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【スコープ】ラムネ菓子を食べると注意力がアップ?

ラムネ菓子を食べると注意力が向上する―

菓子メーカー大手の森永製菓はこのほど東京大学大学院 薬学系研究科 薬品作用学教室の池谷 裕二教授との共同研究で、こんな研究成果をまとめました。ラムネ菓子の主成分である「ぶどう糖」を経口摂取するとヒトの周囲に注意をそらされることなく、課題に集中する能力である「実行的注意力」の向上に寄与することが示されたとしています。

東京大学大学院 薬学系研究科 薬品作用学教室の池谷 裕二教授


3つの課題で評価


ヒトの脳はぶどう糖を主なエネルギー源としています。ヒトの脳はぶどう糖を主なエネルギーげんとしています。その代謝産物であるアデノシン三リン酸(ATP)を利用して、「言語記憶」や「長期エピソード記憶」、「注意力の維持」といったさまざまな機能を果たしています。このため、ぶどう糖の摂取は脳機能の維持に重要な役割を果たしているとされています。

森永製菓のラムネ菓子「大粒ラムネ」

今回の研究は成人男女99人を対象に、実行的注意力を評価するため、神経心理学的検査である「ストループテスト(SCWT)」を用いました。3つの課題から構成されるSCWTでは、まず被験者が赤、緑、青、黄色の図形を提示され、その色をできるだけ早く回答する課題「カラーパッチ課題」をおこなってもらいました。次に色を表す単語が黒のフォントで表示され、単語の意味をできるだけ早く回答する課題「ワード課題」に取り組んでもらいました。そして、最後は色を表す単語がその色と異なるフォントで表示され、被験者は単語ではなくフォントの色をできるだけ早く回答する課題「カラー・ワード課題」に挑んでもらいました。単語の意味とそれを表すフォントが互いに干渉する状況において、正しく回答するためには実行的注意力が必要で、この3つの課題により、実行的注意力を評価したとしています。

SCWTを受ける被験者を、ぶどう糖摂取群とコントロール群に分け、ぶどう糖摂取群ではSCWT実施の15分前にぶどう糖を主成分とするラムネ29グラムを摂取しました。一方で、コントロール群はぶどう糖摂取をしないで試験を行いました。

有意な差は…


SCWTの成績を評価する指標として、時間干渉指数やエラー率、正解総数を用いた結果、ぶどう糖摂取群はコントロール群に比べ、時間干渉指数やカラーパッチ課題のエラー率が有意に小さいことが分かりました。一方、ワード課題とカラー・ワード課題のエラー率、3つの課題の正解総数には有意な差が認められなかったといいます。

森永製菓は仕事や勉強時の集中したい場面で注目されている「ラムネ菓子」について研究を進めています。今回の共同研究はその一環として位置付けています。森永製菓は、「今後もラムネ菓子とぶどう糖に関する研究を続けていきたい」としています。

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