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深く聴き込みたい音楽 vol.2

先週、先々週とCoachellaの配信を眺めていたが、シンガー系、ヒップホップ系とバラエティに富んだラインナップとは裏腹に、どこか煮え切らない気持ちも抱えていた。自分の音楽作りが大きく更新されたタイミングは今にして思えば2016~2018あたりに出てきた幾つかの名盤の影響が大きいが、それに準ずるような大胆な変革を及ぼす音楽の存在を現在進行形で感じにくくなっている。
言うまでもなくそれは老い、ないし慣れの側面もありつつ、リアルタイムな音楽に全ての期待を背負わせるのではなく、やはり自分自身のフィールドで偏執的に音を追い続ける作業は今だからこそ大事だな、とも思うし、本活動はなかなかそういった側面で意義があると再認識した次第である。
さて、それでは前回に引き続き淡々と記録していく。

Flying Lotus - Los Angels

Released in 2008
Release from Brainfeeder
Flying Lotusは自分が(主にJazz The New Chapterの影響で)ジャズへの関心が高まっていたタイミングでYou're Dead!がリリースされ、You're Dead!
は随分と聴き込んだがそれ以前の作品は時折流したりする程度の聞き流しであった。改めて聴くと分かる彼の音を選択する審美眼はやはり優れている。そして流行り廃りの多いビートカルチャーの中でも残り続けるビートを感じる。審美がありつつも過剰にデザイン的になりすぎず、常にゆとりとユーモアがある点がLAのヴァイブを感じさせて良い。もっと聞き込みたい。
とはいえ、結構ジェットコースター的展開があったりもするのが彼らしさであったりもするので時折そういう側面を身体が受け付けないこともある。テンションをあげて臨みたい。
余談だが、これまでYou're Dead!収録,Never Catch MeのThundercatのベースソロで声をあげる人間とは確実に友達になってきた。

Jai Paul - Leak 04-13(Bait Ones)

Released in 2013
Released from XL Recordings Ltd
Jai Paulは何故かjasmine(9曲目)をどこかのタイミングで仕入れてきて、jasmineばかりを聞いていた。jasmineの楽曲構造は非常にシンプルだが、それでいて仕掛けも多く、細やかに聞き飽きさせない配慮がある。そして歌の控え目さ、各音色の嫌味さを排除している点が優れている。そうした点からJai Paulは比較的デザイン感覚に優れたアーティストかと思っていたが、本作の2曲目を聞いて評価は一転した。彼はサンプラー的身体を保有している。本作はBandcampにリークされてしまった作品とのことで、そうした影響もあってか彼はあまり作品を残さないアーティストになってしまったきらいもあるが、継続的に彼のことはウォッチしたい。非常に参考になる。

Andy Stott - Too Many Voices

Released in 2016
Released from Modern Love
Andy Stottは音の抜き方、音ひとつひとつの迫り方が凄まじい。派手さの扱いにも長けていて、どちらかと言えば派手すぎる作品を嫌う自分としては聴き心地が良い。心の師にしたい。その割にはアルバム全体を聴いたりしたことも少ないので、反省の意も込めて記録。
FFKTでの来日を見に行きたい気持ちはあるが、東京にも来てくれたら絶対見に行きたい。

Saba - CARE FOR ME

Released in 2018
Released from Saba Pivot,LLC
Sabaに限らず、ラップが上手いヒップホップアーティストの作品はやはり好きである。エミネム的な押韻頻度と口述速度による上手さもそれはそれで価値だが、Sabaは音程的フローを感じさせつつ、ありきたりなラインに終始しすぎない点に見られる上手さが個人的には非常に好ましい。2022年に新譜も出たが、差し当たりまだ本作を聞き込みたい。コードに使われる音色の柔らかさに伴うそこはかとないアンビエントなフィールが好みである。もう少し歌詞なども含めて聴き込んだら更に愛せそうな気がする。LIFEでのウッドベースの使い方、3連からフラットにシフトするリズムの扱いなども素晴らしい。

Injury Reserve - Injury Reserve

Released in 2019
長いので割愛
エクスペリメンタル・ヒップホップが好きだという自覚は強くありつつ、それこそ体力が必要だという点で幅広くカバーできていない。JPEGMAFIAはその点聴きやすさもあるのでアクセスしやすいが、どういうわけかInjury Reserveは聞きにくいイメージがあって結局まだまともに聴けていない。ちゃんと時間をかければ好きになるはず、と信じて聴いてみる。彼らを聴くことを軸にエクスペリメンタルヒップホップのフィールドを広げたい。

BADBADNOTGOOD - Ⅳ

Released in 2016
Released from Innovative Leisure
BADBADNOTGOODもジャズに対する好奇心があった時から少なからずチェックはしているのだが、もう少し(タイラーのカバー動画などに見られる)ヒップホップ色が強いことを期待していたたためどこか肩透かしを食らった感じが2014年ごろにあり、あまり集中的に聴いてこなかった。生演奏によるエレクトロニックミュージックへの接近は自分的にも常に興味がある領野なので、気楽に聴いてみたい。
Coachellaでのライブも良かったし今後も気に留めていきたい。

以上。おすすめがあったらコメントやTwitterなどで教えて貰えたら嬉しいです。

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