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理学療法士が面白く仕事をするために-集中と不安について-

理学療法士は仕事上、患者さんの関節を動かしたり、歩行を介助したりする。そのため、技術研鑽として事前に同僚との治療練習を行うことも多い。そんな時、結構な確率でいつのまにか時間が経っている。このような自分が興味があることに集中している状態をフローと呼ぶ。

フローという考え方は、M.チクセントミハイによって提唱された。

一つの活動に深く没入しているので他のなにものも問題とならなくなる状態、その経験それ自体が非常に楽しいもので、純粋にそれをするということのために多くの時間や労力を費やすような状態
フロー体験喜びの現象学 M.チクセントミハイ 今村浩明訳

旧来より「心地よさや気持ち良さ」、「自己実現や生きがい」が幸せを表してきた。フローはそれに続く、新しい幸せの形態だといわれている。そのため、1日の多くの時間を費やす仕事でフロー状態になれるということは、幸せなことと捉えることもできる

では、どのようにしたら仕事でフロー状態になることができるのだろうか。

目の前の物事に集中できなくなる原因として、「不安」が検討されている。

人は不安を感じると注意力に関わる3つのことができなくなります。
1つ目は、「注意の持続」。不安なことがあると、目の前の作業に取り組もうとしても、不安になっていることばかりが気になって、作業が続けられなくなってしまうのです。
2つ目が、「注意の転換」。心配事を考え始めると、そこから気持ちを切り替えられなくなるわけです。
3つ目は「注意の分割」。不安なことを考えていると、それが自分の全てだと思いこんでしまって、他の可能性に目が向けられなくなります。
仕事力をアップするはじめての「フロー」入門 石川善樹 西本真寛

確かに、振り返ってみると自分の身の回りのことに不安があると、仕事に身が入らなかった気がする。仕事に集中しなきゃと思っているのに、思えば思うほど、気持ちがそわそわしてしまう。

不安への対処方法として、不安への拒否や過大評価をやめ、自分の不安が起こる状況を評価することが紹介されている。自分の不安を客観視することで、不安に対する過剰な評価が軽減される。

自分の不安を言語化し、数値化するセルフモニタリング(self-monitoring)を通して適切な不安の評価を行う。(中略)日々の生活の中で不安を感じた場面について日時や不安になった状況を記録する。さらにその状況において頭に浮かんだ思考や体験した感情を記述する。
吉村晋平.心理学に基づく不安との付き合い方.追手門学院大学地域支援心理研究センター紀要.2017;14:9-15.

フロー状態で仕事をするための1つの方法として、客観視するなど不安への対処を行い、不安とうまく付き合うことが重要だ、と感じた。

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