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【話のたね】在宅勤務は“イクメン化”を促進 生産性は低下せず

子どもを持つ男性の在宅勤務が増えると“イクメン化”を促進―

 東京大学大学院経済学研究科の井上ちひろ氏(博士課程学生)、デューク大学経済学部の石幡祐輔氏(博士課程学生)、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授の研究チームはこのほどこんな研究結果をまとめた。研究では計量経済学の手法である「一階差分モデル」と「操作変数法」を組み合わせることで、在宅勤務が男性の家事・育児参加に与えた因果効果を推定した。データは、内閣府が実施した「第2回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」から得られた個票を活用した。

 子どもを持つ男性の在宅勤務が週1日増えると、男性の「家事・育児にかける時間」が6.2%、「家族と過ごす時間」が5.6%それぞれ増加する。また、「仕事よりも生活を重視するように意識が変化した」と回答する割合が11.6%上昇したという。これらの結果は、在宅勤務が行動・意識の両面で男性の家族志向を高めることを示している。一方、仕事に関する質問項目についても同様の分析を行ったが、生産性に対し在宅勤務が悪影響を及ぼすという結果はなかった。在宅勤務ができる業務の割合が多い男性は、在宅勤務が仕事の生産性を低下させることなく、家族志向を高めることを示したという。

 日本を含む多くの先進国が抱える問題の一つに“少子化”がある。その要因として、家事労働・育児負担が女性に集中していることがあげられている。在宅勤務の推進は家庭内労働の男女平等を促し、ひいては出生率の向上につながることが期待される。研究チームは「男性の家事・育児参加の促進は出生率向上・少子化解消につながる重要な社会的課題で、今回の研究結果はコロナ禍終息後のあるべき働き方について示唆を与えるものだ」と指摘している。


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