したアレコレ、「実家(悪徳金融業者)」や「自殺した友人」について調べてみた。すると、○○という金融業者は確かに存在したものの……とっくの昔に倒産していた!また、□□という家族の一家心中は記録に残っているが……これまた20年以上昔の事件だ。どう考えても、B子さんの年齢と合致しない!

嘉村 ふむふむ。

三葉 あるいは……県警から連絡が入った。B子さんが「幽霊を目撃した」と証言した場所で、遺体が発見されたという。まさかB子さんが自殺したのか!?A氏は焦る。しかしそうではない。県警曰く「遺体は白骨化している。死後10年以上経過している模様」。

嘉村 なるほど。

三葉 というように、「B子さんの話はすべて嘘だったのか!?」「もしかすると、B子さん自身が幽霊だったのでは!?」といった謎を残しつつ、物語は幕を閉じます。

嘉村 ふむ。

三葉 それではこれを、「ユージュアル・サスペクツ」と比較してみましょう。


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三葉 ご注目いただきたいのは、上表の「第1段階」と「第2段階」。キント(「ユージュアル・サスペクツ」の語り手)同様、B子(「案①」の語り手)が「2段階で『信頼できない語り手』」だとおわかりいただけるかと思います。

嘉村 確かに。

三葉 以上、「『ユージュアル・サスペクツ』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


続きはこちら!!

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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