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人生を変えろ(美人局で)!!|『そして、ひと粒のひかり』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「そして、ひと粒のひかり」をベースに新しい物語を妄想します。

※「そして、ひと粒のひかり」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「そして、ひと粒のひかり」は、何の希望もない毎日にうんざりした少女が、人生を変えるために麻薬の運び屋になる作品ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「そして、ひと粒のひかり」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて以上を踏まえて「案①」ですが……ズバリ!「女性フリーター(20歳)が何の希望もないクソみたいな人生を変えるために、美人局に挑戦する物語」です。


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嘉村 ほぉ!

三葉 「そして、ひと粒のひかり」の舞台はコロンビアとアメリカですが……「では、舞台を現代日本に移したらどうなるだろう?」と考えてみたんですよ。

嘉村 ふむふむ。

三葉 上述の通り、「そして、ひと粒のひかり」の主人公は、人生を変えるために「麻薬の運び屋」になります。

嘉村 ええ。

三葉 ただしこれ、「世界的なコカイン供給国・コロンビア」と、そのすぐ傍にある「非常に裕福な国・アメリカ」を舞台にした物語だから違和感がないのであって……日本を舞台にした物語で「少女が麻薬の運び屋になる」というのは、ちょっと現実味が乏しいと思いませんか?

嘉村 ふーむ、確かに。

三葉 無論現実味のない滑稽な物語も悪くはないのですが、今回は「そして、ひと粒のひかり」をリスペクトした「リアル路線の物語」にしたい。

嘉村 ふむ。

三葉 そうなると、「では、日本の少女が人生を変えるために犯罪に手を染めるとして、一体どんな犯罪ならリアリティがあるだろうか?」と考える必要があります。

嘉村 なるほど。

三葉 で、考えました!すなわち……「美人局」だと思うんですよね!


嘉村 美人局!

三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……主人公は、日本の地方都市に住む20歳の女性。彼女はフリーターで、面白みのないバイト、口うるさい家族、大して好きでもない彼氏……すべてにうんざりしている。

嘉村 ほぉ。

三葉 ある日、彼女は高校時代の友人(以下、「友人A」)と偶然再会します。友人Aは、毎日に飽き飽きしている主人公を見て、「あのさ、もし人生を変えられるって言ったら興味ある?」と切り出す。

嘉村 ふむふむ。

三葉 友人Aによると……彼女は、10人ほどの男女でチームを組んでいる。「仕事」は簡単だ。出会い系サイトでターゲットを探し、援助交際の約束を取り付けて、そして本番。女性メンバーがターゲットと落ち合い、ホテルへ向かう。そしてタイミングを見計らって男性メンバーが部屋に突入し、「オレの女に何してくれてんだ!」とターゲットを脅す。最後に金品を奪って一仕事完了!

嘉村 なるほど。

三葉 友人Aは言う「簡単でしょ?」。確かに話を聞く限り、そう難しいことには思えない……けれども。主人公は躊躇する「……だって犯罪でしょ?」。しかし友人Aは一笑に付す「いやいやいや!買春しようっていうエロオヤジだよ?天誅っしょ!月に代わっておしおきよってね!」。

嘉村 ふーむ。

三葉 友人Aはさらに続けて、「『仕事』は東京でするんだ。月1回くらいかな。金曜日の夜に集まって、みんなで夜行バスで移動すんの。で、土日に『仕事』しまくって、月曜の朝にはこっちに戻ってくるってわけ。お金はみんなで山分け。2泊3日の『仕事』で1人50万くらいにはなるよ。悪くないっしょ!」。

嘉村 ほぉ……。

三葉 主人公は、次第に乗り気になってくる。確かに危険は少なそうだし……友人Aは羽振りがよくて、しかも毎日が楽しそうだ!たった数年前まで同じ教室にいたはずなのに、いまではこの違い。……私だって人生を変えてやる!

嘉村 なるほど。

三葉 かくして彼女は美人局グループの一員となり、他のメンバーと顔を会わせたり、友人Aのアドバイスを受けながら出会い系サイトでターゲットを探したり、いざという時の心構えを教わったりして……。

嘉村 ふむ。

三葉 いよいよ本番!主人公は緊張でガチガチになりながらも、どうにかこうにか「仕事」をこなしていく。

嘉村 ふむふむ。

三葉 ところが、間もなく大きな問題が起こる!仲間の1人が、ふいに行方不明になったのです。

嘉村 ほぉ!

三葉 主人公らは不安に駆られる。何かトラブルに巻き込まれたのではないか?以前金を巻き上げた連中に捕まったりしていないだろうか?……いずれにせよ、このまま仕事を続ける気にはなれない。「今夜はこれでおしまいにしよう」「一刻も早く繁華街から離れた方がいいだろう」「9人でぞろぞろ移動したら目立ちすぎる。ここで解散だ」……彼らはバラバラになる。

嘉村 ふむ。

三葉 行く当てのない主人公は、しばらく思案してから、高校時代の友人(以下、「友人B」)が東京で1人暮らししていることを思い出す。

嘉村 ほぉ。

三葉 友人Bは突然のことに驚きつつも、主人公を快く受け入れてくれる。そして……主人公は、貧しくも希望に満ちた毎日を送る友人Bを見ている内に、「私もこんな風に生きていきたい」と思う。「友人Aのような派手な暮らしではなくて……私は友人Bのように生きたい」と。

嘉村 なるほど。

三葉 数日後、彼女はグループを抜ける。そしてそのまま地元を離れ、東京で1人暮らしを始めたのでした……で、おしまいです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて、以上のストーリーを「そして、ひと粒のひかり」と比較する形で整理してみましょう。


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三葉 ご覧の通り、ストーリー構造は「そして、ひと粒のひかり」と同じです。ただし、舞台(「コロンビア、アメリカ」→「日本の地方都市、東京)が違う。そしてそれに伴って、「冒険」の内容(「麻薬の運び屋」→「美人局」)も異なる。……まさに「案①」は、「日本版『そして、ひと粒のひかり』」と言えるでしょう。


案②


嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉 はい。「案②」は、「男性フリーター(35歳)が何の希望もないクソみたいな人生を変えるために、墓荒らしに挑戦する物語」です。


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嘉村 墓荒らし!罰当たり!

三葉 早速ですが、「そして、ひと粒のひかり」と比較してみましょう。


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三葉 さて「案①」をご説明する中で……「『麻薬の運び屋』で人生一発逆転」というのは、世界的な麻薬供給国・コロンビアを舞台にした作品だから成り立つ設定で、舞台が日本ではリアリティが薄すぎる。「麻薬の運び屋」の代わりに「美人局」なんていいのではないか、と申し上げました。

嘉村 ふむ。

三葉 「美人局」は、なかなかどうして悪くないアイデアだと自負していますが……あらゆる主人公に使える設定ではありません。例えば、「男性フリーター。35歳。童顔。小太り。気弱。体力なし。筋力なし」なんてキャラが主人公の場合、さすがに「美人局」は厳しいでしょう。

嘉村 うーむ……確かに。

三葉 ということで、「美人局」とはまた別の「日本における、リアリティのある『人生一発逆転』的犯罪」を考えてみました!

嘉村 ほぉ!

三葉 ズバリ……「墓荒らし」!

嘉村 ……。

三葉 墓荒らし!

嘉村 ……。

三葉 墓を掘り起こし、お骨(こつ)とともに埋葬されている故人の愛用品(指輪、時計、メガネなど)を盗むという犯罪です。

嘉村 いや、それは知ってますけど……「麻薬の運び屋」や「美人局」と比べるとグッと地味というか、陰気というか。

三葉 地味で陰気な主人公にピッタリでしょ!

嘉村 まぁ、確かに……。

三葉 基本的なストーリー構造は、「そして、ひと粒のひかり」や「案①」と同じです。まず、主人公が知人から墓荒らしに誘われる。

嘉村 ふむ。

三葉 「墓荒らし!?」と驚く主人公。

嘉村 そりゃ驚くでしょうねぇ……。

三葉 知人は「夜の墓地には人がいない。セキュリティも甘い」とメリットを説きます。「そして高齢者ばかりの世の中だ。今後もバタバタ死人は増えていく。将来性のあるビジネスだぜ!」。

嘉村 将来性って……。

三葉 躊躇する主人公に、知人は畳みかけます「考えてみろよ。墓に埋葬されたものは二度と表に出てこないんだぜ。それってもったいないだろ?限りある資源は有効活用すべきだ!墓荒らしってのは、エコフレンドリーな仕事なんだぜ!」。

嘉村 物は言いようですね……。

三葉 「戦利品は、知り合いに売るんだ」と知人。「知り合い?」「ああ。表には出せないモノを買い取ってくれるプロさ」「故買屋ってヤツか」「そうそう」「えっと、それはヤクザとか……」「違う違う。やってることはアレだけど、普通のビジネスマンっぽい人だよ」「……ふーん」。

嘉村 なるほど。

三葉 かくして主人公は、知人と組んで墓荒らしを始めます。そして、いくつかのピンチに直面するもそれを首尾よく乗り越え、大金を手に入れます。

嘉村 ふむふむ。

三葉 しかし主人公は、知人のような羽振りのいい生活をする気にはなれなかった。彼は「仕事」をする中で成長したのです。最終的に主人公は故買屋に弟子入りし、新たな人生を歩み始めたのでした……で、おしまい!

嘉村 なるほど。確かに「麻薬の運び屋」と比べれば、日本が舞台でも違和感のないストーリーかも……。

三葉 以上、「日本を舞台にした『そして、ひと粒のひかり』風物語」のアイデアをご紹介しました!



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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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